活躍目立つ新人騎手

2016年05月06日(金) 18:00


◆ぜひとも地方競馬の新人騎手にも注目を

 今年4月1日付けで免許を受けた地方競馬の新人騎手が続々と初勝利を挙げている。中央競馬の新人騎手の初勝利はさまざまなメディアで伝えられるが、地方競馬の場合は、所属主催者の公式サイトのニュースとして伝えられる程度なので、ここでまとめてお伝えしたい(成績はいずれも5月4日現在)。

 今年ちょっと驚いたのが、騎手免許が発行された4月1日にデビューした騎手がいたこと。川崎の中越琉世騎手だ。4月1日に騎乗するということは、その2日前に出馬投票するわけで、その時点では厳密にはまだ騎手となっていない。その時点での出馬投票が今までも可能だったのか、それとも新たに認められたのかはわからないが、とにかく地方競馬で免許発行日に騎乗したという騎手は、近年では記憶がない。

 初勝利の知らせが届いたのは岩手から。4月16日、水沢競馬の第1レースで、鈴木祐騎手が初騎乗初勝利を果たした。3コーナーでは前からまだかなり離れた5番手に位置していたが、4コーナーでラチ沿いを突き、直線ではうまく馬群をさばいて抜け出すという、とても実戦で初めて騎乗したとは思えない騎乗ぶり。7番人気での勝利だった。そして鈴木騎手はここまで20戦してすでに3勝。勝率15%というのも新人騎手としては立派だ。

 続いては名古屋の加藤聡一騎手。こちらも初騎乗初勝利で、4月19日、名古屋競馬の第6レース。大外枠からハナを奪うと向正面では2番手に5馬身ほども差をつける思い切った逃げ。ゴール前で追い込んだ2着馬をアタマ差で振り切り、3番人気での勝利となった。この日の名古屋競馬場では重賞の東海クイーンカップが行われたこともあり、多くの記者に見守られての初騎乗初勝利で、この日はほかに2着と3着も一度ずつあった。

 そして加藤騎手のここまでの成績は、なんと21戦7勝、2着1回、3着2回で、6着以下は6回だけ。勝率33.3%というのもすごいが、2着や3着の数より1着が多いというのは、まさにトップジョッキーの数字だ。

 続いて岩手の木村直輝騎手は、5月1日の盛岡競馬第7レース、3番手追走から直線で抜け出し、6番人気での勝利。デビュー14戦目での初勝利だった。

 ちなみに木村騎手は4月23日の水沢第5レースで、8番人気のフミタツダイヤという馬に騎乗した際、惜しい2着があった。マイペースでの逃げに持ち込み、直線では後続との差を広げて初勝利かという場面。しかし道中7番手から位置取りを上げてきて、ゴール前大外からクビ差、差し切ったのが、同期の鈴木騎手。今年岩手からデビューした2人はその後も見せ場をつくることが多く、すでに新人らしからぬ騎乗を見せている。

 そして5月2日、船橋競馬第6レースで初勝利となったのは、浦和所属の保園翔也騎手。デビューした4月25日からの浦和5日間開催では有力馬に騎乗することも多く期待されたが、29戦して2着2回、3着4回と、惜しくも勝利には至らなかった。しかし開催が船橋に変わって初日の5月2日、所属する浦和の山越光厩舎からの遠征馬、1鞍のみの騎乗で勝利をものにした。8番手あたりから馬体を併せて位置取りを上げてきた石崎駿騎手との追い比べとなり、ハナ差で制して見せた。8番人気での勝利だった。

 このほか船橋の岡村健司騎手は24戦して2着3回、3着2回。積極的な騎乗ぶりが目立つだけに、初勝利もそう遠くはないだろう。高知では塚本雄大騎手が33戦で2着、3着が各1回となっている。

 免許を受けて1カ月とはいえ、実際にデビューしてからまだ2〜3週間という騎手がほとんど。それでいて7名中4人が勝利を挙げているというのはなかなかの好成績。ぜひとも地方競馬の新人騎手にも注目していただきたい。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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