池添学調教師(1)『対照的!? 大胆な兄・謙一騎手と慎重な弟・学調教師』

2016年02月01日(月) 12:00

おじゃ馬します!

▲兄は池添謙一騎手、父は池添兼雄調教師。注目の池添学調教師の素顔とは

2月は競馬界の卒業シーズン。今年も橋口調教師や松田博調教師といった名伯楽が、引退の時を迎えます。その一方で若き才能も続々と開花。その一人、池添学調教師を直撃します。兄は池添謙一騎手、父は池添兼雄調教師。競馬一家の次男に生まれ、大学時代はオリンピックを目指すほどの馬術の才能を発揮。開業2年目に突入する注目トレーナーの素顔に迫ります。(取材・東奈緒美)


初出走の週に地獄と天国

 開業1年目の昨年は23勝(地方を含む)を挙げられました。ご自身としての評価はいかがですか?

池添 スタッフがとても一生懸命やってくれて、僕自身はがむしゃらに動いた1年でした。具体的な数字を目標にすると、そればかり気になってしまうので、大まかに「20勝くらい」と言ってたんです。そう考えると、思っていた以上の成績は出せたのかなと。ただ、競馬は毎週毎週ですので、その週が終われば次の週って頭が切り替わりますからね。振り返る余裕はあまりなかったです。

 毎週毎週が勝負ですもんね。いよいよ開業を迎えるという時には、気合も入ったと思いますが。

池添 初出走の週は、だいぶ力んでいました(笑)。カシノランナウェイ(障害4歳上未勝利)という馬だったんですけど、前走が2着でしたし、順当なら勝てるだろうと。ところが、レースで鼻出血が出たのもあってか、結果は9着。「競馬ってうまくは行かないな」と、早くも思い知らされました。かと思いきや、次の日にはメラグラーナ(3歳未勝利)で初勝利を挙げられたんです。その週だけで地獄と天国を味わいましたね。

 勝負になる手応えがあると、ますます力も入りそうですよね。

池添 2頭とも勝てると思っていましたからね。特に初勝利の馬は、前の厩舎で僕が乗って、手入れもしていたんです。なので、当日は朝から厩舎をうろうろうろうろ。輸送の積み込みから何までつきっきりだったんです。スタッフにしてみれば、相当うっとうしかったでしょうね。

 「テキ、気合入り過ぎや!」って。良い成績を残せた要因は何だと思われますか?

池添 大きなアクシデントがなかったことですかね。屈腱炎とか疝痛で入院とか、馬の大きな故障がなかったんです。骨折は何頭か出たんですが、日頃から早期発見、早期対処と決めているので、ちゃんと機能できたのかなと。それと、出走取消や競走除外も、1頭も出なかったんですよね。馬主さんに対してもそれは良かったと思います。

 この1年をご自身で評価すると、何点ですか?

池添 70点。よく出来たと思う一方、まだまだ伸びていかないといけないですからね。でも、どれだけ勝ったとしても、「まだまだだ」って言ってると思います。競馬って負ける方が多いわけですけど、僕自身は毎回毎回勝つつもりで臨んでいます。どれだけ人気のない場合でも、人気通りの結果だったとしても、負けたらやっぱり悔しい。そう考えると、やるべきことはたくさんありますよね。ただ、僕自身、もうちょっと余裕を持たないと、とは思います。

おじゃ馬します!

▲開業週に初勝利。勝利馬は思い入れも強いというメラグラーナ

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▲手綱を取った松山弘平騎手と記念撮影

大胆な兄と慎重な弟

 余裕はまだないですか?

池添 ないですね。毎日毎日イレ込んでます(笑)。馬の管理って、試行錯誤の繰り返しですからね。馬を育てるなかで大事なのは、飼い葉だと思っているんです。うちは専門の栄養士さんにメニューを組んでもらって、それをもとに、全馬の飼い葉を僕が作っています。

 えっ? 先生自らですか?・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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