ウオッカの5番仔タニノミッションについて、担当の山田助手を直撃!

2018年10月30日(火) 18:00

職人

新馬勝ちを果たしたウオッカの5番仔・タニノミッションについて、お話を聞いてきました

扱いにくいとか、気性が激しいとか言われていますが、本当は…

 レイデオロ号とルメール騎手、おめでとうございます。GIレースを秋華賞、菊花賞、そして天皇賞と3週連続制覇は、素晴らしい偉業。今年は早くもGI6勝目。10月はルメールデーばかりでしたね。

 強い精神力と強靭な馬体、完璧なレース展開で天皇賞制覇。ダービー馬の強さと貫禄を見せつけたレースだったと思います。

 スローペースの中で見事に折り合い、この馬のことを知り尽くしている騎乗っぷりにスカッとしました。ルメール騎手の騎乗技術の深さとレイデオロの秘めたパワーに探りを入れてみたくなりました。まだまだ強くなるレイデオロとルメールとのコンビに今後も注目ですね。

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秋の天皇賞を制したレイデオロ。ルメール騎手は今年早くもGI6勝!(撮影:下野雄規、(C)netkeiba.com)

 年末の有馬記念までGIレースが8週続きます。面白くなってきました。どのレースも目が離せませんよ。

 同日の京都競馬場では、10レースの御陵S(ダート1800m)を、幸騎手のロードアルペジオ号が勝利。

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御陵Sを制し、オープン入りを果たしたロードアルペジオ

 少頭数でしたがスムーズなレースで快勝。幸騎手は「京都の1800mはワンコーナーですが向こう正面が長く、ポジションが取りやすいコース。内枠だったがコーナーを回りながら外へ出し、3.4コーナーの下り坂で早目にスパートをかけたタイミングもよく、すごく強い勝ち方が出来た」とコメントしてくれました。

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手綱を取った幸英明騎手「すごく強い勝ち方が出来た」

 幸騎手はファンも多く、サイン攻めにあっていました。僕も一緒にとファンの方に声をかけていただき、久々に幸先輩に肩を組んでもらってのツーショットを撮っていただきました。

 僕のカメラには写っていないのが残念(苦笑)。いつも変わらないさわやかなスマイルの虜になるファンが多いですね。僕もそのうちの一人です(苦笑)。

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いつも変わらない、さわやかなスマイルの虜になるファンが沢山(左はサンクスホースプロジェクトのボランティアの方)

***

 さて今週は、新馬勝ちのタニノミッションに注目。

 ダービーを含めGI7勝の名牝ウオッカとInvincible Spiritの仔でとっても能力が高い馬なので、来年のクラシックレースをイメージできます。予想も楽しみましょう。

 担当の山田助手を訪ねるとちょうど、放牧の準備をしているところでした。

職人

放牧の準備をしているタニノミッション

常石 作業の邪魔にならない程度にお話聞かせてください。

山田 ばたばたしてますがよろしくお願いします。新聞などでは扱いにくいとか、他馬をけとばす等々気性が激しい馬だとか書かれていますが、普通の馬ですよ。

常石 手入れの様子を見ていたらおとなしい感じですよね。

山田 入厩してすぐの時は気性が激しいと聞いていました。手入れなどしていてもすぐに逃げ出したりして、大変やなと思いました。でも2歳馬なので環境に慣れるのには時間がかかるし、大体どの馬でも同じでしょう。

職人

「入厩してすぐの時は大変やなと思いました。でも…」

常石 気性が激しい馬はよく走るって言いますよね。

山田 担当してみるとすぐに慣れて、全く普通の馬ですよ。ウオッカの仔の中でも一番いいなーと思いました。

常石 どんなところがいいですか?

山田 2歳馬ですが、レースでごちゃついて揉まれてもそこから抜け出す力がある。少し内にもたれましたがレースの展開によるもので、大丈夫でしょう。

常石 まだ幼い面がありますか?

山田 精神面はまだまだ幼いですが、放牧に出してリフレッシュして、成長が楽しみです。

常石 2歳馬とは思えないくらい馬体の張りがあって毛艶もいいし、幼い顔つきしていないですね。

職人

2歳馬とは思えないくらい、張りのある馬体です

山田 兄弟の中でも一番しっかりしてるんじゃないかな。

常石 それは楽しみですね。1回使って放牧に出すのは、いいですね。一度気を抜くのは今後の成長に大きくつながっていくと思います。

山田 今は栗東の近くに牧場が出来てるので、助かります。

常石 どこの牧場へ行くんですか?いつごろまでの予定ですか?

山田 吉澤ステーブルです。期間はまだわかりません。

常石 強い勝ち方をしているミッションなので、成長が楽しみですね。

山田 ちょっと寂しがり屋なのが、どうかな?

常石 馬運車に入るときもしばらく馬運車の前で眺めて、(タニノミッションが)自分から動くまで待っていましたね。

山田 無理に引っ張ったら余計に手間取るからね。馬自身から入ろうと思い動いてくれる方がスムーズです。鳴いてるでしょう?

職人

「無理に引っ張ったら余計に手間取るからね」

常石 本当ですね。寂しいんでしょうね。山田さんが優しいから甘えてるんですね(笑)。

職人

優しい山田助手との別れを惜しみながらも?放牧に向かうミッション

山田 いやー(照れ笑い)。常石さんの方が優しいですよ。覚えていますか?船橋の病院でリハビリしていた時に競馬学校へ馬乗りに来たでしょう。その時、差し入れしてくれたんです。嬉しかったです。

常石 覚えてないな(苦笑)。また乗馬の特訓に行きたいです。どこかでつながっているんですね。ミッションはいい馬ですよね。今後も情報教えてくださいね。活躍楽しみにしています。ありがとうございました。

山田 こちらこそありがとうございました。

***

 ミッションの動きに合わせて彼女をとっても丁寧に扱い、気持ちを大切にしているなと感じました。また1頭、偉大な馬の誕生の気配です。来春のクラシックレースを楽しみに待ちましょう。

 その前に今週は、JBCクラシック・スプリント・レディスクラシックを楽しみましょう!1日でGIレースが3回あるなんてすごい!

つねかつこと常石勝義でした。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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