【ヤングジョッキーズシリーズに向けて】フリーになって心機一転、井上敏樹の挑戦

2017年08月22日(火) 18:00

井上敏樹

フリー転向1年目、期待の若手井上敏樹騎手にインタビュー!


「絶対ファイナルに残って大井で乗ってみたいです!」

赤見:現在ヤングジョッキーズシリーズが各地で行われていますが、井上騎手は7月の門別TRに参戦して6着4着。今後は船橋TR(10/26)、浦和TR(11/22)へ参戦予定です。シリーズの印象はいかがですか?

井上:若手同士だからいつも以上に気持ちが熱くなりますね。みんなで切磋琢磨しながら盛り上げていければと思います。中央は若手限定戦がありますけど、地方の若手と一緒に戦う機会ってなかなかないですから、すごくいい経験をさせていただいています。お互いに刺激し合ってがんばりたいですね。

赤見:これまで、地方で乗った経験というのは?

井上:浦和と川崎で乗せてもらった経験があります。どちらも小回りですごくコーナーがきつくて。難しかった印象ですね。あと4戦騎乗できるので、絶対ファイナルに残って大井で乗ってみたいです!

赤見:では、これまでを振り返っていただきたいのですが、井上騎手は中学生の頃から乗馬をしていたそうですね。

井上:はい。中2の10月から始めました。母に勧められてですね。体を動かすのが好きっていうのと、動物が好きだったし、僕の同級生もやっていたので、そのつながりで。乗馬って、「高そう」っていうかセレブがやるイメージがあったんですけど、すごく安いクラブで月3000円ですることができたんです。市営のクラブなんですけど本当に安くできて有り難かったですね。

赤見:埼玉県出身ですよね?

井上:そうです。秩父市です。たまに他のクラブに遠征に行ったりするんですけど、そこの値段を聞いてびっくりしました。普通のクラブではとてもじゃないですけどできなかったですね。

赤見:秩父の大自然の中で育まれたんですね。

井上:そうですね。ただ、秩父っていうとものすごい山の中を想像されるんですけど、家があるところは普通に平野ですからね(笑)。

赤見:失礼しました!そこから騎手を目指すというのはどういう経緯だったんですか?

井上:馬事公苑で初級とか中級とかの試験があって、そういうのをやっていくうちに騎手っていう職業に憧れを持つようになりました。全然体も大きくならなかったですし、目指してみようかなって。

赤見:1年高校に行ったんですよね?

井上:そうなんです。中学3年の時も受けようと思ったんですけど、一週間過ぎてたんですよ!この話をするとよく笑われるんですけど(笑)。騎手学校受けたいなと思って、JRAのホームページを見たら、「今年もう終わってる!」って…。けっこう締め切りが早いんですよね。それで高校へ行って、気持ちが変わらなかったら受けようと思ってて、1年行って気持ちが変わらなかったので受けました。

赤見:乗馬を勧めてくれたお母さんの反応はいかがでした?

井上:多分「受からないだろう」という感じだったと思います。難しいって聞いてましたし、合格の人数も少ないので。でも合格が決まった時はすごく喜んでくれて、僕もものすごく嬉しかったですね。競馬学校に入って、厳しいこと辛いこともたくさんありましたけど、同期と一緒に切磋琢磨することができました。全然厩舎関係者に知り合いがいない中で、本間(忍)先生が所属にしてくれてとても有り難かったです。今年フリーになったんですけど、心機一転というか、またここから新たなスタートですね。

赤見:2014年にデビューして今年4年目です。ここまでいかがですか?

井上:大変だとは思っていましたけど、想像以上に厳しい世界だなと。勝負の世界だし、お金が掛かっていることなので当然なんですけどね。華やかなイメージもありますけど、そこは一部だけですし、もっともっと努力して上に行きたいです。

井上敏樹

2014年にデビューし、4月13日にバンクシーで初勝利

赤見:2年目に23勝して存在感を示しましたよね。

井上:本当に僕は恵まれているなと思います。その年はトーセンナチュラルに乗せていただいたことも大きかったですね。

赤見:オークスへの出走権が掛かったスイートピーSで15番人気2着に大健闘!ご自身は勝ち星が足りなくてGI騎乗はできないという中での素晴らしいレースでした。

井上:本当に大きな経験をさせていただきました。でも、悔しかったです。勝ちたかったですね。周りの方からは、権利が取れたって喜んでいただいたんですけど、やっぱり勝ってこそじゃないですか。力のある馬ですし、しかもハナ差ですからね。勝ちたかったです。今でもすごく悔しいですね。

赤見:あのレースで名前が知られたんじゃないですか?

井上:そうですね。いろんな方に覚えていただいて、声をかけてもらえるようになりました。馬に乗せてくれた関係者の方々にも、とても感謝しています。

赤見:今年4年目です。現状はいかがですか?

井上:51勝して減量が☆になりましたし、来年まで減量があるというのはすごく有り難いです。101勝すれば自力で減量が取れるので、自力で減量を取ることを目指しています。

赤見:大変なことはたくさんあると思いますが、騎手として具体的にどんなことが難しいですか?

井上:当たり前なんですけど、引っ掛かる馬で力を溜める、力を使わずに抑える、動かない馬を抑える、その辺は上のジョッキーになればなるほど上手いなと思います。まだまだ勉強することがたくさんあるので、いろいろな方にアドバイスをいただいてます。先輩たちは、聞けばみなさん親切に教えてくれるので。

赤見:目標を教えて下さい。

井上:さっきも言ったんですけど、やっぱり自力で減量を取るというのが大きいので、来年が終わるまでに100勝したいです。それが今の目標です。ゆくゆくは重賞を勝ったり、GIをという気持ちもありますけど、まずは目の前の1つ1つを丁寧に乗ることなので、そこを大事にしたいです。

赤見:今、楽しいですか?

井上:楽しいですよ。なかなかスポットライトが当たるような場面は少ないですけど、馬が好きですし、すごく楽しいです。それに、YJSも始まって、若手が注目してもらえる場が増えましたし、モチベーションも上がりますよね。このシリーズを通して、皆さんに知ってもらいたいです。絶対活躍したいですね。

赤見:井上騎手の、アピールポイントは何ですか?

井上:スタートですかね。そこはけっこう誉めてもらえてます。そういうところを活かして前々で積極的なレースをしたいです。

赤見:負けたくない人はどなたですか?

井上:同期みんなに負けたくないんですけど、けっこう水をあけられちゃっているんですよ。同期で今勝ち星が一番下なので、そこに甘んじてはいけないと思っています。(同期は石川裕紀人騎手や松若風馬騎手など)みんながんばっているので、僕も負けないようがんばります!

井上敏樹

同期のみんなに負けないようにがんばります!

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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