冬の水沢といえば、いもの子汁

2017年11月21日(火) 18:00

水沢食堂

ホルモンで有名な水沢食堂


◆具だくさんで最後までアツアツだ

 19日の水沢・ダービーグランプリは、雪の中で行われた。ピンポイント予報でも確認して、相応の防寒対策をしていったし、ずっと外にいるわけでもないので、寒さ自体は想定の範囲内だったのだが、地元記者の話でも、11月の水沢で積もるほどの雪が降るのはめずらしいそうだ。

 1998年11月23日。盛岡競馬場で行われる予定だった第13回ダービーグランプリは、降雪のため第5レースまでで打ち切り。20日ほども時期を繰り下げた12月14日の月曜日、場所を水沢に移して、その年のダービーグランプリは行われた。

 断然人気は、ユニコーンSなどを含め中央・地方のダートで5連勝中だったウイングアローだが、延期の影響があったのかどうか。直線で先頭に立ったナリタホマレを3/4馬身とらえきれず2着に敗れた。勝ったナリタホマレの鞍上は、短期免許で来日していたマイケル・ロバーツ騎手。前日の朝日杯3歳Sをアドマイヤコジーンで制しており、ロバーツ騎手は連日のGI勝利ということでも話題になった。

 今年のダービーグランプリには、高知二冠に加えて西日本ダービーも制したフリビオンが遠征してきたが、この年は高知三冠馬カイヨウジパングが参戦。中止になった盛岡、そしてあらためて水沢へと2度の長距離輸送もあって、残念ながら6着だった。

 今回、雪のダービーグランプリでは、当時を知る競馬仲間や記者の間で、そんな思い出話に花が咲いた。

 そして今年、勝ったのは北海道から遠征のスーパーステション。北海道所属馬がダービーグランプリを制したのは、1991年のリバーストンキング以来26年ぶり2頭目。真冬のような気候に慣れていたから、ということもないだろうが、それにしても強い勝ち方だった。

 そして佐賀への西日本ダービー遠征を経て、さらなる長距離輸送で臨んだ南国土佐のフリビオンが、ゴール前迫っての2着という走りには驚かされた。

 さて、冬の水沢では、迷わずコレ! という地元グルメがある。いもの子汁だ。

 うどんやラーメンでも温まるが、それらはどこでも食べられる。いもの子汁は、たしか盛岡競馬場にもない。盛岡競馬場にあるのは、『ひっつみ』という、すいとんのような汁物。同じ岩手県とはいえ、盛岡は北東北の南部藩、水沢は仙台藩に近い水沢藩だから、食文化もちょっと違うのかもしれない。

 いもの子汁は、冒頭の写真にあるとおり、ホルモンで有名な水沢食堂で食べられる。

水沢食堂

いもの子汁、茶色い物体(笑)は味噌焼おにぎり

 右側にある茶色い物体(笑)は、味噌焼おにぎり。その大きさの比較から、いもの子汁のお椀が、いかに大きいかがわかっていただけるだろうか。

 どんぶり飯、生卵、小鉢、おしんこが付いた、いもの子汁定食もあるが、いもの子汁の量からして、おにぎり1個で十分。ちなみに、焼おにぎりや普通のおにぎりは2個で300円だが、「1個だけ」と言えば、1個150円でも売ってくれる。

 いもの子汁には、大ぶりの里芋が4つか5つも入って、豆腐、鶏肉、きのこ、長ネギなど具だくさん。汁にはとろみがついているから最後までアツアツだ。

 水沢競馬の開催も、年明けの8日まで、残すところあと1カ月半ほど。大晦日の桐花賞や、最終日のトウケイニセイ記念の開催などは盛り上がる。

 今の岩手競馬では、大レースの多くが盛岡で行われるが、機会があれば水沢競馬場にもぜひ。そして寒い時期には、いもの子汁をどうぞ。

水沢食堂

寒い時期には、いもの子汁をどうぞ

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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