JpnI3連戦の超豪華な一日/JBCクラシック・スプリント・レディスクラシック

2017年11月02日(木) 18:00


ダートグレード競走の集大成と言える特別な一日

 11月3日(祝・金)は地方競馬ファン待望のJBCデー。JBCクラシック・JBCスプリント・JBCレディスクラシックの3レースに今年も超豪華メンバーが集結。ダートグレード競走の集大成と言える特別な一日。年間を通して見続けてきた各路線の重賞レースや・ステップレースを踏まえ、私たち競馬ファンも予想の段階から心が躍ります。

 それでは3つのレースを順番に展望していきましょう。

ホワイトフーガ、史上初の3連覇なるか

 まず大井7Rはダート1800mで争われる『第7回JBCレディスクラシック』。2011年に創設された、ダート戦では日本で唯一の牝馬限定のJpnI競走。これまでミラクルレジェンド(2011年、2012年)と、ホワイトフーガ(2015年、2016年)が連覇を達成。ホワイトフーガがレース史上初の3連覇をかけて出走します。

 ホワイトフーガは今年に入ってからマリーンCとさきたま杯を制し重賞2勝。特にさきたま杯ではモーニン、ベストウォーリアら牡馬の一線級を相手に完勝し、5歳となってますます力を付けている印象です。その後はスパーキングレディーCでアンジュデジールの4着、レディスプレリュードでクイーンマンボの2着と負担重量の軽い3歳馬たちに先着を許していますが、今回は3歳勢との重量差もわずか2kg。一昨年このレースを制した時と同じ舞台・大井1800m戦を55kgで戦えるのは願ってもない好材料。3連覇を実現する可能性大です。

3連覇を目指すホワイトフーガ(写真は2017年さきたま杯優勝時、撮影:高橋正和)

 登録のあったクイーンマンボの回避で俄然注目が集まるのが関東オークスでクイーンマンボの2着だった3歳馬アンジュデジール。続くスパーキングレディーCを制し重賞タイトルを手にしました。前走・レディスプレリュードではクイーンマンボ、ホワイトフーガに次ぐ3着。大舞台での逆転なるか注目です。

アンジュデジールの逆転なるか(写真は2017年スパーキングレディーC優勝時、撮影:高橋正和)

 JRA勢は他にもマリーンC(6着)以来7か月ぶりの休み明けとなるワンミリオンス、今回が初ダートとなるキンショーユキヒメらが出走します。

休み明けで参戦のワンミリオンス(写真は2017年エンプレス杯優勝時、撮影:高橋正和)

 地方勢からは大井のララベルに期待します。ローレル賞、東京2歳優駿牝馬、浦和・桜花賞、ロジータ記念、しらさぎ賞を制している地方重賞5勝馬。今年に入ってマリーンC2着、スパーキングレディーC2着、レディスプレリュード4着と一線級のJRA勢と互角の戦いができることを見せてくれています。ダートグレード競走のタイトルまであと1歩。昨年は無念の競走除外でしたが、地方勢代表としてその悔しさを晴らす走りを見せて欲しいと思います。

地方勢からは大井のララベルに期待(写真は2016年しらさぎ賞優勝時、撮影:武田明彦)

このレースこそ地方馬の出番あり!

 続いて大井8Rはダート1200mで争われる『第17回JBCスプリント』。昨年の覇者ダノンレジェンドが引退し、スプリント戦線はレースごとに勝ち馬が変わる混戦模様。絶対的王者不在で地方勢にもチャンスあり。JBCデーの3レースの中でも最も難解で、かつ最も面白い組み合わせとなりました。

 コパノリッキーがJBCクラシックではなくJBCスプリントを選択したのは大きな話題のひとつ。2016年の盛岡・マイルCS南部杯を1分33秒5というまるで芝のレースのようなレコードタイムで快勝していることからもスピード競馬へ十分対応できるとみての参戦でしょう。年内で引退が発表されたGI・JpnI10勝馬の新たなる挑戦に敬意を表したいと思います。7歳にして初めての1200m戦となりますが、すんなりと自分の競馬が出来れば絶対的な能力の差で圧勝まであるかもしれません。史上初のGI・JpnI11勝達成なるか?!森泰斗騎手との初コンビにも注目です。

