【未来予想】2019年の競馬界に起こるであろう出来事を、須田鷹雄が大予想!

2018年12月29日(土) 18:01

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▲2018年9月29日にJRA通算4000勝を達成した武豊騎手 (C)netkeiba.com

2018年の中央競馬の全日程が終了。2018年の競馬界は、C.ルメール騎手が2年連続のリーディング、武豊騎手が前人未踏のJRA通算4000勝達成、藤田菜七子騎手がJRA女性最多勝記録更新など、様々な出来事がありました。はたして、2019年の競馬界にはどんなことが起こるのか? 須田鷹雄さんに大予想していただきます。

(文=須田鷹雄)

 2018年の競馬と2019年の競馬。1年違うだけで両者の姿がガラリと変わってしまうということはさすがに考えづらい。2018年までに起きている事象が変化したり、深度化すると考えて予想するのがよいかと思う。

【未来予想・1】さらなる初顔外国人騎手に注目

 2018年はオーストラリアからブレントン・アヴドゥラ騎手、イギリスからオイシン・マーフィー騎手が初来日を果たした。

 アヴドゥラ騎手は夏と暮れの来日期間で合わせて18勝。マーフィー騎手は来日2週目終了時点で6勝をあげている。アヴドゥラ騎手のほうは馬券上の回収率も単複ともに100%を超えていたので、ファンの皆さんにも喜んでいただけたのではないかと思う。

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▲JRA初勝利を挙げたオイシン・マーフィー騎手 (撮影:下野雄規)

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▲英を主戦場に、独、仏、ドバイ、香港などでも活躍している (撮影:下野雄規)

 ご存知のように、JRAにおける短期免許の取得要件は2017年からかなり厳しくなった。それにより来日する人数が減るかと思いきや、それほど変わらない一方で濃度が増した感触がある。なんというか、「呼ぶ側の本気」がこのところ尋常でない。

 権利を持っていて未来日というジョッキーはまだいるので、2019年はまた新顔が来てレースを盛り上げてくれるのではないかと予想する。ボウマン、アヴドゥラ、かつてのクレイグを見ると豪州騎手は日本に合う確率が高そう。個人的にはヴィクトリア州から1人来てほしい。

 あまり外国人騎手が増えると日本人騎手の育成に差し障るという意見もあるだろうが、平地勝利数に占める外国人騎手(ミルコとルメール含む)の割合は18年が有馬記念までで16.1%。17年は14.6%。短期免許騎手だけでは合わせて120勝前後なので、それによって日本人若手のチャンスが著しく阻害されるというわけではない。

【未来予想・2】現役馬の大物トレードに注目

 2016年あたりから18年にかけて、日本のオープン馬がオーストラリアに移籍するケースが目立った。移籍後成績が奮わなかったり故障してしまったケースもあるが、トーセンスターダムやブレイブスマッシュのようにGI級までいった例もある。

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▲豪に移籍したトーセンスターダム (提供:Racing Victoria)

「強い日本馬」がトレードの対象になることは、ますます多くなっていくのではないだろうか。ユートピアのトレードからは10年以上経っているわけだし、オーストラリア向けだけでなく、北半球で走ってGIを勝ち負けする馬が出てきてもおかしくない。アメリカの芝GIあたりなら通用する馬はたくさんいるだろう。

 外国人馬主が増えているので、「トレードされてそのまま日本で走る」という形もありうる。日本馬がトレードされない理由の1位は日本の賞金水準だが、逆に買い手が日本で走らせる前提ならばそれは阻害要因にならない。世界には経済合理性と関係ないレベルで買い付けできる馬主もいるし、逆に旧オーナー側に少しでも利益を確定させたい事情があったら、50%トレードなどは普通にまとまりうる。

 もともと競走馬は常に同じ所有のもと走り続けると決まったものではない。日本における。日本人どうしのトレードでもかつてはダイコーターのような事例がある。それの国際バージョンのようなものが、より高いレベルの競走馬について実行される可能性は十分にある。

【未来予想・3】セレクトセールの戦国時代突入に注目

 戦国時代突入といっても、単に競り合いが激しく価格が高くなるというわけではない。それは2018年までに起きている。筆者が予想するのは、人気種牡馬の多様化だ。

「ディープインパクト疲れ」のような現象が起きたり、景気が低迷期に入って上に競り上げるよりも選択肢の幅を追求する馬主が増えたりといった流れだ。いずれのケースでも少数のディープインパクト産駒に人気が集中するのではなく、トップロットの値段が下がる一方で一定以上の価格になる馬が増えるような形になる。

 既に2018年のセレクトセール当歳セッションでは馬主の選択分散とも言える状況が見られた。ディープインパクト産駒、特にノーザンファーム産牡馬の上場数が少なかったのも事実だが、価格2位タイにドゥラメンテ産駒が入り、税込み1億円以上馬18頭の父馬は9種類となった。

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▲2018年のセレクトセールの下見所の風景 (撮影:田中哲実)

 今年の2歳世代でディープインパクト牡馬が不振であることも、他の種牡馬に目を向けさせる可能性がある。ダノンファンタジーやグランアレグリアが走っているので気付いていない人も多いが、12月27日時点の牡馬習得賞金トップはダノンチェイサーで2010万円。クラシック時期になれば誰かしら台頭してくるのだろうが、その頭数次第では無理にディープインパクト牡馬を追わない馬主も出てくるはず。

 距離適性を問わなければもちろんロードカナロアは人気になるだろうし、グランプリを制したハービンジャーや、昨年も高かったハーツクライ、さらにルーラーシップ、ドゥラメンテ、どれだけ上場産駒がいるか分からないがキングカメハメハなどが人気の差を詰めてくるだろう。

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