【祝・GI制覇】藤岡佑介騎手インタビュー「ようやく勝つことができました!」(無料公開)

2018年05月15日(火) 18:02

with 佑

▲デビュー15年目でGIジョッキーに! 藤岡佑介騎手が今の心境を語ります

NHKマイルCをケイアイノーテックで勝利し、念願の“GIジョッキー”となった佑介騎手。「with佑 特別編」として緊急インタビューをお届けします。後方から末脚をさく裂させての差し切り勝ち。道中の心理、ゴールの瞬間、デムーロ騎手・川田騎手・浜中騎手からの声…歓喜の舞台裏を振り返ると共に、自身を支えてくれている人たちへの感謝の思いを語ります。


自分でも機が高まっているのは感じていました

「目標は?」と聞かれるたびに、何度となく答えてきたGI勝利。NHKマイルCでようやく勝つことができました! 応援してくれたファンのみなさん、関係者のみなさん、本当にありがとうございました。

何をやっていても、何を言っていても、「でもGIを勝ってないし…」という気持ちがどこかにあって、自分でもコンプレックスを感じていました。だから肩の荷が下りたと同時に、今は0と1の大きな違いをひしひしと感じています。

ケイアイノーテックは、レースでは初めて乗った馬でしたが、調教に乗った感覚で「長くいい脚を使えそうだけど、加速するのにこれくらいの時間は掛かりそうだな」という自分なりのイメージはつかんでいました。ただ、正直あのポジションから競馬をするというのは頭になく…。

ゲートのなかでの駐立もよく、1歩目もちゃんと出てくれたのに、いかんせん2、3歩目が進んで行きませんでした。遅れたら遅れたで…という一応のプランはあったものの、「これはマズイ」と思ったのも事実です。調教で得た感覚から、「こうなった以上は、フルに末脚を使える距離から動いていくしかない」と決め、4コーナーを待たずに踏めるところから踏んでいきました。

直線はグイグイ伸びてくれましたが、勝ち負けを意識したのはゴール手前100mくらいから。レッドヴェイロンに並びかけたときに、先頭を走っていたギベオンが意外とすぐ前にいることに気づき、そこからはもう「頼むー!」という感じで必死でしたね。

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▲「先頭を意識してからは「頼むー!」と必死でした」と佑介騎手 (撮影:下野雄規)

ゴールした瞬間は届いた実感があったので、ガッツポーズこそしませんでしたが、「ヨッシャー!」みたいな感じで叫んだんです。でも、その直後に「本当に大丈夫かな…」とちょっと不安になって、ミルコに「勝った? どっち?」って聞いたら、「アナタ勝ってるー!」と(笑)。

それでも確信できず、微妙ならこのまま戻ろうかなと思っていたら、「(ウイニングランに)行け!」と(川田)将雅に言われ、後ろから「絶対に勝ってます!」というハマ(浜中俊騎手)の声も聞こえ…。そこでようやく確信した次第です(笑)。

そんなこんなで向かったウイニングランですが、東京は本当に気持ちがいいですね。この景色を何度でも見たいと心の底から思いました。

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▲仲間の後押しで向かったウイニングラン「この景色を何度でも見たい」 (撮影:下野雄規)

それにしても、本当によく届きましたよね。あとからレースを見返してみて思ったのですが、ゴール手前300mあたりまで到底勝てるとは思えない位置にいましたからね。今回は、陣営がすべて任せてくれたからあの競馬ができたというのもありますし、何よりケイアイノーテックの力に助けられた勝利です。本当に強い馬ですね。

僕自身は意外と舞い上がることもなく、涙が出ることもなく。スマホに届いた膨大なメッセージやレース後からの祝福の嵐に、改めて感謝の気持ちを噛みしめているところです。

ただ、師匠の作田先生に「よく我慢したな」と言われたときは、さすがにウルッときました。とても喜んでくれていたし、元ジョッキーだからこそ、あの我慢を褒めてくださったんだと思います。師匠に褒められることなんてめったにありませんからね。思わず込み上げてしまいました。

