2015年を振り返って

2015年12月25日(金) 18:00


◆この1年は平穏な年だったように思う

 今年も残すところあと1週間。地方競馬で残すビッグイベントは東京大賞典のみとなり、このコラムも今回が2015年の最後。この1年の地方競馬を振り返ると、突出した記録達成というのもなく、平穏な年だったように思う。

 もっとも大きな変化は、船橋でナイター開催がスタートしたことだろうか。南関東では開催日数の少ない浦和を除く3場がナイター競馬となり、昼間開催の1月〜3月中旬を除けば競馬はほとんどナイターという感覚。また現在開催が行われている地方の15競馬場のうち、ほぼ半数の7競馬場でナイター開催が行われるようになった。

 JBCの開催に合わせて大井競馬場にオープンした新スタンド「G-FRONT」もさまざまに新しい設備などが注目となったが、そのうちのひとつがキャッシュレス投票。これに先駆けること2014年7月20日には高知競馬場でキャッシュレス投票が稼働しており、また12月23日には名古屋競馬場でもキャッシュレス投票ができる「金シャチプレミアムラウンジ」がオープン。このシステムはおそらく今後他の競馬場にも導入が進むことになるのだろう。

 印象に残っているのは、東京ダービー2着が9度目となった的場文男騎手。的場騎手といえば、5月6日の東京湾C(船橋)をドライヴシャフトで制し、地方競馬最高齢重賞勝利(58歳7カ月29日)を更新し続けている。9月7日に59歳になった的場騎手の通算勝利数は、12月24日現在で6,829勝(中央4勝、海外1勝を含む)。不滅と思われた佐々木竹見さんの7153勝(うち中央2勝)という記録の更新が、現実味を帯びてきた。今年も12月24日現在で146勝。南関東リーディングで4位、全国リーディングで14位。年間100勝ペースならあと3年だ。果たして。

 騎手では、引き続き全国での活躍が目立っているのが金沢の吉原寛人騎手。今年はソルテの快進撃もあり、南関東で重賞7勝。また大井のユーロビートに騎乗してのマーキュリーC(盛岡)では、ダートグレード初勝利も挙げた。

 もうひとり、全国区で躍進したのが高知の赤岡修次騎手。南関東での期間限定騎乗(5月11日〜7月10日)で挙げた31勝は、南関東における初めての期間限定騎乗での最多勝記録とのこと。これをきっかけに重賞でのスポット騎乗も増えた。もはや吉原、赤岡の名は、南関東をはじめ全国の競馬場の重賞では当たり前のように見るようになった。

 さて、以下も12月24日現在の数字だが、騎手リーディングでは、森泰斗騎手(船橋)が勝利数、賞金の二冠をほぼ確定的にしている。勝利数は295勝で、2位の川原正一騎手(兵庫・243勝)に52勝差。川原騎手といえば、2013年に267勝を挙げて全国リーディングとなっているが、今年56歳でなお200勝超というのも素晴らしい。9月4日には、兵庫移籍後2000勝を達成して、笠松・兵庫それぞれで2000勝という記録もつくっている。それで気づいたが、通算勝利数では中央の73勝も含めると、この日でちょうど5000勝となった。勝率では33.3%の山口勲騎手(佐賀)が唯一の30%超となっている。

 調教師リーディングでは、昨年に続いて雑賀正光調教師(高知)と角田輝也調教師(愛知)が抜きつ抜かれつの争いとなっていて、角田調教師231勝に対して、雑賀調教師は228勝。大晦日まで目が離せない。ちなみに角田調教師がトップになれば2009年以来6年ぶり6度目、雑賀調教師なら5年連続となる。勝率では柏原誠路調教師(兵庫)が36.0%でほぼ確定。賞金では5億円を超えている小久保智調教師(浦和)が2位にダブルスコアでのトップだ。

 それでは、よいお年を。このコラムの新年初回は、1月15日になります。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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