新人インタビュー第二弾!今回は安田翔伍新調教師を直撃

2017年09月26日(火) 18:00

安田翔伍

前回に続いて新調教師インタビュー!安田翔伍新調教師に心意気をお聞きしました


父・安田隆行師から「責任感と緊張感をもって」と

 日曜日は、久々に阪神競馬場へ行ってきました。やっぱり競馬場がにぎわってるっていいな。

 神戸新聞杯、ダービー馬の強さを目の前で見て感動!最後の直線息が入ってから一気に駆け上がってきた勇姿は、素晴らしかったです。ダービーは、見られなかったけどここでも強さを証明してくれました。

 ルメール騎手はひと夏越して馬体が引き締まり性格も大人になっていて、ジャパンカップまでにはもっと成長してくれそうで楽しみだと話していました。ルメール騎手のお父さんも見に来られていて勝利の喜びを分かち合っていました。

ルメール

ルメール騎手のお父さんとも勝利の喜びを分かち合っていました

 ジャパンカップの前に凱旋門賞へ大きな弾みになったことでしょう。この秋も競馬から目が離せませんね。秋を満喫してください。

***

 さて第二弾、難関調教師試験を突破された安田翔伍新調教師に心意気をお聞きしました。

常石 難関突破おめでとうございます。やっとお会いできました。長い間北海道へ行かれていたんですね。

安田翔 ありがとうございます。時々は帰ってきましたけど6か月くらい行ってたかな。自厩舎の馬が北海道開催に出走していたので忙しかったですが、その合間を見てたくさんの牧場を回りいろいろ勉強してきました。何でも聞いてください。

常石 お疲れ様です。一番印象に残った牧場はありましたか?

安田翔 牧場の特徴がそれぞれあるのでとっても勉強になりました。小さな牧場でもこだわってやっているところがいいなーとか、大きな牧場はさすが全てが揃ってるなーなど感じましたり、それぞれの牧場の良さを感じ思う存分勉強できましたよ。安田厩舎スタッフをはじめいろんな方に応援していただいています。

常石 そんな環境にあるのは幸せですね。ところでロードカナロアの仔が大活躍をしていますね。

安田翔 ロードカナロアの仔が活躍してくれるのはうれしいです。新種牡馬になっても大切な役割をしてくれうれしいですね。うちの厩舎も既に3勝し好調ですね。トロワゼトワル(牝)が勝った時は、安田隆行調教師(父)もよろこんでいました。

常石 先生が手掛けた馬の子どもたちが活躍してくれるのはうれしいですね。僕も引退してからオースミコスモをたずねて北海道の牧場へ行きました。コスモの仔もはしってくれるかな?と期待をしていてもなかなか走ってくれないのが残念だけどやっぱり期待してしまいますね。

★トロワゼトワルが勝利した際に、担当の岩本助手に取材させていただいたときのメッセージです。

常石 おめでとうございます。この馬の特徴を教えてください。

岩本 二歳馬だけどすごく落ち着いていて飼い葉食いもよく扱いやすい馬です。最終追い切りは、松若風馬騎手に乗っていただきましたが「いい動きをしますね。本番が楽しみで僕も乗ってみたいです」と言ってくれました。本番では、福永騎手で勝ってくれましたね。レース後も回復が早く飼い葉をぺろりとたいらげていました。肝っ玉が据わってるというか?あっ牝馬やったなというくらい(笑)。大物になってくれると思うよ。

 ゲート練習でもゲートの中でおとなしく立っているからスタートが速い。競馬場の雰囲気に慣れてくればもっと力を出してくると思う。まるで古馬のような雰囲気を持っていますね。こんな二歳牝馬は、初めての体験です。みたことないなー。

常石 トロワゼトワルを見せていただきましたが、短距離馬らしい馬体で筋肉もしっかりしていますね。今後の走りに注目です。楽しみにしています。改めてロードカナロア産駒の強さを実感しました。翔伍さんは、どうですか?

