【阪神JF】接戦の裏にあった北村友騎手の好判断ともったいない隙

2018年12月13日(木) 18:00

哲三の眼

▲ダノンファンタジーが人気に応え、世代初のGIホースに (c)netkeiba.com

世代初のGI・阪神JFは1番人気のダノンファンタジーが期待に応え優勝。C.デムーロ騎手は昨年のホープフルS以来のGI勝利を飾りました。隙を逃さないその騎乗を称える一方で、半馬身差で惜敗したのは北村友一騎手騎乗のクロノジェネシス。哲三氏はある推察から明暗を分けたのは、ゲートではなく、4コーナーから直線に掛けての攻防にあったと言います。以前に当連載でも「大舞台で活躍しておかしくない騎手」とその技術を評価し、今回のレースでも早めの仕掛けでゲートの挽回を図るなど、見どころ十分の騎乗を見せた北村友騎手。改めて、GIジョッキーへの階段を駆け上がってほしいがための技術的助言と飛躍への期待を語ります。(構成:赤見千尋)

順当勝ちも「隙を見逃さないところはさすが」

 阪神ジュベナイルフィリーズは1番人気に支持されたダノンファンタジーが、後方からよく伸びて差し切りました。これまでのレースでは先行するイメージでしたが、阪神の1600mで7枠だと、先行するのはちょっとキツイというのもあってか、ゲートのタイミングはしっかり合わせつつ、差し脚に移行して来ました。ここ一番でそういうレースが出来た馬もファインプレーだし、それに合わせてくるクリスチャンもさすがの騎乗でしたね。

 キャリアの浅い2歳戦ということで、普段のレース以上に馬のリズム、気持ちというものが大切になって来ると思うし、しかも阪神1600mですから馬の力が結果に直結しやすい舞台です。一見、一番強い馬が無難なレースをしたように見えますが、クリスチャンは冷静に差し脚を活かすコース取りをしていて、周りがしっかり見えているなと。4コーナーから直線の立ち上がり、北村(友一)君の内のスペースが一瞬開いた。その一瞬の隙を見逃さずに瞬時に潜り込んだところがさすがだなと。

 前哨戦では京都や東京で33秒台の脚で差し切っている馬たちもいますが、やはり阪神の1600mだと34秒台くらいになってくる。そうなると、コーナーの回り方など細かい部分の駆け引きが重要で、その駆け引きを上手く利用出来たのではないでしょうか。

■12月13日 阪神JF(13番:ダノンファンタジー)

早仕掛けは好判断、唯一もったいなかったのは…

 逆に言えば、クロノジェネシスの北村君は、あそこだけがもったいなかったと感じます。ゲートで少し遅れたりしたことは十分挽回できるコースだし、早めに動いたのが敗因ではないかと思う方もいるかもしれませんが、僕はそうは思わない。以前にもお話しましたが・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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