3歳世代の優勢が目立つ今季のヨーロッパ

2016年08月17日(水) 12:00


中でも顕著なのがマイル路線

 14日にフランスのドーヴィルで行われたG1ジャックルマロワ賞(芝1600m)は、イギリスから遠征した3歳牡馬のリブチェスター(父イフラージ)が優勝を飾った。

 2歳7月にデビューし、メイドンを連敗したにも関わらず、3戦目にニューバリーのG2ミルリーフS(芝6F)に挑み、そこを見事に制して重賞で初勝利を挙げたのがリブチェスターだ。すなわち、早くからの期待馬だったのだが、本格化したのは今季になってからで、2戦目となったG1英二千ギニー(芝8F)で3着に健闘すると、続くロイヤルアスコットのG3ジャージーS(芝7F)で2度目の重賞制覇。前走グッドウッドのG1サセックスS(芝8F)は3着だった。

 ゴール前のステージで先に抜け出したのは、G1イスパーン賞(芝1800m)4着馬で、前走G3メシドール賞(芝1600m)で3度目の重賞制覇を果たしての参戦だったヴァダモス(牡5、父モンスン)だったが、これをリブチェスターがきっちりと半馬身差し切っての優勝だった。

 3歳世代と古馬世代の対決が始まって以降、3歳世代の優勢が目立つのが、今季のヨーロッパだ。中でも顕著なのが、ジャックルマロワ賞を直近の例とするマイル路線である。

 この路線で、3歳世代と古馬世代の一線級が相まみえる最初の機会となったのが、7月27日にグッドウッドで行われたG1サセックスSだったが、勝ったのはG1仏二千ギニー馬のザグルカ(牡3、父ガリレオ)で、2着がG1英二千ギニーとG1セントジェームスパレスS(芝8F)と既に2つのタイトルを手中にしていたガリレオゴールド(牡3、父パコボーイ)。そして3着がリブチェスターで、上位3頭を3歳世代が独占したのである。

 牝馬のマイル路線に目を転じても、7月8日にニューマーケットで行われたG1ファルマスS(芝8F)を制したのは、G1英千ギニー(芝8F)3着、G1コロネーションS(芝8F)3着の成績で臨んだアリススプリングス(牝3、父ガリレオ)だったし、7月31日にドーヴィルで行われたG1ロスチャイルド賞(芝1600m)を制したのは、ロイヤルアスコットのG1コロネーションS(芝8F)を制しての参戦だったケマー(牝3、父デインヒルダンサー)だった。

 10F路線でも、3歳馬の活躍が目立っている。この路線で、トップクラスの3歳馬と古馬が顔を合わせる最初の機会となったのが、7月7日にサンダウンで行われたG1エクリプスS(芝10F7y)だったが、勝ったのは、重賞初挑戦初制覇となった前走のG3ターセンテナリーS(芝10F)を含めて、直前5連勝だった3歳世代の上がり馬ホークビル(牡3、父キトゥンズジョイ)で、2着がこの距離に挑むのはここが初めてだったG1仏二千ギニー勝ち馬のザグルカ(牡3、父ガリレオ)だった。

 牝馬10F路線も情勢は同じで、G1英千ギニー(芝8F)とG1英オークス(芝12F10y)の2冠を達成したマインディング(牝3、父ガリレオ)が、主戦のライアン・ムーアの助言によって、その後は10F路線に参入。6月16日にカラで行われたG1プリティーポリーS(芝10F)、7月30日にグッドウッドで行われたG1ナッソーS(芝9F192y)で、いずれも古馬勢を撃破して連勝を飾っている。

 12F路線では、7月23日にアスコットで行われた、この路線における前半戦の総決算となるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベス2世S(芝12F)で、G1英ダービー(芝12F10y)4着馬のウィングスオヴディザイア(牡3、父ピヴォタル)が、ハイランドリール(牡4、父ガリレオ)の2着に健闘。この世代の、いわば「序列4番目」がここまで戦えたことで、この路線の3歳世代も「悪くない水準にある」と評価されている。

 今年のヨーロッパにおける3歳世代が「ヴィンテージクロップ」であるのなら、凱旋門賞に挑むマカヒキ(牡3、父ディープインパクト)にとって強敵になるのは、ヨーロッパを拠点としている同世代のライバルたち………すなわち、G1英ダービーとG1愛ダービー(芝12F)を連覇したハーザンド(牡3、父シーザスターズ)や、デビューから無敗の7連勝でG1仏オークス(芝2100m)を制したラクレソニア(牝3、父ルアーヴル)ら………になるのか!?

 この原稿が皆様の目に留まる17日(水曜日)、日本時間の深夜に、ヨーク競馬場で芝10F路線の大一番であるG1インターナショナルS(芝10F88y)が行われる。ここで、昨年のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベス2世S(芝12F)以降、前走のG1コロネーションC(芝12F)まで、3つのG1を含めて5連勝中という最強古馬ポストポーンド(牡5、父ドゥバウィ)、7月23日のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベス2世S(芝12F)を制して3度目のG1制覇を果たしたハイランドリール(牡4、父ガリレオ)という強力古馬勢に、G1エクリプスS(芝10F7y)を勝って昨年7月からの連勝を6に伸ばした新進気鋭の若武者ホークビル(牡3、父キトゥンズジョイ)が挑むことになっている。

 今後を占う意味でも、G1インターナショナルSは絶対に見逃せない一戦となりそうである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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