コパノリッキーは森泰斗騎手との初コンビにも注目(写真は2017年マイルCS南部杯優勝時、撮影:高橋正和)

 ノボバカラは前走・マイルCS南部杯で逃げ粘ってコパノリッキーの2着。出遅れて大敗が続いていましたが、前に行ければしぶといところを見せてくれました。大井は過去に1戦(2016年東京盃)して9着に敗れていますが、今回は鞍上に大井の御神本訓史騎手を配し万全の態勢。2007年にフジノウェーブでこのレースを制している御神本騎手、2度目の制覇なるでしょうか。

ノボバカラは鞍上に大井の御神本訓史騎手を配し万全の態勢(写真は2016年カペラS優勝時、撮影:下野雄規)

 第3回を制したサウスヴィグラス産駒の牝馬コーリンベリーは、2015年に見事逃げ切り勝ちを収め、父子制覇を果たしました。昨年のJBCスプリントは川崎の1400mで3着。得意の大井1200mで復活の勝利を挙げることができるでしょうか。前走・東京盃は休み明けで馬体重+12kgと太め残りで6着。叩き2戦目の今回は上昇必至です。

コーリンベリーは復活の勝利を挙げられるか(写真は2016年東京スプリント優勝時、撮影:高橋正和)

 ニシケンモノノフのダートグレード競走初制覇は2歳時の兵庫ジュニアグランプリ。早い時期にダートグレード競走を勝ちましたが、その後はなかなか勝つことが出来ませんでした。4歳時からまた着実に力を付け、5歳暮れの兵庫ゴールドトロフィーでダートグレード競走2勝目を挙げ、2月のGIフェブラリーSで5着、2走前の北海道スプリントCではダートグレード競走3勝目を挙げるまでに成長を遂げました。初めての大井参戦だった前走・東京盃は1番人気に推されて3着でしたが、果たして今回は!?

着実に成長を遂げているニシケンモノノフ(写真は2017年北海道スプリントC優勝時、撮影:田中哲実)

 JRAからは他に2014年の覇者・10歳馬ドリームバレンチノ、芝のGIホース・9歳馬スノードラゴン、約3年ぶりのダート戦で鞍上に中野省吾騎手を配したネロも参戦。個性派が7頭揃いました。

2014年の覇者・10歳馬ドリームバレンチノも健在(写真は2016年東京盃優勝時、撮影:高橋正和)

 そしてこのレースこそ地方馬の出番あり!その筆頭は前走・東京盃を制した船橋のキタサンミカヅキ。8月にJRAから移籍後初戦のアフター5スター賞を快勝。続く東京盃ではニシケンモノノフ、ドリームバレンチノ、コーリンベリーらを破って重賞2勝目、ダートグレード競走初制覇を達成しました。この勢いで天皇賞・秋に続いて“キタサン”の馬が勝利する可能性も。

ダートグレード競走2勝目を狙うキタサンミカヅキ(写真は2017年東京盃優勝時、撮影:武田明彦)

 東京盃は地方勢のワンツー。2着だった浦和のブルドッグボスも有力馬の1頭。こちらは7月にJRAから移籍し2戦目のクラスターCでダートグレード競走初制覇。その後も堅実な走りを見せていて、ここでも上位争いに加わってくるに違いありません。

浦和のブルドッグボスも有力馬の1頭(写真は2017年東京盃出走時、撮影:武田明彦)

 王者コパノリッキーの参戦が大混戦に拍車をかけているJBCスプリント。コパノリッキーがGI・JpnIで11勝目を挙げるのか。2007年の覇者・大井のフジノウェーブに続く2頭目の地方所属馬によるJBCスプリント制覇が実現するのか。馬券的にも面白いレースになりそうです。

