ミスシンザンにゆるキャラも 天候にも恵まれ盛況に終わった開幕週

2019年01月09日(水) 18:00

今年もノーザン旋風が吹き荒れる1年になりそう

 新春恒例の京都出張に行ってきた。6日の「第53回シンザン記念」に我が浦河町からミスシンザンを派遣し、表彰式に華を添えるのが目的である。

 今年のミスシンザンは、昨年夏のシンザンフェスティバル(浦河町で開催される馬イベント)にて選出された澤田悠さん(25歳、信金勤務)と、上田好美さん(21歳、介護士)の2人。4日に浦河を出発し、5日より競馬場入りして、各方面に挨拶したり、シンザン記念に社杯を提供している日刊スポーツ社の取材を受けるなどした。

 5日の京都は大変な人出で、入場人員は前年比125.4%の4万4323人に達し、地元の人々が「秋のG1よりも多かった」と驚くほどの賑わいを見せた。明けて6日は、前日ほど暖かくはならなかったものの、それでも雨に祟られた去年と比べると人が多く、最終的には2万1794人で、前年比132%。やはり天候に恵まれると人が来る。

 6日シンザン記念当日。私たちは午前8時に競馬場入りした。開門に先立ち、日刊スポーツ社の抽選会場にてファンを待ち受けるべく準備をするためだ。浦河町のゆるキャラ「ウララン」「カワタン」も“同行”し、同社の抽選に加えてもらって特産品である日高昆布をプレゼントするという仕事もある。

生産地便り

日刊スポーツ抽選会場にて

 午前9時開門。京阪電車から延びる連絡通路を一斉に多くの人々がダッシュしてくる。日刊スポーツを手にした人々が列に並び、抽選会がスタートした。澤田さんと上田さんの2人は旅の疲れも見せずに、豊中ゑびす神社の福娘3人とともにテント前に並び、ファンを出迎える。何度となく被写体になりながら、2体のゆるキャラとともに浦河町をPRしていた。

 競馬場で一日過ごしていると、時間の経つのがとても早い。ミスシンザンは、この日ラジオ出演を2本こなしながら、合間を見て馬券も購入した。

 澤田さんの「気になる馬」はハッピーアワーとアントリューズ。上田さんはハッピーアワーとミッキーブリランテであった。因みに今年のシンザン記念は12頭の出走メンバー中、11頭が国産馬。日高産馬が5頭、ノーザンファーム5頭、社台ファーム1頭という内訳だ。ハッピーアワーは、今回唯一の浦河産馬で、2人はその地元馬を中心に馬券作戦を立てたようであった。

 周知の通り、シンザン記念は近年、出走馬の中から後々大出世する名馬が続出していることから、注目度が非常に高い一戦となった。昨年、雨中での混戦をメンバー中唯一の牝馬アーモンドアイが制し、3冠馬になったのは記憶に新しい。今年はどんな馬が優勝するかと、否が応でも「気になるレース」になってきているのだ。

 時折太陽が顔を見せたかと思ったらまた曇り、また晴れる繰り返しで午後になった。メインが近づく頃には、上空から灰色の雲が抜け、西に傾いた日差しが4コーナーからゴール方向に伸びている。2年続けて雨の中の撮影だったので好天がありがたかった。

 京都のマイル戦は、芝外回り。2コーナー奥のポケットからスタートである。3時45分。定刻通り、シンザン記念のゲートが開いた。

 コパノマーティンが先行し、ニホンピロヘンソン、ゴータイミングなどがそれに続く。

 4コーナーを回り、直線に向かったところで内側からヴァルディゼールが抜け出すと、大外から一気にマイネルフラップが襲いかかる。しかし、ヴァルディゼールはマイネルフラップに並ばれるとそこから二の脚を使ってもう一段加速し、クビ差リードを保ったまま先頭でゴール板を駆け抜けた。

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シンザン記念ヴァルディゼールゴール前

 さて、ここからがミスシンザンの“仕事”である。ウイナーズサークルに揃った優勝馬の関係者が口取り写真撮影を終え、その後はお立ち台に上がり、表彰式となる。ミスシンザンは、そのお手伝いをするのだ。開催執務委員長の木村一人理事とともに馬主、調教師、騎手、厩務員と並ぶ1人1人に記念品(日高昆布)や優勝カップなどを手渡すお役目だ。

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左が澤田悠さん、右が上田好美さん

 入年にリハーサルを繰り返した甲斐があり、2人は滞りなく大役を務め京都競馬場での仕事を無事終えた。

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シンザン記念の表彰式

 初めての京都競馬場について、澤田悠さんは「今回、初めて馬券の買い方を学んで生のレースを見たんですが、臨場感とか迫力とか高揚感とか、多くの感動を受けました。次は北海道でも門別とか札幌などで競馬を見たいと思います。京都に来られて良かったです」と語り、

 上田好美さんも「京都競馬場はとてもきれいでした。出発する前は3泊4日の日程と聞いて長いと思ったんですが、実際に来てみるとあっという間に時間が経ってしまった感じです。私も京都に来られてとても良かったと思っています。表彰式は緊張せずにお仕事ができました」と今回の表彰式参加について話していた。

 ところで優勝馬のヴァルディゼールは、ロードカナロア産駒の牡3歳馬。デビュー戦に続きこのレースも制して2戦2勝、一躍注目される存在になった。生産はノーザンファーム。馬主はG1レーシング。栗東・渡辺厩舎。北村友一騎手が騎乗した。

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ヴァルディセール関係者とミスシンザン

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シンザン記念口取り

 また惜しくもクビ差届かず2着のマイネルフラップは、後方一気の追い込みという個性的なレース運びで、とにかく切れる脚がある。次走に期待したい。

 ともあれ、また今年もノーザン旋風が吹き荒れる1年になりそうな予感が漂う。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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