今年は「調子がいいね」と言っていただく機会が多いのですが、なんとかこの波に乗ろうともがきつつ、自分でも機が高まっているのは感じていました。そんなふうに感じられるシーズンなんてなかなかないので、ここで勝てなければ…という思いもありました。波がきているときに勝てるのと勝てないのでは、その後が大きく変わってきますからね。

そんななかでいただいたケイアイノーテックの騎乗依頼。実は同じ日の新潟大賞典に騎乗予定馬がいたのですが、その馬の先生にケイアイの依頼があったことを伝えたところ、「GIでのチャンスなんてそうそうあるものではないから、ちゃんといい結果を出してこいよ」と大きな後押しをいただいたんです。

依頼をくださったオーナーと平田先生はもちろんですが、快く送り出してくださったその先生にもいい報告ができたこと、本当によかったと思っています。

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▲「快く送り出してくださった先生にもいい報告ができて本当によかったです」

netkeibaさんでも祝福メッセージを募集してくださったそうで、メッセージを送ってくださったファンのみなさん、本当にありがとうございました。担当の方から「一晩で1000件のメッセージが届きました」と報告を受け、その数にビックリ! 今、ずっしりと重いコピー用紙の束が、僕の手のなかにあります(笑)。喜びを噛みしめながら、ひとつひとつ大切に読ませていただきますね。

ファンの方たちの声ということでいえば、普段は自分に対する悪い評価にばかり目が行きがちなんですが、改めて、これだけ見ていてくれる、応援してくれている方たちがいるんだということを感じることができて、本当にうれしいです。

とりあえずGIジョッキーという箔はつきましたが(笑)、僕にとってここからが勝負だと思っています。自分の手綱で一緒に上ってきた馬でGIを勝ちたいという思いもありますし、もちろん親父の馬でも勝ちたい。こうなると欲は尽きないですよね。でも、だからこそ貪欲に、もっともっと結果を求めていきたいと思っていますので、引き続き藤岡佑介をよろしくお願いします!

JRAジョッキー 藤岡佑介

(文中敬称略)


【ファンの皆様からの祝福メッセージ】

GI制覇の翌日からnetkeibaのニュースで、佑介騎手への祝福メッセージを募集いたしました。取材スケジュールの都合により、たった1日だけの受付けになってしまいましたが、佑介騎手のインタビューにもありましたように、一晩で1000件ものメッセージを頂戴しました。改めて御礼申し上げます。一部抜粋ではございますが、ご紹介させていただきます。

netkeiba編集部


with 佑

▲メッセージに早くも目を通す佑介騎手「ひとつひとつ大切に読ませていただきます」

■ついにGI制覇!本当におめでとうございます!結果が出ない時も海外で修行を重ねたり努力を惜しまず、ひたむきに頑張っていた佑介ジョッキー!自分の事のように本当にうれしいです!努力は裏切らないという事を教えてもらいました!NHKマイルカップは頭では買っていなかったのですが、佑介ジョッキーファンの自分は外からオレンジのバンテージが飛んできたのが見えた瞬間から、差せ!差せ!と叫んでしまいました!!馬券買ってないのに、やった!!と言ってました(笑)。これからも佑介ジョッキーの大活躍期待してます!自分が買ってる時もぜひぜひお願いします!

(アルフィーセカンドさん)

■GI初戴冠おめでとうございます!いつも騎乗に対して真面目で理論派。コラムも読んでいて勉強になります。そんな真面目さがここにきて開花してきたと思ってます。大事なのは基礎、そして飽くなき探究心。ゴール設定を高く持ち、これからも沢山GIの舞台で活躍する事を期待しております。

(さくらさん)

■GI勝利おめでとうございます。スーパーホーネットとのコンビで何度も惜しいとこまでいったのを思い出します。兄弟揃ってNHKマイルが中央GI初勝利というのも不思議な縁だと思います。哲三さんのコラムで藤岡ジョッキーの話を多く掲載されてるので今年はやってくれそうな感じがありました。馬券は外しましたが本当に気持ちのイイ検量室の映像でした。

(やまちゃんさん)

■初GI制覇おめでとうございます!他の騎手の方から祝福されている姿を見てみんなから愛されるようなキャラクターなんだなと思いました。勝利ジョッキーインタビューの時もとても人柄がよくファンになりました。これからもたくさん勝利してGIもたくさん取れるようなジョッキーになってください!馬券も佑介騎手を軸に買います!

