「笑顔の裏に隠された伝家の宝刀 PP指数とは?」<第8回>山崎エリカ

2018年01月22日(月) 18:00

山崎エリカ

気づいたら、人気予想家としてのステータスができあがっていたというエリカ様。それも的中実績があってこそ。

スピード指数の弱点を逆手に取り、衝撃の23週連続馬連的中!

 プロの予想家として、じつはキャリアが長いという山崎エリカ様。昨年の菊花賞をはじめとする数々の万馬券を当ててきたエリカ様のここに至るまでの経緯とパワーポイント指数(以下、PP指数)について、自らの言葉で語ってもらった。

―――大変聞きづらいですが、エリカ様は気がついたら競馬業界にいた、得体の知らないオンナというイメージがあります。いつ頃からプロ予想家としてやられていたのですか?

「プロ予想家と素人予想の境目がないかなあ? 90年代後半、ネットアイドルがブームで、2000年にそれに便乗する形で自らサイトを立ち上げて、毎週無料で重賞予想を行っていました。そしたら、神がかったように23週連続で馬連5点以内での予想が当たって、ユーザーの方から有料でもいいので、他の予想もしてほしいと言われ、せっかくなのでやらせてもらいました。それからしばらくして、雑誌やテレビからも声を掛けてもらうようになり、正式にはどこからプロ予想家としてスタートしたのか、自分でもよくわかりません」

―――エリカ様にそんな過去があったとは驚きです。しかし、23週連続は、すごいですね。

「当時はチョロいとは言いませんが、今よりも予想が当てやすかったんですよ。流行りのスピード指数の弱点を知っていたから。90年代後半から2000年前半にかけて当時マスコミで主流となっていたスピード指数は、走破タイムが速いと指数が高いという評価になっていたことが多い時代でした。タイム重視のスピード指数が人気を形成していたので、その逆張りをするだけで予想が当たり、儲けることができました。本来、指数の目的は競走馬のタイムには表れない競走馬の偏差値を知ることのはず。ところが、当時の日本のマスコミの場合、なぜかスピード指数のスピードの面が重視されて、的外れな方向に進んでいました。だから、同じ条件でもタイムが遅い勝ち馬は評価が低くなり、人気がない。それらの馬を積極的に狙えば、高配当的中につながっていきやすい時代だったんです」

―――確かにそういう時代はありましたね。ですから、自分も指数というものをあまり信頼していませんでした。だから、敢えて聞きます。どうして、競馬予想をするうえで指数が必要なんですか?

「まず競馬新聞の馬柱を見た場合に、同じ条件で行われた2つの異なるレースがあったとして、そこで記録した4着と5着ではどちらに高い価値があるのか、瞬時に判断できるということは大きなポイントです。競馬予想はいろいろな要素を考えるものですが、その手前の各馬の能力判断をする時点で、ああでもない、こうでもないと迷っているようでは、予想する時間がいくらあっても足りません。結果、迷うばかりでロクな結論を導き出せなくなってしまうでしょう」

―――あっ、それ自分です(笑)。迷って、エリカ様のサイトで無料で公開されているのを見て、こっちのレースのほうがレベルが高かったんだっていうのを確認していました。

「見てくれて、ありがとうございます。また指数を算出していくと、競馬というものは多くのレースが順当決着に落ち着いていることに気づかされるんですよ。それは配当上、大波乱といわれるレースであっても、指数を使って考えてみれば、じつは順当だったということが理解できるのです」

山崎エリカ

予想を公開し始めた当初から、スピード指数の裏をかいて的中を連発。その慧眼には恐れ入るというほかない。

PP指数にかかれば、波乱の決着も順当といえる結論に

―――競馬は、荒れることのほうが多いのに、順当な決着なんですか?

「単純に、前走の指数が高い馬を狙えと言っているわけではありません。指数を正確に算出できるようになってくると、この馬は次のレースではこのくらいの指数で走り、さらに次のレースではこれくらいの指数で走るだろうということが推測できるようになってくるのです。指数の数字の並びというのは美しい波のようなもので、上がったり下がったりします。その波の高さ、低さのようなものを見ていくとその先にどのような波が出現するのか読めるようになるのです。ですから正確な指数を算出できるようになると、今後どのタイミングでその馬を狙うべきかということがわかってきます。過去に大波乱を演出した馬がいたとして、その馬がどうしてそのタイミングで激走したのかということも理解できるようになります。そう考えていくと競馬というものは、配当上は順当だったレースも大波乱のレースも根っこのところはすべて同じで、競馬のほとんどは順当決着であると気づかされることが多いのです。多くの配当上の大波乱のレースは、予想する立場のほうがミスをしているために起きるのです」

―――競走馬は、毎回同じパフォーマンスで走れないですもんね。自分の親戚に調教師がいるんですが、激走すると放心状態になる馬もいて、ケアが大変でしたし、ケアをしたつもりでも次のレースで凡走してしまう馬もいました。

