2018年12月22日(土) 12:00
とにかくワクワクさせる大一番で、平成最後の有馬記念にふさわしいレースになった。何が起こっても不思議ではないことは、これまでの歴史を辿ってもはっきりしている。ただ、ハードル界の王者オジュウチョウサンに武豊騎手が乗ることで、勝敗を度外視した興味がかき立てられ、いつもとは違う気分でレースを迎えている方が大きい。彼がどう戦うか、どこかで場内をどよめかせる。プレイを見せるに違いない。いや、きっと何かやってくれると、日を追ってその期待感を大きくしてきた。
これまで、ブームの火つけ役となったオグリキャップのラストランで、精彩を欠くアイドルを見事よみがえらせ、メジロライアンの追撃を押さえて引退に花を添えたことで確固たる地位を固め、有馬記念3勝、2着8回とその存在は大きいものになってきた。負けられないディープインパクトのラストラン、勝たせてあげたいと臨んだ昨年のキタサンブラックと、一年のしめくくりの大舞台で武豊の名前は輝いてきた。だからこその思いは、今年も続いている。
スタミナがあるがスピードではという障害の王者が、平地のトレーニングでどこまで進化しているか。この内枠は、願ってもない味方になるし、どこかで早目に動いて、どこまで通用するか。常識を覆してドラマを作ってほしい。夢とロマンと現実、久々に競馬にそれを見せてくれた名馬であることにちがいはない。
一方で、冷静になって現実を見ることも忘れてはならない。有馬記念は、秋の戦い方がものを言うレースでもあるから、天皇賞、ジャパンCを特に吟味しておかねばならない。オールカマー、天皇賞と2勝してこの秋、3戦目で有馬記念を迎えたレイデオロは、昨年のダービー馬としての力がみなぎっている。ジャパンC4着のシュヴァルグランは、昨年の実績、ジャパンC優勝、有馬記念3着が光っていて、この秋3戦目というのが好感が持てる。まして、スローペースのジャパンCはあまりにもこの馬の出番ではなかった。現役続行で来年はBCターフがターゲットという元気さなら面白い。
そして、秋4戦目が気になるが、ペースの鍵をにぎるキセキは昨年の菊花賞馬だから、スタミナはあるから十分走れる。この3頭が、この一年の競馬の幕引きをすると決めつけて、オジュウチョウサンにかける夢をどこまでにするか、記憶に残るレースになることを期待しておく。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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