浦和競馬場に来たら埼玉地鶏タマシャモを

2017年12月26日(火) 18:00

【年末年始の更新スケジュール】

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◆臨時店舗からファンの支持を得て常設店舗となった人気店!

 近ごろ、競馬場のグルメでつまらないなあと思うのが、キッチンカーものが多くなったこと。

 ただそれは仕方のないことでもある。中央も地方も、今や馬券の売上に占めるネットの割合が50%を大きく超えた。つまり昔のように競馬場には人は来ない。地方競馬には普段の日の入場人員が1000人前後なんていうところもめずらしくない。そのうち、何時間も競馬場で過ごすという人はそう多くはないはず。そんな状況の競馬場内で常設の飲食店を経営するというのはなかなかに難しい。よほどの常連さんがいて、しかも利益率の高いアルコール類をガンガン消費してくれるとかでもないかぎり、安定的な経営は望めない。そんな食堂のおじちゃんやおばちゃんは高齢化し、跡を継ぐ人もほとんどなく、体調を崩したところで残念ながら閉店となってしまうということも最近よく聞く話だ。

 そうした状況で、普段より多くのファンが来場する大レースや、年末・年始、連休などの特異日には、キッチンカーや特設のテントなどで飲食を提供するというのは当然の流れであろう。

 ただキッチンカーなどは、その土地ならではというものはあっても、その競馬場に行かないと食べられないというものではない。しかも、おいしい、めずらしい、と思っても、次回も競馬場に来てくれるかどうかはわからないので、競馬場グルメとして紹介することもできない。

 そんななかで、ごくまれにではあるものの、臨時の店舗がファンの支持を得て常設店舗となることもある。相変わらず前置きが長いコラムであるが、ここからが本題。今回紹介するのは、浦和競馬場の『タマシャモ』だ。

 浦和競馬場の本場開催日には、正門を入ってすぐのところにテントが並んでいて、開催ごとに埼玉県内各地の特産品やB級的なグルメが販売されている。そこでもう3年か4年ほど前からだったか、埼玉地鶏『タマシャモ』を使った焼き鳥やしゃもめしが人気で常設店となったのが、おじま自然農園さんだ。

タモシャモ

『タマシャモ』を使った料理は浦和競馬場のB級的なグルメ

 炭火で焼いた『しゃも焼き』(500円)は、鶏のさまざまな部位の焼鳥で、コリコリと歯ごたえがあり、噛めば噛むほど味が出てくる。そして一番のオススメは、タマシャモを4時間以上も煮込んだ出汁で炊き込んだという『しゃもめし』だ。炊き込みご飯のみの小(500円)と、おかずなどがついてお弁当のようになった大(800円)がある。

しゃも汁雑煮

しゃも汁雑煮はしゃもの手羽元が2本に、モチも2つ入って、なんと300円

 これはぜひ、温めて食べてほしい。お願いすれば電子レンジで温めてくれるが、持ち帰って茶碗に盛ってからレンジでアツアツに温めてから食べると、出汁がフワっと香ってきておいしさ倍増だ。ただし。重賞開催日など入場者が多いときは昼過ぎに売り切れてしまうこともあるので、お早めに。

 さらに、冬の寒い時期にオススメなのが、『しゃも汁雑煮』。しゃもめし同様、4時間以上煮込んで出汁をとり、白菜やネギや大根などもくたくたに煮込まれていて野菜の出汁も出ているから、これがおいしくないわけがない。ほろほろと崩れるほど煮込まれたしゃもの手羽元が2本に、モチも2つ入って、これがなんと300円(!)。

しゃもめし

しゃもめしも絶品

 それにしても、上のしゃもめしもそうだが、いわゆるインスタ映えしない写真で申し訳ない。もつ煮などが最たる例だが、茶色が基調のギャンブルフードはおいしそうな写真にするのはなかなかに難しい。

 ちなみにこのお店、早めに売り切れになってしまうことがある上に、閉店も早い。メインレースが4時前の冬の時期ならメインレースあたりまでやっているのだが、春から秋にかけての薄暮開催になると、メインレースのはるか前に閉店してしまう。おじま自然農園でタマシャモを飼育している尾島さん(いちばん上の写真の向かって左の方)は、『穂久柳(ほくりゅう)』という、しゃも肉料理をウリにした中華料理屋さんもやっていて、その営業があるため、競馬場のほうは早めに店じまいしなければならないとのこと。

 浦和競馬場に来場の際は、彩の国さいたま地鶏タマシャモをぜひ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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