一番の近道は世界一と言われる国からコーチを招くこと?

2018年02月24日(土) 12:00


◆平昌オリンピックから競馬に活かせそうなこと

 平昌オリンピック、終わっちゃいますね。今大会では、日本勢の素晴らしい活躍がたくさん見られたので、その分だけ余計に閉幕が寂しく感じられます。連日の中継や報道に食傷気味になっている方がいらっしゃるかもしれませんが、夏も含めて2年に一度のことなので、お許しいただけませんか?

 さて、今大会で日本が獲得したメダルのうちの約半分(金2個、銀2個、銅1個の計5個)は、スピードスケート女子の躍進によってもたらされました。その立役者の1人が、ナショナルチームのコーチとして高木美帆選手らを鍛え上げたヨハン・デビットさん。ご存知のように、スピードスケート最強国・オランダの方で、ソチオリンピックの後に日本スケート連盟が招へいしました。

 この方のおかげで強化されたのが、あのパシュートの総合力。決勝の相手はデビットさんの母国・オランダで(当然と言えば当然?)、日本チームはそれを破って世界一になりましたから、実にドラマチックな勝利だったわけです。

 そんな劇的な勝利は、リオデジャネイロオリンピックでもありました。バドミントン女子ダブルスで高橋礼華・松友美佐紀ペアが金メダルを獲ったのは記憶に新しいところだと思います。そのタカマツペアを含め、最近メキメキと力をつけている日本のナショナルチームを率いてきたのは、パク・ジュボンヘッドコーチ。元・韓国の伝説的プレーヤーで、04年に就任して以来、着実に成果を上げてきました。

 で、リオの準決勝、勝てばメダル確定、負ければ金メダルへの道が閉ざされる大事な試合の相手が韓国ペアでした。日本にとって韓国は、最強国・中国を倒す前に立ちはだかってきた“もう1つの壁”のような存在。パクコーチの厳しい指導で強くなったタカマツペアはこの壁をクリアし、続く決勝ではデンマークペアを破って、見事に金メダルを獲得したのです。今回の女子パシュート決勝を見ていたら、そのときのことを思い出しました。

 2015年のラグビー・ワールドカップで日本代表チームヘッドコーチを務め、南アフリカを下して“ジャイアントキリング”を果たしたエディー・ジョーンズさんはオーストラリア出身ですが、日本のコーチになる前は南アフリカでテクニカルアドバイザーを務めていたとのこと。日本チームを強化するには、その競技で世界一と言われるような国からコーチを招く。これが、一番の(?)近道なのかもしれません。もちろん、選手ががんばってこその話、ですけどね。

 前にもどこかで書いたと思いますが、競馬学校にもイギリスやアイルランド、フランス、アメリカなどからかつての名ジョッキーを先生として招いて、生徒を鍛え上げてみてはいかがでしょう?あっ、そうそう、断っておきますが、今の先生ではダメとは一言も言っていませんよ。念のため。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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