2016年09月14日(水) 18:01
▲先輩後輩対談の最終回。今回のテーマは、ズバリ「海外での武者修行」
先輩との対談とあって、この機会にいろいろと聞いてみたいという坂井瑠星騎手。今回の質問はズバリ、海外での武者修行について。佑介騎手自身、長期でフランスに滞在したことがありますが、その経験を踏まえて熱のこもったアドバイスを送ります。そして最後には、所属先の矢作厩舎への思いも。病を告白し手術を乗り越え、先日現場復帰を果たした矢作師。この場で改めて“師匠孝行”への決意を語ります。(取材・構成:不破由妃子)
(前回のつづき)
瑠星 佑介さんは3年前に7か月間、フランスに行かれましたが、僕もいずれ海外で乗ってみたいという気持ちがあります。でも、行くタイミングって難しいですよね。あと、どういう準備が必要かなど、お聞きできればと思いまして。
佑介 いいねぇ、海外に興味があるんだ。準備といえば、やはり言葉。英語は喋れるの?
瑠星 全然……(苦笑)。中学校の授業で習った程度です。
佑介 言葉が話せなくても何とかなるんだけど、やっぱり話せたほうが環境に早く順応できるし、より早く中身の濃い経験ができるからね。俺自身、勉強不足のまま行ってしまって、もう少し早くから準備をしておけば…と後悔したからね。だから、何よりもまずは、コミュニケーションを取れる術を身に付けておくこと。あとは行けばどうにでもなるよ。
瑠星 海外に行くタイミングについてはどう思いますか?
佑介 それはもう、早いに越したことはないよ。俺も実際に行ってみて、「もっと早く来ればよかったな」と思ったし。基礎がある程度固まったら、2年目の秋くらいから行ってもいいと思う。
瑠星 2年目の秋というと、あと1年しかないですね(苦笑)。
佑介 うん。早すぎるなんてことはないと思う。なぜなら、順調に乗れてくると、お手馬的な存在が出てきて、定期的に依頼が入るようになる。もちろんそれはジョッキーとして喜ばしいことなんだけど、その馬たちで重賞を勝ちたい、GIに出たいと思っているうちに、あっという間に時間が経って、海外に行くタイミングを逃してしまうから。まぁ矢作先生なら、近い将来、「行ってこい」っていう流れになると思うよ。
瑠星 そうですね。
佑介 昔に比べ、海外に挑戦する若手を応援しようという風潮になりつつあるし、先生が「行ってこい」って送り出してくれたら、帰ってきてからも絶対にポジションはあるから。減量期間が5年に延びた今となっては、例えば1、2年海外に行っても、減量期間中に帰ってこられるわけだし。
瑠星 なるほど。そういう考えもありますね。でも、今の僕のまま行っても何も得られないような気がします。やっぱりもう少しジョッキーとしての下地ができないと…。
▲佑介「減量期間が5年に延びた今となっては、1、2年海外に行っても減量期間中に帰ってこられる」と、新ルールを活用したアドバイス
佑介 うん、そのあたりは矢作先生とよく相談してさ。ちなみに、どこの国に行きたいの? やっぱりフランス?・・・
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。
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