【万葉S】ペース配分と“クビの動かし方”に注目 和田竜二騎手が見せたテクニック

2019年01月10日(木) 18:01

哲三の眼

▲2019年初回の『哲三の眼!』は、年明けの名物OP競走・万葉Sをピックアップ (c)netkeiba.com

新年初回は哲三氏らしいマニアックな視点から、新春の名物OP競走・万葉Sをピックアップ。勝利した和田竜二騎手の好騎乗を例に、3000mという長丁場でペース配分以外に必要とされるジョッキーのスキルを解説します。この他、ジョッキーが現代の日本競馬に適応するために必要な心構えを力説。理想の騎乗フォームを追求するよりも重視すべき点とは?(構成:赤見千尋)

フォームの見た目だけでなく、馬に乗った時の効力も追求すべき

 2019年の中央競馬が始まりました。重賞でもいいレースがありましたが、今週は長丁場のOP競走・万葉ステークスを取り上げます。長距離戦というのは、馬の能力が拮抗している場合、特に騎手の個性が出やすいレースです。今回は5番人気ヴォージュに騎乗した和田(竜二)君が、思い切りのいい騎乗でハナ差粘って勝利しましたが、思い切りのいい中にも、とても細かい技術、レベルの高い技術が見られました。

 3000mという長距離ですから、基本的にペース配分がとても重要になります。でも、ペース配分よりももっと重要なのが、馬の走っている姿勢。例えば、ペースを12秒5前後に抑えられたとして、その時に後ろ向きの筋肉で走ってしまっているのか、前向きの筋肉で走っているのかでは、最後の伸び脚が大きく違ってきます。

 以前にもこのコラムでお話しましたが、後ろ向きの筋肉というのは、大雑把に言うとバックする時に使う筋肉のこと。バックする時に使う筋肉で前へ前へ走らせているわけですから、馬にとっては負担が蓄積されていきます。対して、前へ進むための筋肉を効率よく使って進んで行けば、最後まで力を温存しやすい。和田君の騎乗はそういう乗り方でした。

■1月6日 万葉S(2番:ヴォ―ジュ)

 具体的に言うと、馬のクビの動かし方が・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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