今年躍進している2年目のホープ・川又賢治騎手にインタビュー!

2018年09月04日(火) 18:00

職人

今年28勝をあげている2年目のホープ・川又賢治騎手


同級生の坂井瑠星騎手から、いつも刺激をもらっています

 大きな台風が接近しています。十分な対策をしてください。

 競馬界も大きな旋風が吹き荒れましたね。武豊騎手が前人未到のJRA通算4000勝まであと5勝に迫り、マジック5が点灯しました。

 小倉競馬場最終週の小倉2歳ステークス(GIII、芝1200m)、3番人気のファンタジスト号の勝利、おめでとうございます!直線で4頭が並びましたが、豊騎手が追うと一気に加速しゴールまで先頭で駆け抜ける、強い競馬でしたね。ロードカナロア産駒が大活躍です。

 性格に幼い部分はありますがまだ2戦目、馬はどんどん良くなっていますし楽しみが膨らんできましたね。

職人

小倉2歳Sを制したファンタジスト、武豊騎手はJRA通算3995勝に (C)netkeiba.com

 昔々を思い出しましたね。僕が現役騎手だった時、初めて勝った重賞が小倉3歳Sでした。この後、2001年から2歳Sに変更され、小倉競馬場も改装が始まりました。親しみのある競馬場だったので最終レース終了後、ファンの方たちと一緒にターフを歩きました。物忘れがひどい僕ですが、忘れられない思い出です(苦笑)。

 菜七子騎手も大活躍し、秋競馬でのさらなるステップアップが楽しみです。その活躍で競馬場も盛り上がっていますね。時々は関西にも来てくださいね。関西のファンも待っています。

 池添騎手も新潟重賞初勝利だったそうですね。おめでとうございます。

 今週から秋競馬開幕。早速日曜日のセントウルS(GII)には人気馬が集結します。じっくり検討し、秋競馬を楽しんでくださいね。

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 今回は先週取材した、デビュー2年目の川又騎手へのインタビューをお届けします。調教師の息子や騎手の息子など同期の話題が多い中、見事に一番乗りで勝利を挙げた、川又騎手の強い意志に迫ります。

 小倉競馬最終週も息つく間もなく騎乗し、小倉2歳Sも5着に入り大健闘でした。秋に向けて益々のパワーアップ、活躍に期待です。

常石 今日はよろしくお願いします。突然の取材依頼に応えていただきありがとうございます。

川又 こちらこそよろしくお願いします。どんな取材ですか?

常石 ごめんごめん、説明不足でしたね。netkeibaのコラム「競馬の職人」です。火曜日にアップします。今年はすでに28勝をあげ大活躍ですね。夏に強い騎手って感じがしますね。

川又 夏は大好きですがまだまだなので、頑張ります。

常石 同期富田騎手といいライバル関係にありますね。

川又 デビューした時から、とってもいいライバルです。あと坂井騎手とは、よく一緒にGIレースなどを見に行ったりしていました。乗馬をしたことがなかったので同期との差は大きかったですね。

常石 それで「アイルランド大使賞」を受賞は、素晴らしいですね。改めて「おめでとうございます」。

 実は僕も全く乗馬経験なく競馬学校へ行ったので、同期との差は大きかったですね。同期みんなは、馬場で馬に乗っている時、一人だけ覆い馬場でロープにつながれた馬に乗っていました。早くみんなと一緒に乗りたいなーとよく思いました。一番大変だったのがフォーク(厩舎作業用の農具)が使えなくて、厩務員課程だった現調教師の池江先生によく手伝っていただき、助けてもらいました(苦笑)。

川又 ありがとうございます!有名な騎手の息子さんなど多い中だったので、難しい馬にチャレンジしたり、難しいメニューを組んで特訓をやっていました。必死で頑張りました。

職人

乗馬経験のなかった川又騎手、卒業時には「アイルランド大使賞」を受賞するほどに

常石 その成果が今、出ているんですね。競馬学校に行こうと思ったきっかけは、何だったんですか?

川又 中学2年生の時、坂井瑠星騎手と同じクラスだったんです。一緒にGIレースを見に行ったり、ゲームを借りてやったりしてよく遊んでいました。馬事公苑で乗ってるところも見せてもらって刺激を受けました。

 一緒に競馬学校を受験しました。(その時は合格できなかったが)受験したことで手ごたえを感じましたね。瑠星騎手が真剣に騎手を目指しているのをずっと見てきたし「次はいける!」と思い、もう1回挑戦しました。瑠星騎手の存在は大きいです。今は親友ですね。

 教官の森本先生とも相性がよく、他の教官もすごくいい方ばっかりで、恵まれていたと思います。先輩もよかったですね。坂井騎手もいたので競馬学校は楽しかったです。いつもいい刺激をもらっています。

