2018年12月18日(火) 18:00
▲以前にnetkeibaのコラムでも紹介したイチャキナ、現在は茨城県にある阿見乗馬クラブで暮らす
アザラシのシャドーロールを装着して一躍人気者になった馬がいる。イチャキナ(牝)だ。
そのイチャキナが2017年12月21日、金沢競馬場でラストランを8着で終えて、茨城県稲敷郡阿見町にある阿見乗馬クラブへとやって来た。当初は認定NPO法人引退馬協会が行う再就職支援プログラムで第二の馬生のための適切な再調教を受け、乗馬として新たな馬生をスタートさせるプランもあったが、イチャキナを引き取ったオーナーの意向により、阿見乗馬クラブでそのまま第二の馬生を過ごすこととなった。
イチャキナを初めて見たのは今年の春だった。350〜370キロ台と小柄な体で頑張っていたのは知っていたが、実際に目の前にいるイチャキナは、想像以上にコンパクトな馬体だった。だがパドックで放牧されていたイチャキナは、とても落ち着きがなかった。女の子っぽい可愛らしい瞳をしているのだが、ともするとその目も鋭くなる。うかつに鼻面に手を伸ばそうものなら、耳を後ろに背負って噛みつくような仕草も見せる。オーナーの女性からは聞いていたものの、これはなかなかのお転婆さんだ。父ナカヤマフェスタも一筋縄ではいかない馬だったように記憶しているが、その血を見事に受け継いでいるのかもしれない。
2度目に会ったのは10月27日に開催された阿見乗馬クラブ会員向けの「記録会」にお邪魔した時。そして3度目が11月18日の「イチャキナファン感謝デー」というイベントだった。参加されたイチャキナファンが自己紹介をかねてそれぞれにイチャキナへの思いを語った。命を繋いで新たな馬生を元気一杯に過ごしている様を目の当たりにして、感極まって涙ぐむ人もいた。
▲阿見乗馬クラブで開催された「イチャキナファン感謝デー」より
1勝しかしていない1頭の小さな牝馬が、たくさんの人の心を掴み、大きな影響を与えてきた。イベント開始早々、馬の持つ不思議な力を再認識させられ、こちらも目頭が熱くなった。また大恵さんのコラムにも登場したアザラシのシャドーロールを考案した担当厩務員の若林佳樹さんも来場していた。
イチャキナは現在4歳。父は前述した通りナカヤマフェスタで、母はJRAで3勝を挙げたサクラヴェント、その父トニービンという血統だ。母系を辿ると1995年の天皇賞・秋(GI)優勝のサクラチトセオー、1995年のエリザベス女王杯勝ちののサクラキャンドルを輩出したサクラクレアーがおり、名門の血脈でもある。
イチャキナというのは一般公募で決まった馬名で、同馬が所属していた金沢競馬場のある石川県の・・・
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佐々木祥恵
北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。
プロフィール
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