クジ運で明暗が分かれたYJS佐賀

2017年07月18日(火) 18:00


◆佐賀競馬の番組編成には、引き続き「喝っ!」

 17日、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドの5場目となる佐賀ラウンドが行われた。ぼくはここまでYJSのすべてのレースをグリーンチャンネル地方競馬中継で解説をさせてもらっているが、YJSに限らず、こうした騎手交流戦はとにかく予想が難しく、馬券がほとんど当たらない。

 それには理由があって、スーパージョッキーズトライアル(SJT)なども含め、騎手交流戦では、騎乗馬の抽選で明らかな有利・不利が起こらないよう工夫して番組を組んでいる主催者が多いからだ。

 ところが佐賀のYJSの枠順を見てちょっと疑問を感じたのは、第1戦が「3歳-1組」、第2戦が「B-2組」という番組が充てられていたこと。それぞれ3歳、B級というカテゴリーの上位馬の組み合わせだ。

 ちなみに説明しておくと、この開催では前日にB級のS2重賞・カンナ賞が組まれていたが、これはカンナ賞の次がB-2組というわけではなく、カンナ賞=1800メートル、B-2組=1400メートルという距離の違いでB級上位馬が振り分けられたもの。必ずしもカンナ賞の出走馬がB-2組よりも上というわけではない。

 こうしたカテゴリーごとの上級組には、明らかに格上の存在がいるもので、そのとおり両レースとも、専門紙の印はグリグリで単勝1倍台という圧倒的な人気馬がいた。

 当然のことながら、その馬に当たった騎手は「ラッキー」となり、逆にレース前から着外かとあきらめるしかないような馬もいる。

 騎手交流戦でも、たとえば同じ佐賀で行われている『里帰りジョッキーズカップ』のような、お祭り的な趣向の騎手交流戦なら「運がよかった/悪かった」という話で済ませられる。しかし、YJSやSJTのように、ポイント上位になってさらに上の舞台を目指すというような騎手交流戦ともなれば、クジ運だけで結果が決まったというような状況は極力避けるべきだろう。

 参考までに、ここまでに行われたYJSの、1〜3着馬の人気を列挙してみる(それぞれ、第1戦/第2戦の、1,2,3着馬の人気)。

 高知:7,6,2/1,6,3
 笠松:4,1,2/6,4,1
 川崎:1,3,8/5,1,7
 名古屋:3,7,2/8,4,1
 佐賀:3,1,7/1,2,6

 人気は馬券を買うファンが最終的に決めるものであり、必ずしもそれが馬の実力を示していないこともあるが、1番人気馬はおおむね上位に来ていて、まったくの人気薄はほとんど馬券にからんでいない。そうした中で、佐賀は2戦とも3番人気以内の馬が1、2着を占めるという、目に見えての堅い決着。つまりそれだけ馬の能力差がはっきりしていたということ。これでは騎手の腕比べという興味は薄れてしまう。

 冒頭でも触れたとおり、最近ではこうした騎手交流戦では工夫して番組を組む主催者も目立ってきていて、たとえば名古屋などは「専門紙協会記者選抜」として拮抗した能力の馬ばかりでレースを組み、たしかに予想が超難解なことが多い。またYJSトライアルラウンドの高知では、C3という最下級条件の選定馬でレースを組んでいて、たしかにこれも能力比較が難しいメンバーだった。

 佐賀競馬の番組編成では、今どき条件クラスの重賞を組んでいることなど、昨年までのコラム『地方競馬に吠える!』でさんざん指摘したが、騎手交流戦でも普段どおりの番組を充てるだけという、前時代的な頭の硬さが見られた。

 そういうわけで佐賀競馬の番組編成には、引き続き「喝っ!」を言い続ける(書き続ける)ことになる。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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