(トモヤさん)

■JRA・GI初制覇おめでとうございます。藤岡佑介騎手とは歳も近く、友人と競馬場に行った時は「迷った時は藤岡や!」なんて言いながらよく馬券を買ってます(笑)。残念ながらNHKマイルC当日レースを見ることが出来なかったので翌日動画を見たのですが、レース後の藤岡騎手のように笑顔で見ていられず嬉し泣きしてしまいました。今まではGIで2着ばかり目立っていましたがこれからはどんどん1着になって目立って下さい(笑)。これからも応援していますので頑張ってください!!

(まさじろうさん)

■佑介君、本当におめでとう!この日をずーっと待ってました。嬉しくて嬉しくて近所迷惑も顧みず、テレビの前で大声で叫んでしまったよ。これからの益々の活躍を願ってます!この嬉しさだけで3か月ご飯食べれるわ!

(バド子さん)

■ぼくが競馬を見始めた小学6年生の時、スーパーホーネットとのコンビが印象に残っています。GIで2着3回とあと一歩で届かなかったGI勝利、長くも短い時間に感じますが同じマイル戦で差し切ったのは感慨深かったです。夢を追い夢を掴む姿にアツくなりました、ぼくも諦めかけた競走馬業界へトライしようと思います。本当におめでとうございます。これからも頑張ってください。

(つむさん)

■藤岡佑介騎手、本当にGI初勝利おめでとうございました!熊本の子供たちの為にご尽力頂いて以来、ずっと応援していました!本当に嬉しい!ずっと実力はGI勝てる騎手だと信じてました。藤岡騎手の生き方がきっと最後のひと押しを呼び込んだのでしょうね。本当におめでとうございました!

(ばんたさん)

■佑介騎手先ずGI初勝利おめでとうございます。私は熊本での佑介騎手主催の復興イベントに娘と二人で参加させて頂いた者です。娘は当時小学一年生。入学式の二日後の悲劇に家族共々悲しみの毎日を過ごしていました。そんな矢先佑介騎手主催のイベントをネットで拝見し応募させて頂きました。イベントでバーベキューやスイカ割りなど体験していく中で娘から最高の笑顔が見れたこと今も鮮明に目に焼き付いています。

その娘も今年は小学校三年生。競馬の意味もわかるようになり、佑介騎手のレースも親子二人で応援しております。先日GI勝利後のインタビューのときも一緒にバーベキューしたお兄ちゃんだー、一等賞だね!と喜んでいましたよ!更には今度いつバーベキューあるの?とすっかり佑介騎手の大ファンになってます。

私の自宅もやっと復旧工事が本格化し来年にはまた元の生活に戻れそうです。また機会が御座いましたら、娘にも会ってあげて下さい。今度はこちらからお礼させて下さい。今後の佑介騎手の更なるご活躍をお祈りしつつ短文では御座いますがお礼の言葉とさせて頂きます。佑介騎手がんばれー!!

(熊本佑介応援隊さん)

■佑介騎手!初GI制覇おめでとうございます!with佑での対談、勝利騎手インタビューでのオーナー、厩舎関係者方々への感謝の言葉、気持ち。何よりも佑介騎手からはパートナー(競走馬)への愛情が伝わってきます。これも佑介騎手の日々の努力や人柄、何事にも真摯に取り組む姿、姿勢は競馬というスポーツを知らない多くの人達にも学ぶ事や、素晴らしい影響力があると感じました!

(ダックスさん)

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「with 佑」とは

JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

藤岡佑介

1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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