安田翔 思い入れは、やっぱりありますよね。ロードカナロアもスプリントタイプですしね。本当によく走ってくれて年度代表馬、海外GI2勝など素晴らしい馬でした。カレンチャンとトランセンドもすごい活躍してくれましたね。僕は父の厩舎で助手を14年間してきましたが、この馬たちとの出会いは調教師を目指そうという思いにさせてくれました。そして馬を作っていく難しさを実感したし、悔しさも体験しました。

常石 トランセンドのドバイでの2着は悔しかったですね。

安田翔 トランセンドは、やってくれると期待してましたからね。2着は、ホンマに悔しかったです。

常石 今後はどんな厩舎にしていきたいですか?

安田翔 馬に対してもスタッフに対しても責任感が持てないうちは、調教師になってはいけないと思っています。馬には言葉はありません。でも毎日見ていると言葉を発していると思う。目の輝き、仕草や表情、馬体の変化など言葉以上に自己アピールしていると思う。その思いや気持ち、馬体の変化に気づき、見抜けるホースマンになりたいと思います。

ルメール

馬の思いや気持ち、馬体の変化に気づき、見抜けるホースマンになりたいと思います

 強い意志が持てるようになりやっと責任感というものがわかり始めたので調教師になりたいという思いも強くなってきました。

常石 責任感って強い感情ですね。

安田翔 そうそう、それぐらいの強い気持ちを持っていないとやってはいけないと思うんですよね。馬の可能性を見つけ出せるような仕事をしていきたいです。活字にはできないレシピがあると思います。生まれたばかりの馬を見つめていき、可能性を見つけ出せるトレーナーを目指したいと思います。馬の持っている能力だけでは勝てないと思うので、この馬の競馬で勝つパターンや適性を見つけ出すことがとっても大事だと思っています。

常石 見極めってとっても大事だと僕も実感します。現役時代に経験したな。本当に難しいですよね。

安田翔 やりがいのある仕事だと思います。責任感がないとできないですよね。

常石 お父さんの厩舎と直接対決もできますね。

安田翔 とんでもない。安田隆行調教師は自分と比べられないくらいの大物ですしとっても尊敬していますが、目標にはしません。胸を借りていきます。客観的に見つめ1歩でも近づき追いつけ追い越せの気持ちをもっていかないとこの世界でやっていけないと思っています。

常石 すごい覚悟ですね。栗東だと一番若い調教師になるんですか?

安田翔 若いからと言って甘えは許されないですよね。それが責任感でしょう。関東の方が最年少は4歳年下ですけどね。安田厩舎(父)の助手をして大きな体験をたくさんしているので、生かしていきたいと思っています。安田隆行調教師からも、「責任感と緊張感をもって」務めるようにと助言をいただきました。常ちゃんもパラリンピックへ行くと決め、覚悟を持ち責任感もって戦ってください。応援しています。

常石 ありがとうございます。頑張る!翔ちゃんのパワーも送ってな!安田調教師の存在は、大きいですね。先生は騎手としても調教師としても素晴らしい実績をあげられてるから、学ぶところはいっぱいあるでしょ。最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

安田翔 もちろん強い馬もいますが走れなかった馬もいますので、馬主さんに迷惑かけない、つらい思いをさせないようなトレーナーになっていきたいです。ロードカナロアやカレンチャンなど強い馬に出会って来たのが僕の大きな強みです。経験を活かし「記憶にも記録」にも残る馬をつくっていきたいです。頑張りますので応援してください。

常石 貴重な時間をありがとうございます。また取材お願いします。これからは、翔伍先生と呼ばないといけないですね。

安田翔 いやいや今まで通り翔ちゃん常ちゃんでお願いします。

常石 翔ちゃん、ありがとうございます。

***

 翔ちゃんはトレセン内をウロウロしていると「つねちゃん!」と気さくに声をかけて頂き情報提供してくださるありがたい存在です。

 翔ちゃんのお兄さん(景一朗さん、調教助手)も頼りになる貴重な存在です。そんな強い絆で結ばれ強い馬づくりを経験されてきた翔伍先生にエールを送りたいです。がんばれ、翔ちゃん!

ルメール

調教助手のお兄さんも頼りになる存在です!

つねかつこと常石勝義でした。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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