牝馬ダートの距離体系

2016年08月26日(金) 18:00


◆条件変更か、それとも新設か

 24日、川崎で行われたスパーキングサマーCは、2番人気の牝馬、ブルーチッパーが連覇。スタート後、人気3頭が4番手以下を離しての競り合いとなり、1番人気のレガルスイ、3番人気のリアライズリンクスをそれぞれ4、5着に沈めての逃げ切りという強い内容だった。

 ブルーチッパーはこのあと、昨年と同じく、レディスプレリュード(大井)からJBCレディスクラシック(川崎)を目指すそうだ。「レディスプレリュードの1800mは少し長い」(荒山勝徳調教師)ということだが、今年はJBCの舞台が川崎ゆえ、本番のJBCレディスクラシックは今回と同じ1600mになるため、大井1800mで争われた昨年(8着)以上に期待は大きいようだ。

 ハナをとれれば多少厳しいペースでも直線で粘りを見せるのがブルーチッパーの強み。それで思ったのが、コーナーを4つ回る地方のコースなら1400mでも同じように強い競馬ができるのではないか、ということ。ところが、牝馬限定のダートグレードは、開催場によって距離が変わるJBCレディスクラシックと2歳戦を除くと、1600〜2100mでしか行われていない。

 短距離戦であれば牡馬と牝馬の能力差は中長距離ほどはないと一般的には考えられているからなのかどうか、ダートグレードの短距離戦に牝馬限定戦はない。現在、中央・地方合わせ、3歳以上、1400mのダートグレードは年間に8戦(JBCスプリントは除く)も行われているにもかかわらずだ。

 であれば、1400mのダートグレードのどれかを牝馬限定戦に変更してもいいのではないだろうか。たとえば盛岡・クラスターCと時期も距離もかぶる佐賀・サマーチャンピオンが候補に上がる。しかし他地区からの転入馬が多くを占めるような地区では、さまざまな理由から古馬牝馬の層はかなり薄い。サマーチャンピオンは、現状でも上位を占めるのは中央馬がほとんどというところ、牝馬限定戦にすると地元馬には出走できるレベルの馬がなく、ますます“場所貸し”になってしまう。それはやはりよろしくない。

 となると、1600m戦が2戦、1800mが3戦と、極端に中距離に集中している南関東の牝馬限定戦のどれかを、1400m戦に変更する手はあるのではないか。そのほかに考えられるのは、名古屋、園田あたりに1400mの牝馬限定戦の新設だろうか。

 売上げが下がり続けていた時期、地方競馬ではいくつかのダートグレードが休止となった。しかし回復傾向にある現在なら新設ということも考えられる。

 以前ほどではないにしても、日本では牡馬に較べて牝馬の取引される価格がまだまだ安すぎる。中央ではこの20年ほどでようやく古馬牝馬のGIが春・秋に行われるようになったが、脚元に優しく現役が長く続けられるダート戦であればこそ、牝馬路線は充実させるべきと思う。牝馬の活躍の場が増えれば、取引される金額も上がるはずだ。

 現状で行われているレースからの条件変更なのか、それとも新設なのかは慎重に検討する必要はあるが、牝馬ダート路線にも距離体系が考えられていいと思う。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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