頂上決戦にふさわしいメンバーが揃う

 さあ最後は大井9R。ダート2000mで争われる『第17回JBCクラシック』。昨年このレースをアウォーディーが制した後に行われた1年間の古馬ダートGI・JpnIレースの結果を見てみると、12月のチャンピオンズカップはサウンドトゥルー、東京大賞典はアポロケンタッキー、2月の川崎記念はオールブラッシュ、フェブラリーSはゴールドドリーム、5月のかしわ記念はコパノリッキー、6月の帝王賞はケイティブレイブ、10月のマイルCS南部杯はコパノリッキーと勝ち馬がコロコロと代わる大混戦。唯一2勝しているコパノリッキーがJBCスプリントに回ったことも混戦に拍車をかけています。

 群雄割拠の現状から抜け出し、王者に君臨するにはどの馬か?!頂上決戦にふさわしいメンバーが揃いました。

 まず注目は武豊騎手が騎乗する昨年の覇者アウォーディー。今年はドバイワールドCに挑戦(5着)し、その後の帝王賞では気性の難しいところを見せ落鉄もあり3着。一昨年秋、ダート路線に転向後、1600万下からシリウスS、名古屋大賞典、アンタレスS、日本テレビ盃、JBCクラシックと6連勝でJpnIタイトルを獲得。ダート王者が輝きを再び取り戻すべく連覇に挑みます。

武豊騎手が騎乗する昨年の覇者アウォーディー(写真は2016年JBCクラシック優勝時、撮影:高橋正和)

 大井の2000m。今年のJBCクラシックと同じ舞台の帝王賞を制したケイティブレイブ。前に行くと思われていたところまさかの出遅れ。後方からの競馬で見事な差し切りを決めての勝利は、自身の走りの幅を広げたと言っていいでしょう。4歳の若きパワーで世代交代を印象付けたい戦いです。

若きパワーで世代交代を印象付けたいケイティブレイブ(写真は2017年帝王賞優勝時、撮影:高橋正和)

 すっかりベテランの域にあるサウンドトゥルー。前走・日本テレビ盃ではゴール前4頭の叩き合いの末、惜しくも2着。安定感抜群の走りで昨年3着以上を目指します。

安定感抜群の走りが魅力のサウンドトゥルー(写真は2016年チャンピオンズC優勝時、(c)netkeiba.com)

 その日本テレビ盃で壮絶な叩き合いをクビ差で制したアポロケンタッキー。大井の2000mは昨年の東京大賞典を制した舞台。再びのGI・JpnI制覇へ向けて視界良好です。

再びのGI・JpnI制覇を目指すアポロケンタッキー(写真は2017年日本テレビ盃優勝時、撮影:武田明彦)

 この他、昨年10月の1000万下から3連勝で川崎記念を制したオールブラッシュ。1月の東海Sで強い勝ち方をしたグレンツェント。マーキュリーCを勝ち重賞ウイナーの仲間入りをしたミツバも参戦。今年はJRA勢7頭のうち5頭がGI・JpnIタイトルホルダー。地方勢には前走・東京記念を勝ったサブノクロヒョウがいますが、形勢不利と言えそうです。

3連勝で川崎記念を制したオールブラッシュも有力(写真は2017年川崎記念優勝時、撮影:高橋正和)

 2001年に創設されたJBC競走。今年もJBCクラシック、JBCスプリント、JBCレディスクラシック、3つのレースに個性的で魅力あふれるメンバーが揃いました。ダート競馬の祭典、可能な方はぜひ現地で特別な一日を体感してください。そしてもちろん遠隔地の方やお仕事等でどうしても行けないという方も、それぞれの場所から熱い視線を送っていただきたいと思います。

※次回の更新は11月20日(月)18時。翌日に園田競馬場で行われる「兵庫ジュニアグランプリ」のコラムをお届けします。


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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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