ホッカイドウ競馬の開催日程決まる

2018年02月21日(水) 18:00

ステージインパクト

昨年の道営記念を制したステージインパクト

賞金増額はあくまで限定的、何より残念なのは…

 2月15日、本年度のホッカイドウ競馬開催日程及び競馬番組の概要が発表になった。それによると、開幕は来る4月18日(水)。閉幕は11月8日(木)。約7ヶ月間で全80日間の開催日程が組まれている。前年度と同様、全日程をナイターで実施し、4月〜6月上旬の第4回開催までは、週2日の日程が続く。6月中旬〜7月中旬の第5回、6回開催は、週2日と3日が交互に組まれ、7月中旬の第7回開催より、ようやく週3日開催となり、それ以降は11月のオーラスまで毎週火水木の固定した日程である。

 基本的には、昨年と大差ない番組の概要だが、今年は、売り上げ好調で推移した昨年の実績を踏まえ、一部レースの賞金増額に踏み切った。最終日の大一番である道営記念は、昨年1000万円の1着賞金だったが、今年は一気に500万円増額され、1500万円に。また2歳の交流重賞である北海道2歳優駿は2000万円から2500万円に。さらに3歳以上の牝馬を対象にしたブリーダーズゴールドカップは、2500万円から3100万円に、それぞれ増額された。

 2歳戦に関しては、JRA認定競走は113レースを予定している。また認定以外の、未勝利戦や平場、特別がそれぞれ10〜20万円程度の増額となった。3歳戦、及び3歳以上の古馬戦も、同じく10〜20万円程度の上乗せとなり、さらに「北海道命名150周年」「ホッカイドウ競馬70周年」にあたる年であることから、赤レンガ記念が250万円から300万円に増額され、他に1着賞金150万円の記念レースを年間4レース実施することになった。

 ただ、その他のほとんどの重賞競走や出走手当などは前年と同額に据え置かれるようで、賞金増額はあくまでも限定的である。3歳の3冠路線に関しては、昨年まで開幕日にいきなり実施していた北斗盃が、今年は5月30日に変更され、それに伴って北海優駿(ダービー)も、6月20日にずれ込む日程となった。3冠目の王冠賞は、7月26日の実施で、これは昨年とほぼ同じ日程である。

 何より残念に感じるのは、3歳3冠レースがいずれも賞金増額にならなかったことだ。他は据え置いても、競馬の根幹をなす3歳3冠路線だけは、もう少し重要視されても良かったのではないか。北斗盃300万円、北海優駿500万円、王冠賞400万円では、いかにも少ない。しかも、賞金比率が、100、20、15、10、5という150%方式に設定されており、2着以下の割合は相当に低い。素質馬をより集めるためには、やはり賞金で“釣る”しかないわけで、他は差し置いても、この3冠路線だけは増額して欲しかった。

 ホッカイドウ競馬は、一昨年の約200億円から昨年は20%増の約240億円へと馬券売り上げを大幅に増やした。率にして20%もの伸びとなり、当然のことながら、関係者は賞金その他の増額に期待を寄せる。

 しかし、今年度の報償費予算は、年額20億1241万円で、前年の19億3847万円と比較しても、103.8%でしかない。売り上げ増の比率がそのまま、報償費予算に反映するわけではないようで、おそらくは、過去に赤字を生み出してきた苦い経験から、開催経費、とりわけ報償費の安易な増額には慎重にならざるを得ない事情があるのだろう。

 今年、昨年並みの売り上げを確保できるかどうかは何の保証もないし、場合によっては、昨年の240億円がピークで、今年は数字が落ちる可能性もある。ホッカイドウ競馬が場外発売、とりわけネット発売への依存度が極めて高い体質であることは周知の通りで、自助努力では限界のあることはすでに広く知られている。

 ホッカイドウ競馬の運営が安定することは、日高を中心とした生産界にも恩恵をもたらす。とりわけ2歳戦に関しては、存在意義がひじょうに大きく、更なる発展を願うばかりだ。今年も門別競馬場には、すでに520頭もの2歳馬が入厩し鋭意調教が進められている。せめて昨年並みの売り上げが確保できれば、来年こそはより大幅な報償費の増額が実現できるはず。ぜひそうなることを強く期待したい。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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