2018年12月26日(水) 18:01
▲TCK騎手によるリレー連載の最終回に、“大井の帝王”が登場!
TCK騎手によるリレー連載『俺たちTCKジョッキーズ』もいよいよ最終回。大トリは“大井の帝王”こと的場文男騎手が登場。12月29日(土)に大井競馬場で開催される年末の大一番・東京大賞典(GI)に花を添えるべく、3日連続の短期集中連載でお届けします。
今年8月に地方競馬最多勝利記録を更新し、名実ともに“生けるレジェンド”となった的場騎手。全3話を通じて、前人未到の7152勝に至るまでのルーツや、ターニングポイントに迫ります。(取材・文:不破由妃子)
──改めまして、前人未到の7152勝達成、おめでとうございます(12月21日時点の通算勝利数は7193勝)。
的場 ありがとうございます。みなさんのおかげです。感謝の気持ちでいっぱいですよ。自分ひとりの力では、決してここまでこられなかった。本当に周りの応援があったからこそです。記録を達成したときも、1万6000人を超えるお客さんからワーッと声援が上がってね。「的場DAY」なんていう日も設けてくれて(8月28日)、その日の大井競馬場は赤一色でした。本当にありがたかったです。
▲記録樹立の記念に大井競馬場で開催された「的場DAY」。弟弟子の内田博幸騎手(JRA)も来場(撮影:高橋正和)
──17歳でデビューされてから45年間、語り尽くせないほど多くの出来事があったかと思いますが、今日はいくつかのターニングポイントを通して、的場さんの原動力に迫りたいと思っています。
的場 僕の原動力はね、富士山なんですよ。
──富士山ですか?
的場 そうなんです。14歳の頃、親父と馬主の広松さんという方に連れられて、初めて福岡から上京したんです。羽田からモノレールに乗ったんだけど、窓の外に大井競馬場が見えてね。「東京の競馬場の下見に行く」という話だったから、「ここで降りるんだな」と思っていたら、どうも降りる気配がない。そのまま浜松町まで行って、そこから1時間くらい別の電車に揺られて。「俺はいったいどこに連れて行かれるんだろう」なんて思っていたら、浦和競馬場に着いたんですよ。
──そういえば、最初は浦和競馬場に所属される予定だったと聞いたことがあります。
的場 僕は東京だって聞いていたんだけど(笑)、なにしろまだ中学生だったから、どこの競馬場のどこの厩舎に入るのかは世話をしてくれる人に任せるしかありませんでしたから。最終的に大井に所属することになったのは、当時、大井の小暮厩舎に同郷の方がいて、浦和の帰りに彼を訪ねたことがきっかけなんです。だから、もし浦和から真っ直ぐ福岡に帰っていたら、今頃は“浦和の的場文男”だったわけですよ。
──ジョッキーとしてデビューする以前に、最大のターニングポイントが訪れていたわけですね。
的場 そういうことになりますね。その後、着替えの入ったバッグひとつと親にもらった2万円を持ってこっちにきたんですけどね。そのときに、親父と一番上の兄貴に言われたんです、「一人前の騎手になるまで九州の土地を踏むな」って。もう涙がポロポロポロポロ溢れてね。
──まさに的場さんの騎手人生がスタートした瞬間ですね。その後、地方競馬教養センターに入られて。
的場 はい。学校に入る前だったと思うんだけど、大井競馬場から富士山が見えたんです。そこで、「俺はあの富士山になるんだ」と思って。富士山の輪郭っていいじゃないですか。御殿場からゆっくりと上昇を始めて、頂上までは遠いけれど、一度頂上にたどり着いたらそこからがまた長くて。で、頂上を過ぎたら、ジワジワジワジワと河口湖に向けて下りていく。素晴らしいですよね、富士山は。
▲「一度頂上にたどり着いたらそこからがまた長くて。素晴らしいですよね、富士山は」
──なるほど。15歳にして、これから始まるご自身の騎手人生を富士山の輪郭になぞらえたんですね。
的場 最初からトップに立てる人はいませんからね。広大な裾野の端っこからスタートして、ジワジワジワジワ上っていこうと。頂上を目指して、とにかくがむしゃらに頑張りましたよ。
──不遇の時代もあったそうですね。
的場 最初は全然乗れなかったです。4年目くらいだったかなぁ、もう田舎に帰ろうと思った時期もありました。一方で、このまま帰ったら負け犬だよなぁと思ったり。兄貴に電話して弱音を吐いたら、「何言ってんだ文男、もっと頑張らなくちゃ! 頑張ってダメならそれでいいじゃないか」って言われてね。あの頃は大井に50人くらい騎手がいたんですけど、3、4年目まではつねに47番目とか48番目でしたから。
▲デビュー当初は、まさに富士山の麓「50人くらい騎手がいて、3、4年目まではつねに47番目とか48番目でしたから」
──5年目に騎乗数、勝ち鞍とも目に見えて増えています。これはなにかきっかけがあったのですか?
