種牡馬展示会・前篇 今年は社台スタリオンからのスタート

2018年02月08日(木) 18:00

生産地だより

毎年2月になると種牡馬展示会が始まる

◆キタサンブラックの門出に北島オーナー、清水久調教師、武豊騎手も現地に駆けつけた

 月が変わって2月になると、生産地は一気に動きが出てくる。まず例年、この時期に行なわれているのが各種馬場の種牡馬展示会である。今年は6日(火)、社台スタリオンからのスタートであった。

 その前日、日高地方は例年にないほどの大雪に見舞われ、この日も場所によっては強い雪が降り続いていた。そのために社台行きを予定していた牧場関係者の中には、除雪作業などに追われ、ついに展示会見学を断念した人も多かったという。日高は6日朝も時折視界が極端に悪くなるほどの雪が降っていたが、安平町の社台スタリオン周辺は一転して穏やかな晴天に恵まれ、絶好の展示会日和であった。わずか数十キロ離れているだけでこの時期は天候がずいぶん異なる。

 社台スタリオンは、新種牡馬5頭を含め全29頭が展示された。言うまでもなく、今年の“目玉”は、何と言ってもキタサンブラックであろう。北島三郎オーナー、清水久詞調教師、武豊騎手も現地に駆けつけ、それぞれマイクを握ってキタサンブラックの新しい門出にエールを送っていた。

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今年の“目玉”は、何と言ってもキタサンブラック
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北島三郎オーナー、清水久詞調教師、武豊騎手も現地に駆けつけた

 会場にはファンと思しき人々も数多く並び、キタサンブラックの雄姿に盛んにカメラを向けてはシャッターを切る姿が見られた。

 なお新種牡馬はドレフォン、ロゴタイプ、イスラボニータ、サトノアラジンという顔ぶれだが、その後、次々にここで繋養されている種牡馬がお披露目され、毎度のことながらそのラインナップの層の厚さたるや、圧倒的としか表現できない。今年産駒デビューのジャスタウェイに続いて、初年度産駒が活躍しているロードカナロアやオルフェーヴル、ノヴェリストなどが出てきたかと思えば、老いてなお盛んなクロフネ、来年産駒デビュー予定のキズナ、エピファネイア、今年初産駒誕生のドゥラメンテ、モーリス、ミッキーアイルと息つく暇もない。

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GI3勝の新種牡馬ロゴタイプ
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新種牡馬の皐月賞馬イスラボニータ
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安田記念を制した新種牡馬サトノアラジン
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輸入された米G1・3勝馬ドレフォン

 最後にキングカメハメハ、ディープインパクトが登場し、1時間半に及んだ社台スタリオン展示会はようやく終了した。その後は、新種牡馬を間近で撮影できる場面も設定され、再度登場したキタサンブラックの前には数多くの人々がカメラを片手に集まる光景が現出した。

 キタサンブラックの今年度の種付け料は500万円。ドレフォンが300万円、ロゴタイプが80万円、イスラボニータ150万円、サトノアラジン100万円と設定されている。すでに社台スタリオンでは、ディープインパクト、キングカメハメハの両エースを筆頭に満口馬も続出で、産駒成績の良いロードカナロアも今年度800万円まで種付け料が上昇したものの、すでに満口とのこと。生産地はもう間もなく交配シーズンに突入するが、今年もまた社台スタリオンが話題の中心になって行くことだろう。

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最後にディープインパクトが登場し、周回

 翌7日(水)は、新冠町のビッグレッドファーム(以下BRF)と優駿スタリオンの二ヶ所で時間をずらしての展示会が行われた。BRFは、全9頭の陣容で交配シーズンを迎えるが、今年は新種牡馬がいないせいか、来場者もやや少ない印象であった。

 エース格はアイルハヴアナザーとゴールドシップで、それぞれ受胎確認後の250万円と300万円という設定である。3シーズン目を迎えたゴールドシップは最後に登場しお披露目となったが、ますます白さが増した馬体と、堂々と落ち着き払った風格が印象的であった。来年はいよいよ初年度産駒がデビューする予定で、おそらく有望な産駒の公開調教が実施されることになるだろう。

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ますます白さが増した馬体と、堂々と落ち着き払った風格が印象的だったゴールドシップ

 午前11時からは、場所を優駿スタリオンに移して展示会が開催された。優駿スタリオンは23頭のラインナップで、新種牡馬はディープインパクト直仔のシルバーステート。5戦4勝2着1回、2度のレコード勝ちを収めた快速馬で、主戦を務めた福永祐一騎手からもその能力の高さはお墨付きであったとのこと。シンジケートは即日完売になったとのことで、大きな期待が寄せられている。

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大きな期待が寄せられているシルバーステート

 ここにはヘニーヒューズ本馬及び直仔が3頭(サウンドボルケーノ、ヘニーハウンド、アジアエクスプレス)も繋養されており、また昨年スタッドインしたホッコータルマエやエスポワールシチー、キングヘイローなど多彩な顔ぶれが揃っている。

 BRFでは風も弱く、穏やかだったが、この時間帯になると優駿スタリオンでは北西から吹き下ろす風が冷たく、この季節特有の「晴天なのに真冬日」の寒さであった。

 今週は、以上の3ヶ所でひとまず展示会は一区切りし、来週には、静内地区の3ヶ所(JBBA日本軽種馬協会静内種馬場、アロースタッド、レックススタッド)や、日高町のブリーダーズスタリオン、浦河町のイーストスタッドの展示会が13日(火)より3日間連続で開催予定となっている。

 またダーレースタリオンは、2月12日から20日までの日程で、事前に申し込んだ関係者に個別に対応する方式となっており、展示会は開催されない。

 来週また種牡馬展示会の続篇を書かせて頂く予定。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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