期待の3歳馬に笹川騎手がメロメロ!? &鞍上から見た“移籍組”が強い理由

2018年02月12日(月) 18:01

ギャロップ翼

▲笹川騎手の期待馬2頭が順調に勝利!(撮影:高橋正和)

今回は以前に今後の期待馬として名前を挙げていたマースインディとレオハイスピードのレースを回顧。ともに順調に勝ち星を重ねるなか、クラシックに向けての光明と課題を振り返ります。調教時の裏話では、マースインディとの相思相愛ぶりも明らかに!? さらにハッピーグリン(北海道)のJRA勝利の話題をきっかけに、北海道所属&移籍組の強みを騎手目線で分析します。(取材・文:赤見千尋)

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「僕のことを見たら寄って来てくれるんです。あの馬だけは(笑)」

――以前、期待の馬として名前が挙がったマースインディとレオハイスピードが順調に勝利を重ねました。まずマースインディからお話を伺いたいんですけれども、1月25日、大井のゆきやなぎ特別を快勝しましたね。

笹川 今回は初めての1700mで、距離はこなせるとは思っていましたけど、ちょっと折り合いが難しい仔なので、前に馬を置きたいなと思っていました。あとは早く抜け出すと甘くなってしまうので、仕掛けどころを間違わないように気を付けました。末脚には自信があったし、4コーナー辺りで焦らなくても、残り200m〜300mでかわせるかなっていうイメージでした。

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▲1月25日のゆきやなぎ賞を勝利したマースインディ(ユーザー提供:D50さん)

――道中はけっこう砂を被って真っ黒になっていましたけど、それでも嫌がらないんですか?

笹川 むしろちょっと砂を被っていた方が折り合いがつくんですよ。あれで被らないとガーっと掛かって行ってしまうので。真面目なんですよね。

――3,4コーナーでどこから上がって来たのか何度もVTRを見直したんですけど、いつの間にか真ん中から抜けて来ましたね。

笹川 すごく器用なんです。位置を取ろうと思えばスッと反応できるんですよ。だから以前は早く抜け出してしまうことがあって、そこが一つ課題になっていたんですけど、ここ2戦は上手くいっています。

――砂を被っても嫌がらず、馬の間も抜けて来られるとは、この時期の3歳としては大きな武器ですね。

笹川 そうですね。器用なので乗りやすいですし、こちらも自信を持って乗ることができます。毎日調教もしていますし、癖もよくわかっていますから。この馬めちゃくちゃ可愛いんですよ。毎日調教前に、2,3分遊んでから乗るんです。

――ジョッキーは馬から嫌われることが多いのに、可愛いですね!

笹川 そうなんですよ。僕のことを見たら寄って来てくれるんです。あの馬だけは(笑)。しかも「ステッキで遊ぼう」って感じで、僕のステッキをくわえてくるんです。もう、本当に可愛いですよ。

――以前は最後のところであと少し強い気持ちを持ってくれればと仰っていましたが、最近はいかがですか?

笹川 そこはやっぱり今も課題というか、今後重賞で戦って行くためには抜け出してからのパンチ力というのが大事になって来ますから。今、一戦ごとに力をつけてくれているし、順調に育ってくれているので、徐々にクリアできていくと思います。

――もう1頭レオハイスピードですが、2月8日の船橋で行われた菜の花賞を差し切り勝ちしました。

笹川 1200m向きなのかなという感触はありました。前々走は同じ舞台で4着だったんですけど、ちょっと動きが重い感じもあったし、内枠も響いたかなと。今回はマイナス8キロで絞れていて、返し馬の雰囲気もすごく良かったです。もともと力のある馬ですし、順当に勝てたかなという印象でした。

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▲2月8日の菜の花賞を勝利したレオハイスピード(ユーザー提供:東京ダ1700さん)

――好スタートから、道中は少し置かれたように見えました。

笹川 もう少しスムーズに流れに乗れるかなと思っていたんですけど、ちょっと挟まれてしまって怯んでしまいました。位置取りは後ろになってしまったんですけど、そこからよく伸びてくれましたね。キレイな飛びをする馬なので、なるべく邪魔しないようにということを心がけました。距離がどうかとか、今後探って行かなければいけない部分はありますけど、この馬も順調に育ってくれてます。さっきも言いましたけど、すごくキレイな飛びをするので良馬場が理想ですね。

――平和賞(不良馬場で6着)は馬場が厳しかったと仰ってましたもんね。

笹川 そうなんですよ。上滑りしちゃって全然走れなかったです。馬場が良ければもっと走れると思います。

――今年も注目の3歳馬に騎乗していますから、南関東クラシック戦線が楽しみですね。

笹川 いい馬に乗せていただいて、本当に有難いです。ずっとコンビを組ませていただくと、その馬の成長過程を感じることができますし、こちらが期待していたように成長してくれるとすごく嬉しいです。そこが一番難しいですけど、一番感慨深いですね。僕自身もそうやって経験を積ませていただいて、もっともっと上に行きたいです!

――最後に1月28日に北海道所属のハッピーグリンが、JRAのセントポーリア賞を勝ちました。レースはご覧になりましたか?

笹川 見てました。お世話になった(田中)淳司厩舎の馬が勝って嬉しかったです。あれだけ活躍されている淳司先生が、JRA初勝利というのはびっくりだったんですけど、強かったですよね。ラスト33秒3って…。すごいなと思いました。

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▲ハッピーグリンのJRA勝利に「ラスト33秒3って…、強かったですよね」(撮影:下野雄規)

――この時期、シーズンオフになる北海道の3歳勢が移籍してくるじゃないですか。活躍する馬も多いですし、完成度など違いを感じますか?

笹川 そうですね。やっぱり競馬で揉まれているなとは感じます。デビューも早いですし、2歳の頭数が多いので経験値が高いですよね。ゲートとかも上手いんですよ。この時期の3歳馬は、レース慣れしているというのは大きいと思います。ここから南関東生え抜きの馬もどんどん伸びて行く時期なので、完成度の高い北海道勢が加わって、さらに面白くなりますね。これからの競馬はクラシックに直結してくるので、1戦1戦大切に頑張ります!

※次回の掲載は2月26日(月)予定です

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笹川翼(大井)

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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