【特別編】23歳スター候補生、トップ獲りに向け決意新たに「勝負の世界ですから、ここで止まるわけにはいかない」

2018年01月01日(月) 18:01

ギャロップ翼

▲30日の大井最終レースで鮮やかな差し切り勝ちを収めた直後の笹川騎手に直撃!

南関東競馬は大晦日も元日も休まず絶賛開催中。ということで、笹川騎手、そして関係者の皆さまの頑張りに負けないよう"ギャロ翼"も元日から更新!さらに今回は特別編として、年末30日の開催直後の笹川騎手に直撃。1番人気ラインハートに騎乗し、7着に敗れた東京シンデレラマイル(SIII)の反省から、2018年の抱負など、23歳・スター候補生の“最新情報”を伺いました。(取材・文:赤見千尋)

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。笹川翼騎手へ「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。【⇒質問フォームへ】

17年は悩んだ一年「ここを突破できればもっと上に行ける」

――今回のインタビューは12月30日のレース後にお時間を取っていただきましたけれども、先ほどの最終レースは出遅れからの差し切り勝ちで魅せてくれましたね。

笹川 勝てて良かったです。出遅れたのは想定内でしたし、あの馬には道中ムリに上がって行かない方がいいかなと。今はずっと前残りの馬場なので、ジョッキーの心理的にもみんな前に行きたくてペースが速くなるだろうなと思いました。馬も頑張ってくれましたし、上手くハマりましたね。

――さすが、いつも冷静ですね。

笹川 いえいえいえ、いつも焦ってます(苦笑)。

――この勝利で今年131勝。去年の133勝まであと2勝です(※12月31日の開催を終えて131勝となりました)。

笹川 ここまでケガなく1年乗れたことは良かったですけど、数字的には物足りないですし、全然満足してないです。乗っている数も多いし、いい馬にたくさん乗せていただいているので、本当はもっともっと勝たないといけないんです。

――デビューしてから右肩上がりに急激に伸びて来ただけに、今年の成績も悪くないのに満足できないのでは?

笹川 自分自身もそうですし、周りの方々の目もそういう部分があるのかもしれません。勝負の世界ですから、ここで止まるわけにはいかないです。

――上位にいるのが当たり前の存在になって来ていると思うんですけど。

笹川 いえいえ、自分としてはそんなことないですし、一つ間違えればリズムが狂ってしまうと思います。来年はもっと周りの方々の見る目も厳しくなると思いますけど、常に危機感を持って気を引き締めて頑張ります。

――以前、リーディングを目指すためにはもう一つ殻を破らないといけないと仰っていましたね。

笹川 今の乗り方のままではリーディングは獲れないと思っています。もっと馬の動きの本質を考えることもそうだし、調教やレースで育てて勝ち方を教えてあげることも研究していかないと。いろいろ課題はありますね。

ギャロップ翼

▲笹川「今の乗り方のままではリーディングは獲れない。いろいろ課題はありますね」

――今日の東京シンデレラマイルは1番人気のラインハートに騎乗しましたが7着でした。スタートしてからいい位置につけていましたけど、直線伸びなかったですね。

笹川 道中いい位置につけられたことは良かったかなと思ったんですけど、結果的には馬を信じて乗ってあげられなかったことが敗因だと思います。前残りの馬場ということもあって、勝ちに動いて行く競馬をしてしまいました。それがラインハートにとってはリズムが早かったんだと思います。それでも一生懸命頑張ってくれたんですけど、あの馬らしいキレ味が出せなかったですね。負けたことは残念ですし、人気もしていたので本当に申し訳なかったです。今日で改めて実感したので今後に活かします。

――JBCレディスクラシックでものすごい切れ味を見せていましたが、脚の使い所が難しそうですね。

笹川 道中で使ってしまうと最後は止まってしまうし、今日は1800mからマイルに距離が短縮されて、前半脚を使った分難しかったです。

――1800mの方がいいですか?

笹川 1800mの方が展開が向くというか、じっくり溜めて乗れるので。大井のマイルは特殊なコースなので、船橋や川崎のマイルだったらまた違うと思います。すごくいい馬なので、また来年頑張ります。

ギャロップ翼

▲笹川「馬を信じて乗ってあげられなかったことが敗因。すごくいい馬なので、また来年頑張ります」(撮影:武田明彦、写真はクイーン賞出走時)

――続いては東京大賞典(GI)を振り返っていただきたいんですけれども、コパノリッキー強かったですね。

笹川 めちゃくちゃ強かったですね。ラストランでどんな走りを見せてくれるのかなと思っていたんですけど、ペースも流れていた中で最後また伸びるっていうのが強いなと。これでGI/JpnI・11勝で記録更新ですもんね。本当に強い馬だと思いました。

――では、2018年の目標をお願いします。

笹川 毎年言ってますけど前の年以上に勝ちたいです。数字的にはもうすぐ500勝なのでそこは早く達成したいですね。あとは内容的に、自分が納得できるレースを多くしたいです。

――今年は悩んだ年でしたか?

笹川 けっこう悩みました。いい時もあったんですけど良くない流れの時もあって、差が激しかったです。これまではがむしゃらにやって来て、そういうことも考えなかったんですけど、最近は考えるようになりました。ここを突破できればもっと上に行けるだろうし、それが出来なければダメだろうし。

――以前、このコラムで期待馬として紹介したレオハイスピードのように今後楽しみな馬がたくさんいると思いますが、ほかに期待の3歳馬はいますか?

笹川 12月26日の特別戦を勝ったマースインディです。ハイセイコー記念は4着だったんですけど、デビューから6戦して着外が1度もないんです。すごく身のこなしが柔らかくて、可愛い馬なんですよ。レースは少し掛かるところはあるんですけど乗りやすいです。今はまだ追ってから甘いところがあるのでそこが課題ですね。競馬はすごく上手くて、手ごたえ良く行くんですけど最後の最後に踏ん張れなくて。まだ気持ちも弱いのかもしれません。今後経験を積んでクラシック路線に乗せていけたらと。すごく楽しみです。

ギャロップ翼

▲笹川騎手がデビューから全6戦騎乗しているマースインディ(ユーザー提供:D50さん)

――そうやって若馬を育てて行くこともトップジョッキーに求められることですよね。

笹川 1頭1頭全然違いますし、その馬にとって何が正解かは手探りですから。体もそうですけど、メンタル面の成長も大事で、きっかけ一つで簡単に悪い方に行ってしまうんですよ。いい方にはなかなかいかなくて、本当に難しいです。これまでいろいろな馬たちに経験させてもらったので、それを活かして頑張ります。2018年も一生懸命頑張りますので、よろしくお願い致します!

※次回の掲載は1月15日(月)予定です

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笹川翼(大井)

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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