2016年02月08日(月) 18:00
今年の明け3歳世代の牡馬は、稀に見るハイレベルで混とん。その世代の強靭さは、たとえていえば、マイル以上の中距離戦における、上がり3Fのラップ内容に顕著。
クラシックホースたる基本は、中央場所の、なるべくなら「坂」という負荷のあるコースで、きちんと「勝ち負け」を伴いながら、上がり3Fのラップの中に、能力として目に見える数値の発露――才能のせめぎ合いとは、つまりは1Fの、厳密にいえば50mのラストスパート――200mを10秒5で走れるのか10秒7が目いっぱいなのか。人間の100m走も、残り80mをすぎてからの残り10〜20mのコンマ1秒差の違いが、金メダルのボルトか、そうでないかにクッキリとわかれてしまう。
付け加えるなら、11秒台を4連続以上――2400mのダービーを想定した場合は、「持久力」という要素もまた、強さや能力を示す基軸となるが、この両方を兼ね備えているのが、東の横綱サトノダイヤモンド。
▼きさらぎ賞を鞍上のルメールは「ライバルはいなかった」と振り返った
きさらぎ賞・1分46秒9のレースレコードで、才能という掌中の珠が、誰の目にも顕著な輝きとなって現れた。なんて、きさらぎ賞に至るまでの前二戦は、デビュー戦は重馬場。パワーを要する芝だけに、2分3秒8という時計にも格別感はなかった。
しかし、11秒7―11秒7―11秒5というレースラップを悠々の2馬身半差。続く12月26日の阪神2000mも、11秒8―11秒5―11秒3(3Fは34秒6)を、残り1F近辺から、ルメールの合図に即座に反応し、一瞬にしてフットワークがダイナミックに膨らみ、上がり33秒9で後続に3馬身半差。あくまで推定だが、阪神の「坂」を10秒台の加速ラップで駆けている。
そうして迎えた、きさらぎ賞。1000m通過は、能力がもっともダイレクトに現れる59秒8のミドル。好スタートからすかさず4番手に折り合い、直線入り口まで急がず慌てず。ラスト3F・11秒7―11秒9―11秒3(3Fは34秒9)というレースラップを、残り1F地点で馬なりで取りつき、ひとムチくれると首は水平、重心を低くし、最速の上がり34秒2でグングンとゴールに突入。
元々コーナーふたつの京都1800mのきさらぎ賞は、瞬発力勝負に比重の高いディープインパクト産駒の天下と言われてきたが、前任のレコードホルダーであるワールドエースやトーセンスターダムとは、パワーと持久力を兼備しているぶん、明らかにランクはひとつ上。摩耗少なくして三連勝。この後は、短期放牧に出し、皐月賞直行というローテが濃厚だが、コーナー4つの中山2000mも、スタンド前の1コーナーを無事通過できさえすれば、動き出しは自在。母はアルゼンチンの芝・ダート2000mのG1を2勝、2400mのダービーディスタンスこそが、最大の働きどころとなる。
▼デビューから29日という最短タイ記録でG1を制した
しかし、皐月賞に限れば、西の横綱・・・
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