的場 5年目といえば、ヨシノライデンで初めて重賞(アラブ王冠賞)を勝った年ですね。あとは、師匠の小暮先生が亡くなって、長沼厩舎に移った年でもある。小暮厩舎にいる頃は、赤間清松さんとか高橋三郎さんとかすごいジョッキーが揃っていたから、厩舎を移ったこともターニングポイントといえるかもしれませんね。
※次回は12月27日(木)18時公開予定です
TCK(TOKYO CITY KEIBA)では、毎年恒例の年末ラーメンイベントとして、「自称日本一ラーメンを食べた男・大崎 裕史監修 ラーメンフェス2018@TCK〜オリジナル定食作っちゃう?〜」を、12月25日(火)〜27日(木)、12月29日(土)〜31日(月)の期間、競馬場内のUMILE SQUARE(ウマイルスクエア)で開催します。
今年はラーメン評論の第一人者として活躍する大崎裕史さんの全面監修が決定! 全国から選りすぐりの名店8店が大集合します。さらにサイドメニューのバリエーションもパワーアップ! 餃子や唐揚げなどの定番に加えて、炒飯と点心の名店も初登場します。また、自分好みのラーメンとサイドメニューを組み合わせてオリジナル定食を作ると、豪華賞品が当たる抽選会にもご参加できます!
平成最後の年末は、TCKでおいしいラーメンと熱いレースを是非お楽しみください。
▲今年も名店が集結!『ラーメンフェス2018@TCK』
■実施期間
12月25日(火)〜27日(木)、12月29日(土)〜31日(月)
■営業時間 12月25日(火)・26日(水) 14時00分〜21時00分 12月27日(木) 13時30分〜21時00分 12月29日(土)〜 31日(月) 10時00分〜18時00分 ※ラストオーダーは営業終了30分前となります。 ※12月28日(金)は休業日です。
■場所 大井競馬場(品川区勝島2-1-2)“UMILE SQUARE(ウマイルスクエア)”
■出店店舗 <ラーメン8店舗> ・札幌みその(北海道) ・新旬屋 麺(山形) ・東京スタイルみそらーめん ど・みそ(東京) ・鯛塩そば灯花(東京) ・龍介(茨城) ・寿製麺よしかわ(埼玉) ・濃厚つけ麺・ラーメン 八重桜(東京) ・麺や厨(静岡)
<サイドメニュー4店舗> ・中華 味一(チャーハン) ・元祖唐揚げ専門店 田中屋(唐揚げ) ・神戸南京町 皇蘭(点心) ・金泉軒 包味(餃子)
■入場料 100円(大井競馬場への入場料として)
※25日(火)、26日(水)は入場無料となります。 ※雨天時も開催します(TCKの開催に準じます)。
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大井競馬に所属するジョッキーの取材を担当。TCK(東京シティ競馬)・大井競馬場の魅力を余すことなくお届けします!
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