サッカー日本代表の戦い方は断じて“否”、しかし見習うべき日本選手も…

2018年06月30日(土) 12:00


◆ミスから立ち直るには、自分の力で何とかするしかない

 サッカーワールドカップ・日本対ポーランド戦の日本の戦い方に賛否両論、というのは当然のことでしょう。で、“賛”の方々からの非難は覚悟の上で、私は断じて“否”とさせていただきます。

 もし、コロンビア対セネガルの試合があの結果で先に終わっていたら、日本が取った戦法はルールを利用しただけの話で、文句は言いません。でも、あちらの試合はまだ終わっていませんでした。なのに日本は、自分の力で何とかしようということを諦めたのです。「もうわれわれの力ではどうにもできないので、コロンビアさん、セネガルさん、よろしくお願いします」という姿勢。見ていて唖然としました。

 まさか“ドーハの悲劇”を忘れちゃったわけではないでしょう。1点のリードを守り切っていればワールドカップに行けたあの試合。最後の最後に同点ゴールを決められて、その望みは絶たれました。だから、勝負は最後まで気を緩めてはいけない。逆に言えば、最後まで諦めちゃいけない。サッカー解説者たちが常套句のように使い続けてきた言葉です。そういう人たちが、今回の結果に「ヨッシャー」と言っています。日本があの戦法を取った時点で、コロンビアは絶対勝つ、という保証でもあったのでしょうか?

「自分の馬はもう前の馬を捕らえることはできない」と思って追うのを諦めトコトコ走っていたら、前の馬が落馬して勝ってしまった、ようなもの。その結果、馬券が当たっちゃうこともありますよね。とはいえ、それとはちょっと、いや、かなり違うんじゃないの?と思われるはず。そう、ようなもの、であっても、同じことではありません。

 運を天に任せるしかなかった日本。「われわれは弱いので」と世界に公言してしまいました。けっして「強い」とは思っていませんでしたが…。

 しかし、見習うべき日本選手はいました。川島選手です。セネガル戦のミスで、世界中から酷評を浴びせられました。その時の同選手の気持ち、痛いほどよくわかります。

 私も、実況でミスを犯してしまうことがあります。それは、多くの人の印象にとても強く残るんですね。例えば、私の名前でネット検索すると、アドマイヤドンを勝たせてしまったジャパンカップダートの映像が“上位”に引っ掛かって出てきます。でも、それに押しつぶされていては、仕事になりません。立ち直るには、自分の力で何とかするしかないんです。

 川島選手が浴びた酷評は、私に対するそれとは比べものにならないくらい大きなもの。何しろ、日本のみならず、世界中から浴びちゃったわけですからね。そういう意味で、川島選手のポーランド戦のプレーには、励まされた思いがします。私も、あんなファインプレーができたらなぁ。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

関連情報

新着コラム

コラムを探す