2016年01月19日(火) 18:01
▲デビュー12年目、有馬記念で初GIタイトルを手にした吉田隼人騎手(撮影:下野雄規)
新しい年を迎え、早3週間。自分は今、午前中から夕方まで、リハビリ漬けの毎日を送っている。とはいえ、復帰に向けた本格的なリハビリは、これからが佳境。スケジュールの都合上、コラムの更新が不定期となる可能性もあるが、そのあたりはご了承願いたい。
少々時間が経ってしまったが、新年一発目の更新は有馬記念回顧から。前回でも少々触れたが、引退レースで1番人気の支持を受けたゴールドシップが8着に沈んだ一方で、GI未勝利の4歳馬がワンツー。3着にも3歳馬キタサンブラックが入り、“世代交代”を色濃く反映したグランプリだった。
せっかくの機会なので、この休養期間中に馬を見る目を養おうと思い、これまでになくパドックや調教の映像をジックリと見ている。後付けだと言われたらそれまでだが、ジャパンCや東西金杯で一番いいと思った馬が勝利したりして、ちょっと自信を深めつつある今日この頃だ(笑)。
有馬記念も、一番有力だと思っていたのはサウンズオブアースだった。2歳の頃からいい馬だったが(新馬とはなみずき賞で騎乗)、ここにきてさらに上昇しているのは明らかで、今回のメンバーなら十分にやれると思った。実際、好スタートからいいポジションで運べていたし、4コーナーで少し窮屈になる場面があったとはいえ、現時点での馬の能力を十分に引き出した騎乗だったと思う。
それ以上に、隼人の騎乗が完璧だった。スタートから積極的にポジションを取りに行き、行く馬を行かせ、4コーナーのさばきもまったくロスのないもの。これで勝てなかったら仕方がないという競馬だったと思うし、何よりゴールドアクターに対する自信に溢れた騎乗だった。
自分のときもそうだったが、初めてGIを勝つときというのは、得てしていろいろな偶然が上手く重なり合い、「あれ?」と思っているうちにゴールを迎えるケースが多い。しかし、有馬記念の隼人はそうではなく、最初から「行く馬がいなければ自分が行ってもいい」くらいの覚悟が見えたし、おそらく思った通りの競馬をして、自信を持って自ら勝利をつかみにいった。彼の12年というキャリアがなせる業なのかとも思ったが、・・・
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2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。
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