ニューヨークに行ってきました

2016年06月25日(土) 12:00


一見の価値ありの「博物館と殿堂」

 先週土曜日の中継を終えた後、ニューヨークに行ってきました。目的は2つあって、1つは「The World's Oldest Harness Track」という看板を掲げているGoshen競馬場でのレース観戦と、これに隣接する「Harness Racing Museum & Hall of Fame」の見学。もう1つは、とある企画(これについては、いずれお知らせします)の取材を兼ねたベルモントパーク競馬場での観戦です。

 Goshenは、マンハッタンからバスで2時間ほどのところにある田舎町。そこにあるハーネス(繋駕)競馬場が、「The World's Oldest〜」なのだそうですが、これにはおそらく“現存する中では”という意味が込められていると思います。

 ここで競馬が行われるのは、6月第1、2、3日曜日に行われるMatinee(フランス語で朝の意味。でも実際は午後1時に第1レースがスタートする)開催と、7月1日から4日(独立記念日)までのGrand Circuit開催の計7日間だけ。そしてなんと、馬券発売も賞金もありません!そのためか、3〜5頭立てのレースが10数分おきに次々に行われていきます。

 私が観戦した19日は全部で10レースが組まれていましたが、そのうちの7レースが2歳限定戦。どうやら馬券発売のある競馬に出て行く前の“脚試し戦”になっているようです。

 ただし、3歳以上オープンのレースには、去年のGoshen競馬で走って以来、久々の出走という馬もいました。つまりこの開催は、古くからある競馬場(創設は1838年。今のメインスタンドは1913年竣工)を守り続けるために、近郊の馬好きが自宅で飼っている馬を持ち寄って走らせている“祭典競馬”のようなもの、と考えていいでしょう。

 そんな感じですから、場内は至ってのどか。観客は多く見積もっても150人程度で、ほとんどが出走馬の関係者のようです。それでも、ホットドッグやハンバーガー、ビールなどを売る店が出ていて、食べたり飲んだりしながらノンビリとレースを観戦していました。こんな競馬もあるんだなぁ、と改めて思わされた、ユニークな競馬観戦でした。

 一方、その隣にある「博物館と殿堂」はなかなかのスグレもの。アメリカをはじめ世界の繋駕速歩競走の歴史や仕組みがわかるコーナーや、伝説的名ドライバー(繋駕競走ではジョッキーとは呼ばす、ドライバーと言います)の業績を伝えるスペースには、貴重な資料や“お宝”がこれでもかというくらい詰め込まれていました。日本ではなじみのなくなってしまった速歩競馬ですが、これは一見の価値ありと断言します。

 さて、今週は宝塚記念。過去に17頭以上が出走した例は5回ありましたが、そのうち1番人気馬が馬券に絡んだのは1回だけ。多頭数の宝塚記念は荒れるのかもしれません。その5回中4回で勝ったのは4歳馬なので、シュヴァルグランやヤマカツエースを買ってみようと思っているのですが…。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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