【特別対談】名馬を育てた厩務員(3)『パドックでの馬の見方&飼い葉の重要さ』

2016年07月18日(月) 12:01

おじゃ馬します!

ブルーコンコルドの山本元厩務員とゼンノロブロイの川越元厩務員による、ホースマン対談の第3回。今週は、厩務員の仕事の中でも特に重要な「パドックでの曳き馬」と「飼い葉作り」についてお聞きします。レース当日のサラブレッドたちはみな、美しく仕上った姿で多くのファンを魅了します。その陰に担当厩務員のどのような苦労や心遣いがあるのでしょうか。(取材:赤見千尋)


(前回のつづき)

パドックは蹄1個分の深い踏み込みが理想

赤見 プロのおふたりにぜひ教えていただきたいのですが、パドックでの馬はどの辺りを見たらいいですか?

山本 オープンクラスになるとみんないい馬ですから、なかなか見抜けないですけど、これが未勝利や500万の場合だと、どこかに1つ2つキラッと光るものが見えてくる。僕はパドックを見る時はいつも、新聞の印のところを隠してしまうんです。自分の目で見て「いいな」っていう馬に印を入れていくんです。

赤見 先入観なしで判断するんですね。具体的にどのあたりを見ているんですか?

山本 腰やトモ、お尻、前肢のさばき。クビがあまり高くなくて、踏み込みはあまり深いのは好きじゃないですね。浅いと固い感じはするんですけど、深すぎても僕は反対です。蹄1個分くらい深いのがいいんじゃないかな。

赤見 川越さんはいかがですか?

川越 テレビを通して見ているときは、まず馬体を見ますね。全体の形と、瞬間的なインスピレーションですかね。1度これだと思ったら、他の馬も含めてあとはじっくり見ないようにしています。あまり見すぎると、いろいろなところが目について、わからなくなってくるんです。情報が多いと惑わされますからね。

赤見 パドックでの仕草はどうですか? 牡馬が馬っ気を出してると、レースに影響するんじゃないか…とか?

山本 馬っ気は、そんなことはないと思う。

川越 ゼンノエルシドは、出した時も勝ってましたからね(笑)。

山本 ブルーコンコルドはなぜか、大井に行くと馬っ気を出すんですよ。「男馬ばっかりなのに、恥ずかしいじゃん」って(笑)。お客さんは笑ったりするけど、曳っ張っている方は恥ずかしいですからね。そういう馬の場合は、先頭か最後を歩かせてもらったりする。仕草で分かりやすいところっていうと、汗かな?

赤見 チャカチャカして、汗をかいている場合ですか。

山本 チャカチャカはしててもいいの。ただ「嫌だな」と思う汗のときがある。何というか、いい汗じゃないんだよね。

おじゃ馬します!

▲山本「パドックでチャカチャカしててもいいんだけど、いい汗じゃないのは注意が必要」

赤見 厩務員さんが1人で曳いているのと2人曳きでは、どうですか? 2人曳きだとイレ込んでいるって言われることもありますが。・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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