1年に2回もドリームレースをやる必要があるでしょうか?

2018年06月23日(土) 12:00


◆ファン投票レース自体の必要性も吟味されていいのでは…

 今週は宝塚記念。みなさんもご存知のとおり、暮れの有馬記念(中山グランプリ)に匹敵する看板競走を関西でも、という発想をもとに、1960年に創設されました。ついでに言えば、私と同い年のレースです。

 宝塚記念も有馬記念も、ファン投票の結果によって優先出走権が与えられます。これについては、今まで何の疑問も抱かずに受け入れていましたが、最近、ふと気が付いたことがあります。

 野球でもサッカーでも、ファン投票によってメンバーを決めるオールスター戦というのは、年に1回のお祭りになっていますよね?日本のプロ野球では、ゲームは2〜3試合行われますが、そこに出場するメンバーは年に1回だけ実施されるファン投票をもとに決定されています。

 ところが、JRAにはファン投票を行うドリームレースが年に2回あるわけです。これって、2回もやる必要があるでしょうか?

 冒頭にも書いたとおり、当初はドリームレースを東と西で年に1回ずつ開催することに意味があったようです。東でやるレースは東の馬、西のレースは西の馬が中心になっていた時代ですからね。

 ちなみに、1956年に行われた第1回中山グランプリの出走馬12頭の内訳は、東京競馬場と中山競馬場の所属馬が4頭ずつで、あとは京都2頭と中京、札幌が1頭ずつでした。一方、1960年の第1回宝塚記念に出走したのは、京都3頭、阪神2頭、中山3頭、中京1頭の計9頭。今のようにきゅう舎が美浦と栗東に集約されていない時代ですが、有馬は関東馬、宝塚は関西馬が主体になっていたことがわかります。

 でも今は、どっちが強いかは別として、出走馬に関して言えば、関東も関西もない時代になりました。だったら、オールスター競走は年に1回だけでいいんじゃないかと思ったのです。

 有馬記念と宝塚記念のどちらをファン投票レースとして続けるか?という話はさておき、一方を別の形で開催するにはどうすればいいでしょう?それには、スターホースが集う総決算レースとしての格を落とさないように、出走条件を整備すればいいと思います。

 例えば、次のような条件を兼ね備えた馬に出走権を与える、というのはいかがでしょう? その1=G1競走優勝経験馬、その2=当年のG1競走で6着以内、G2競走で4着以内、G3競走で2着以内に入着した馬、その3=海外のレースで上記2条件のいずれかを満たした外国馬。その4=指定オープン(トライアルレース)の勝ち馬。

 これはあくまで例としてあげたものです。実際にそうするなら、もちろん議論を積み重ねて練り上げなければいけません。

 レースの距離体系がハッキリ分けられてきたJRAに、ファン投票レースがはたして必要なのかどうか、そのへんも吟味されていいような気もするのですが…。アナタはどう思われますか?

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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