見直すべき佐賀の2歳重賞

2015年10月30日(金) 18:00


◆王道といえる路線がはっきりしない現状

 先週から今週にかけて、地方競馬では未来優駿シリーズの2歳重賞が行われている。その中でちょっと気になったのが、佐賀の九州ジュニアチャンピオンだ。また佐賀の重賞の指摘かと思われるかもしれないが、どうしても気になってしまったのでお許し願いたい。

 未来優駿の各レースは、さすがにまだ年末まで2カ月ちょっとを残しているだけあって、必ずしもこれが各地区の2歳チャンピオン決定戦というわけではない。ただレースの予想をしていて気になったのが、佐賀の九州ジュニアチャンピオンなのだ。未来優駿の他の重賞が、いずれも他地区やJRAからの転入馬が出走している(サッポロクラシックカップだけはさすがにこの時期に他地区から門別に転厩する2歳馬はいないが)のに対して、九州ジュニアチャンピオンだけは「佐賀デビュー馬限定」という条件がついている。

 地方競馬は各地区ごとにさまざまな事情があり、もちろん地元デビュー馬限定重賞というのはあっていいと思う。しかし九州ジュニアチャンピオンでは、転入馬を除外したことによって、「一番強い馬は別のところにいる」というメンバーになってしまった。それでも年末あたりに、別に2歳チャンピオンを決めるレースがあればいいのだが、九州ジュニアチャンピオンは、佐賀の2歳重賞では唯一のS1重賞であり、また賞金的にも当然のことながらS2の2歳重賞よりも、わずかではあるものの高い設定となっている。いわば2歳チャンピオン決定戦という位置付けだ。

 しかしながら3歳シーズンへ向けてということでは、このあとに組まれているS2重賞、天山賞(11月14日)やカペラ賞(11月28日)が、他地区やJRAからの転入馬も出走して充実したメンバーになりそうだ。

 競馬は記録の積み重ねでもある。何年か、何十年かののちに佐賀の重賞勝ち馬一覧を見たときに、そのレース名から、そして格付的にも、九州ジュニアチャンピオンの勝ち馬こそが、その年の佐賀の2歳チャンピオンと評価されることになるだろう。ところが実態はそうはなっていない。

 今ではネットなどの情報が発達して、日本全国すべてのレース結果のみならず、映像もほとんどリアルタイムで確認できる。それゆえ地方競馬で数多く馬を所有している馬主であれば、馬の実力を見極めて、どのタイミングでどの競馬場に移籍させれば賞金を稼げるか、タイトルが穫れるか、ということを常に考えている。そうした現状で、チャンピオンを決めるべきレースで他地区からの移籍馬を排除してしまったのでは、そのレースのレベル低下ということにつながりかねない。制限するにしても、転入初戦としての出走は認めない、という程度にするべきだろう。

 そういえばここ1、2年、九州ダービー栄城賞の予想をしていても、佐賀の地元馬はなんとなくピンとくる馬がいないような感じだった。思うに、2歳のみならず、3歳シーズンでも、佐賀には、いわゆる“王道”といえるような路線がはっきりしていない。

 佐賀はもともと“九州競馬”として荒尾競馬と連携し、九州3歳三冠があったし、2歳重賞にしても、もともとは10月下旬に荒尾で行われていた九州ジュニアグランプリが未来優駿に組み込まれ、佐賀の九州ジュニアチャンピオンは11月下旬に行われていた。それが荒尾競馬の廃止によって、佐賀の九州ジュニアチャンピオンを未来優駿とするために1カ月繰り上げ、また3歳重賞も路線として成り立たなくなってしまった。そうした荒尾競馬廃止による、とばっちりとでもいうべき状況は認めなければならない。

 とはいえ、2歳、3歳のチャンピオン決定戦や、王道といえる路線がはっきりしない現状では、いずれレベルの低下ということにもつながりかねない。

 九州で唯一の競馬場になってしまった佐賀は、地理的にも隔離されてしまった感はあるが、そうであればこそ、他地区との連携も考慮にいれながら、わかりやすく、魅力的な2歳、3歳の重賞路線を再検討する必要があると思う。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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