「そうでしょう。PP指数を算出しているのは、競馬で今後においてどのようなことが起こるのかを読むためです。競馬予想では配当が順当であろうと波乱であろうと、その決着に対して自分のなかで整合性を作れなければ、その後の読みに迷いを作ることにもなります。指数を正確に算出できるようになると、おおよそのレースの決着に対して整合性がとれるようになってきますし、その結果、競馬予想をするうえでの迷いというものが薄れていきます。とくに私のような優柔不断で、石橋を叩いて渡るどころか、怖くて渡れない小心者には絶対に必要です」

山崎エリカ

笑いの絶えない取材となったが、PP指数について話す彼女からは予想に対する真摯な姿勢がうかがえた。

―――あのお〜、失礼ながら小心者には見えません(笑)。先週、この企画の打ち合わせを兼ねて食事をしたときも、メニュー見てから注文まで早かったですし、優柔不断ってことも…。

「美味しくなかったら、もう一回注文すればいいだけの料理と一緒にしないで(笑)。競馬は場合によっては、奥さんや旦那さんよりも大切なお金を賭けています。だから予想するときは、プレッシャーや欲からまともな精神状態でいづらくなります。そうなると変な情報に惑わされたり、気まぐれを起こして理論的ではない馬券を買ってしまいがちです。私はそうしたことを起こさないようにするために、確固たる軸、迷いを作らないためにPP指数を算出しています」

有馬記念でのクイーンズリングの激走は予想の範疇⁉

―――ところで、昨年エリカ様が公開予想をしたレースで最も印象的なレースといえば、キーンランドCが挙げられると思います。本命に推したエポワスは12番人気で1着。見事な予想でした。

「エポワスは9歳馬ということもあって人気がありませんでしたが、そもそもPP指数の能力値上位の存在でした。また、エポワスが人気なかった理由として他に挙げられる点は、その前年のタンザナイトS2着時の走破タイムが平凡だったために、そのタンザナイトS 自体が世間では凡戦だったと評価されていたこともありました。じつは、エポワスのキーンランドC1着は、前年のタンザナイトS2着時の指数を再現しただけだったんですよ」

山崎エリカ

キーンランドC時のPP指数。エポワスは4走前に最高値をマークしており、このメンバーでは指数上位ということがわかる。

―――自分もそれを見ました。それでキーンランドC が当たりました。走破タイム重視のスピード指数では、高い評価とならない一戦をPP指数は高い評価をしたということですね。

「エポワスのタンザナイトS2着時の指数が、キーンランドC全出走馬のなかでは優秀にあたるということさえ理解していれば、キーンランドカップで巻き返す、1着になることも十分にありえるということは簡単に予想できることでした。2着のソルヴェイグ、3着のナックビーナスもPP指数能力値上位の存在で、実際はとても順当な決着だったのに、3連単は高配当。とてもおいしい馬券でしたね。でも、そのキーンランドCは、馬券で勝った負けたで終わらせてはダメなのです」

―――それはどういうことですか?

「一番大事なことは、エポワスがタンザナイトS2着時の指数を再現したということです。昨年の有馬記念の話になるんですけど、人気薄で2着と好走したのはクイーンズリングでした。そのクイーンズリングが昨年の有馬記念でマークした指数は、一昨年の府中牝馬Sを勝利したときの指数と同じだったんです。競走馬は若い時点や成長状態にあるときは指数をグングン伸ばしていきます。しかし、成長状態を過ぎた馬はある指数最高値をマークしたあとは疲れからその後パフォーマンスを落とし、そしてしばらくした後にその指数最高値に戻っていくという流れを繰り返すことになります。だから指数を正確に算出しておくと、その馬がその後出せる指数の限界を推測できるようになります」

PP指数が紡ぎ出す数字の波を読み説き、的中につなげる

―――クイーンズリングが仮に全能力を出し切ったとしても、有馬記念では2着までということが推測できるということですか?

「そうです。キタサンブラックが能力を出し切れる前提で、キタサンブラックを本命とするならば、クイーンズリングは2着までしかありえないという推測ができます。3連単全盛の今の競馬では、着順を固定して推測するということはとても大事。大混戦のレースではなおさらです。PP指数は、そういったことができる指数になっているのです。指数を正確に算出すると数字の波のようなものはとても美しく、理に適っているということに気が付きます。また、自分自身が指数を算出しながら、競馬のたくさんのことに気がつきました」

―――大人になると、やらされる仕事が多くて勉強する機会がなかなかありませんが、そういう機会があって羨ましいです。

「確かにそうですね。予想が売れなくなったら廃業しなければいけませんが、ありがたいことに『ウマい馬券』でもけっこう予想が売れているので、まだまだやれそうです(笑)。これからもがんばります!」

山崎エリカ

3連単全盛時代の昨今、着順を固定して予想することは高配当を的中させるうえでも大切だと力説。

山崎エリカは『ウマい馬券』で変幻自在の予想を公開中!

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