イブキダイハーンらが辿り着いた終の棲家(3) 命を預かる仕事の責任「馬房掃除を人に任せては意味がない」

2017年11月21日(火) 18:00

第二のストーリー

▲現在は浦野牧場で暮らすイブキダイハーン(提供:NPO法人引退馬協会)

「引退後の馬がどうなるのかを広く知ってほしい」

 日本初の養老牧場「イーハトーヴ・オーシァンファーム」が所有していたメリー(牝28・サラブレッド・競走馬名不明)、イブキダイハーン(セン26・サラブレッド)、ホクトヴィーナス(牝22・アングロアラブ・競走馬名イワノダンシング)の3頭は、かつてオーシァンファームに愛馬を預け、自らも浦野牧場という養老牧場を始めた浦野正義さんのもとにやって来た。

 最年長・28歳のメリーは、オーシァンファーム創設者の故・大井昭子氏が自ら連れてきたという28歳の栗毛の牝馬だ。以前はあったはずの健康手帳がなく、競走馬名ははっきりしない。

「性格は大人しいですよ。28歳という年齢のわりにはしっかりしています。年ですからそんなには太らないですけど、それでも足腰はまだ丈夫です。削蹄をする時には長くは脚を上げていられませんけど、結構、放牧地を走ったりもしていますし、元気です。まだまだ長生きできそうな気がしますね」

 浦野さんによると、高齢とはいえ健康状態は良好のようだ。 

 イブキダイハーンは、26歳。競走馬時代は重賞レースでも活躍した馬だが、現在はセン馬となっている。

「これも大人しくて、人の言うこともよくききますね。競馬でよく走ったというイメージはあまりないです。ただマイペースで、猫みたいな性格ですわ。気に入らないことがあると呼んでも来ない(笑)。ホクトはメリーが一緒にいないとダメなんですけど、イブキは1頭でも平気という感じです」

 ホクトヴィーナスは、アングロアラブの22歳。イワノダンシングという名前でレースに出走しており、浦野牧場の隣人が競走馬時代のオーナーという偶然の巡り合わせもあった。

第二のストーリー

▲▼栗毛のメリーと芦毛のホクトヴィーナス(提供:NPO法人引退馬協会)

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「元競走馬らしいピリッとした神経質な面を持っていますけど・・・

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佐々木祥恵

北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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