【M.デムーロ×藤岡佑介】第3回『馬は車じゃない!レースも調教も“馬の気持ち”最優先』

2017年02月22日(水) 18:01

with 佑

▲今年最初のGIフェブラリーSを勝利、今週はデムーロ騎手の信念に迫ります(撮影:下野雄規)

先々週が土日で6勝、先週は5勝を挙げ、さらにはGIフェブラリーSも勝利。本対談の第1回でも紹介した「大舞台での強さ」が、まさに体現された結果となりました。現在リーディング首位に立つデムーロ騎手。その信念は「馬の気持ちが最優先」ということ。馬の心に寄り添う姿勢と、それ故の意外な弱点(?)を、佑介騎手が鋭く言い当てます。 (取材・構成:不破由妃子)

※撮影協力:京都センチュリーホテル 「メインダイニング カサネ」


(前回のつづき)

藤岡先生の初GIは僕が勝ちたかった

佑介 藤岡厩舎の2016年の起用数でいうと、一番多かったのが康太(58戦)で、次が僕(34戦)で、3番目がミルコ(26戦)。藤岡厩舎では、ミルコは三男だよ(笑)。

ミルコ そう、僕は三男です(笑)。佑介のお父さんには、本当にお世話になってる。でもね、僕が乗せてもらうときは、昔から「なんで佑介じゃないの? なんで康太じゃないの?」って気にしてた。自分にオファーがきたときは、ひょっとしたらノーチャンスの馬なんじゃないかって。

佑介 ああ、なるほど。僕らからすると逆で、ミルコが親父の厩舎の馬にたくさん乗ってくれるのは大歓迎。なぜなら、ミルコが乗る馬はいい馬が多いから、ミルコが遠征や他の有力馬の依頼と重なって乗れない場合、僕らにチャンスが回ってくる可能性があるからね。モチベーションが上がるよ。

ミルコ そうなんだ。去年はビッグアーサーに乗れなかったことが悔しかった。シルクロードSは、僕が馬場を読み間違えて負けてしまったけど(5着)、先生には「この馬はめっちゃいい馬です。すぐにGIを勝てます」ってずっと言ってた。でも、高松宮記念の日、僕はドバイに行っていたから乗れなくて…。先生にとっての初めてのGIは、僕が勝ちたかった。

佑介 でも、そのあとすぐに、ジュエラーで桜花賞を勝ったよね。

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▲▼厩舎初GIとなった高松宮記念から2週間後、桜花賞をデムーロ騎手の手で勝利 (C)netkeiba

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ミルコ そう。だから桜花賞は本当に嬉しかった。先生も佑介も、最初から「あの馬はすごくいい馬だよ」って言ってたもんね。

佑介 うん。ミルコはほかにもたくさんいい馬がいたから、密かに「ミルコ、別の馬に乗ってくれたらいいのに…」と思ってた(笑)。でも、シンザン記念のあとすぐに、「僕はジュエラーで桜花賞にいきたい」って言ってたから、早々にあきらめたけど。

ミルコ ごめんね、佑介。すみませんでした。

佑介 いや、全然謝ることじゃないから(笑)! それこそプロの選択だよ。早くから「桜花賞は絶対にチャンスだ」って言っていて、本当に勝ったんだからね。謙くん(池添騎手)もそうだけど、大きいところを勝つジョッキーはそういう見極めが早いし、なおかつ狙った舞台で本当に結果を出す。それがすごいなといつも思ってる。

ミルコ シンザン記念は2着だったけど、まだ2戦目で、しかも初めてのGIIIで、あの瞬発力を出せる馬はなかなかいないからね。本当に強いと思った。ジュエラーみたいな馬は大好き。・・・

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「with 佑」とは

JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

藤岡佑介

1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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