常石 坂井騎手は今、海外で挑戦し、いろんなことを体験していると思うから、学ぶことがいっぱいありますね。川又騎手は森厩舎からデビューし、今年フリーになったんですね。

川又 森厩舎に所属してデビューさせていただき、とっても良かったです。今でもいろいろアドバイスをいただき感謝しています。

 調教中の落馬で怪我をして2か月も休んでしまい、体のケアがとっても大事なことがよくわかりました。福永先輩に専門トレーナーを紹介していただき、心も体も強くなるよう、自分を高めてきました。必死でトレーニングをするとますます馬に乗りたい気持ちが強くなり、大きな原動力になっています。「いつも競馬に乗れるのが当たり前ではない」ということもよく理解でき、乗れることへの感謝の気持ちも強くなりました。

職人

「怪我をして2か月も休んでしまい、体のケアが大事なことがよくわかりました」

常石 森厩舎にいたら、森先生の気迫を凄く感じることができたでしょう。トップレベルを戦ってる先生だから。僕の時代も凄いなと思ってました。ユーイチ(福永騎手)の存在も大きいやろー?僕は今でもユーイチや和田たちの刺激受けてるもんな。

川又 福永先輩の存在はめちゃめちゃ大きいですよ。騎乗スタイルも勉強になりますが真似るのではなく、そこから僕自身に合うヒントを探しています。常石さんとは同期なんですね。

常石 そうですね。僕は落馬で引退してしまったけど、川又騎手は落馬負傷したことでもっと大きく成長し、フリーになって乗鞍も自分で見つけているんでしょう。

川又 森先生のご苦労がほんの少しわかるように思います。大変ですがいろんな厩舎の馬に関わることができ、厩舎訪問することでスタッフの方と直接話したり、先生から指導を受けることもできます。直接話すことで僕自身になかったものが見つかるんです。ちょっとでもいい騎乗ができるようにもっと下半身に力をつけ、皆に納得していただける競馬をしたいです。

職人

「直接スタッフの方と話すことで、僕自身になかったものが見つかるんです」

常石 好きな乗り方はありますか?

川又 前に行くことが多いけど、後ろから行って追い込みを決めたいです。矢作厩舎にも多く乗せていただいています。瑠星騎手が外国へ行ってる間、頑張らなくてはいけませんから。たくさんの厩舎から声掛けしていただき、皆さんが納得できる、馬の持つ力をベストに出せる乗り方をしていきたいです。頑張ります。応援してください。

常石 今週(9月1日・2日)は小倉競馬場ですか?2日間でたくさん騎乗されますね。乗る馬の1頭1頭の癖や騎乗スタイルをイメージして、つかんでいるんですね。

 小倉2歳ステークスでは「チュウワフライヤー号」に騎乗ですね。フェニックス賞で0秒2差の2着馬だから、能力は高そうですね。どこの厩舎の馬だったかな?川又騎手の騎乗馬をきちんと把握できてなくて申し訳ないです。

川又 大久保厩舎です。夏は調子がよく、飼い葉食いもいいしダートも走るので、能力の高さを感じますね。いい馬に乗せていただき、楽しみにしています。

常石 あの馬もいいでしょう。池添学厩舎の「ミーティアトレイル号」。前走川又騎手で勝って放牧明けですが、昇級戦の若戸大橋特別もいい感触ですか?

川又 はい、前走勝つことができてよかったです。手応えよくしっかりと伸びてくれるので成長を感じます。

常石 ここを勝てれば秋競馬につながり、楽しみも増えますね。小倉競馬場は小回りコースですが、どう感じますか?

川又 見通しもよくとっても乗りやすいです。たくさんの馬に乗せていただき感謝です。特に好きな競馬場はないですが、いろいろな競馬場で乗りたいです。小倉競馬は開催期間が長いですが、滞在も多かったんですか?

常石 滞在があったからみんなでよく食べ歩きをしました。小倉は美味しいものが沢山あるからね。みんなで行ったらいいよ。

川又 いいですね。でも、行けてなくて残念です。

常石 滞在しなかったら忙しいもんね。ユーイチとかに連れて行ってもらったらいいよ。

川又 最終週なので勝ち星も、ごちそうも(?)いただけるように、楽しみにしておきます(笑)。

***

 落馬をしてからどんどんたくましくなる川又騎手。真面目に懸命に取り組む姿勢と、強い精神力で挑戦する姿に共鳴しました。応援しています。頑張ってください。

 20歳の青年ですが穏やかさの中に気迫と躍動感を感じました。今後も大きく成長されることでしょう。ありがとうございました。

つねかつこと常石勝義でした。

職人

川又騎手、ありがとうございました!

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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