2018年12月25日(火) 18:00
有馬記念を勝ったのは3歳のブラストワンピース。さてこれでJRA賞・最優秀3歳牡馬はどうなるのだろう。牝馬はアーモンドアイがおそらく年度代表馬にもなるのだろうが、牡馬は三冠で勝ち馬が異なり、そのほか、ステルヴィオ(マイルチャンピオンシップ)とブラストワンピースが古馬とのGIを勝った。ここから最優秀を選ぶというのも難しい。
ならばルヴァンスレーヴでどうだ。チャンピオンズCを勝っただけでなく、マイルチャンピオンシップ南部杯では古馬チャンピオンのゴールドドリームを負かしていて、ジャパンダートダービーも含めてGI級3勝という成績だ。それでもやはりダートは芝より格下と見られているところはあり、最優秀3歳牡馬でルヴァンスレーヴにどのくらいの票が入るのか楽しみではある。ちなみにJRA賞で、最優秀ダートホースが他のカテゴリーでも同時に表彰されたことはこれまで一度もない。
さて、本題。ブラストワンピースの池添謙一騎手は有馬記念単独最多の4勝目となったが、地方競馬ではこの日、有馬記念の約2時間半後に行われた佐賀競馬のグランプリレース、中島記念で、さまざまにすごい記録が達成された。
レース前、注目されていたのは昨年まで3連覇を果たしていたキョウワカイザーの4連覇なるか、だったのだが、残念ながら4着。勝ったのは10歳のウルトラカイザーだった。そのウルトラカイザーは、2011年の3歳時にもこのレースを制していて、じつに7年ぶりの同一重賞制覇となった。
そして昨年までキョウワカイザーの鞍上にあった真島正徳騎手は、今年はウルトラカイザーに騎乗していて、馬の4連覇はならなかったものの騎手による4連覇となった。
さらにすごいのは、真島正徳騎手は3歳時のウルトラカイザーも含め2009年から2012年にも4連覇を達成していて、近10年で中島記念8勝という記録ともなった。
ちなみに昨年の中島記念では、ウルトラカイザーには真島正徳騎手のおいの真島大輔騎手(大井)が騎乗していて、逃げて直線でも先頭だったのだが、2番手からゴール前で差し切ったのが真島正徳騎手のキョウワカイザーだった。
そして今年も逃げたのは真島大輔騎手だったが、鞍下は1番人気に支持されていたイッシンドウタイ。そして真島正徳騎手のウルトラカイザーが2番手を追走。大輔騎手が直線でも先頭で粘っていたところ、ゴール前で差し切ったのが正徳騎手。馬は昨年とは違うものの、勝負服だけ見れば昨年のリプレイを見るかのような決着だった。しかも昨年と同じクビ差。さらにさらに、3着に入ったのは昨年も今年も山口勲騎手で、馬は違えど1〜3着の騎手が同じだったという、これもまためずらしい記録となった。
勝ったウルトラカイザーだが、今年は中島記念までに佐賀では11戦に出走し、そのうち10戦が1400m戦で8勝、2着2回というほぼ敵なしという成績だった。しかし地元佐賀で唯一4着に負けていたのが1800m戦(佐賀スプリングC)で、それゆえ1800mの中島記念では単勝で3番人気という評価だったのだろう。
ウルトラカイザーを管理する真島元徳調教師にうかがった。
「昨年の中島記念の2着で距離にカベがあると思って、今年は1400mを使ってきました。長い距離ではムキになって走って、早めに抜け出してしまうとレースをやめてしまうところもあります。なので今年は中島記念を使うつもりはありませんでした。それがファン投票で1位に支持してもらったこともあって使うことにしました。(同厩舎の)イッシンドウタイが行って、直線まで我慢するという、ジョッキーが指示通りにうまく乗ってくれました」
さて、気になるのは、11歳になる来年のこと。
「以前は脚元に不安もあったのですが、北海道の林(和弘)先生がうまく使ってくれたこともあって、今は脚元もなんともなくなって、10歳とは思えないほど丈夫です。次走は、1月27日、地元のウインターチャンピオン(1400m)を予定しています。どこかでひとつ大きいタイトルも獲らせたいので、黒船賞(高知)あたりも視野に入れて行きたいと思います。ただ年齢のこともあるので、一戦一戦様子を見ながらになると思います」
あらためて、10歳でも衰えがないウルトラカイザーによる、7年越しの同一重賞制覇、そして真島正徳騎手による10年で8回の中島記念制覇は、あっぱれ!だった。
このコラムは来週1月1日はお休み。次回は1月7日になります。では、よい年末年始を。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
プロフィール
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