『馬も熱中症になるの!?“夏”にまつわる疑問特集』JRA競走馬研究所(2)

2015年08月17日(月) 12:00

おじゃ馬します!

▲今回のテーマは夏。「競走馬の熱中症問題」と夏の格言「夏は牝馬を狙え!」に関する最新情報をお届け!

前回はドゥラメンテを例に「3歳馬の骨折」について教えていただきました。今回のテーマは、ズバリ「夏」です。猛暑が続き、一層厳しい今年の夏。熱中症に関するニュースがテレビなどで度々報じられますが、競馬の世界はどうなのでしょうか。「競走馬の熱中症問題」と、夏の格言「夏は牝馬を狙え!」に関する最新情報をお届けします。(取材:赤見千尋)


(つづき)

東京オリンピックへの危惧

赤見 今年の夏は本当に暑くて…、人間の熱中症がすごく問題になっていますが、馬も熱中症になるんでしょうか?

高橋 馬の熱中症も、人と同じようにあります。特に熱中症が多かった2010年2011年を例に見ると、2010年が年間で47頭、2011年が45頭発症しています。これは少ない年の倍以上という数値になりますね。時期としては4月5月くらいから発症する馬が出始めて、6月や7月がピークになることが多いんです。

赤見 8月が圧倒的に多いのかなと思ったら、意外とそうでもないんですね。

高橋 ええ。人もそうなんですけど、暑くなりかけの時が一番なりやすいんだと言われていますね。暑さに慣れていないので、急に暑くなると発症しやすいんだと思います。場所別に見ていくと、涼しいイメージのある函館でも案外あるんです。あとは、新潟ですとか、9月の中山阪神開催も多いですね。東西のトレーニングセンターでも、調教中に暑くなって倒れてしまったりする馬もいるんです。

赤見 馬は人間よりも体温が高いですし、さらに暑さに弱いんでしょうか。

高橋 弱いでしょうし、目一杯走って体温が上がっているというのもありますよね。運動中の血液温度を測る実験があるんですけど、冬場に全力疾走しても41度くらいまでしか上がらないんですね。でも、夏場では43度を超えてきます(安静時の体温は37〜38度)。恐らく、筋肉はもっと高いと思いますね。

赤見 ギリギリの状態でレースから上がってきて、そのまま倒れてしまうという感じですか?

高橋 いえ、レースの直後にはあまり倒れなくて、少し時間が経ってからですね。京都の地下馬道、中京の診療所付近というのが結構多いです。レース直後で興奮していたのが、だんだんと冷めてきて体の異変に気がつくとか、走ってから少し後に体温上昇が来るので、さらに体温が上がって倒れてしまうということなんですよね。

赤見 症状は人間と同じですか?・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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