ラビットラン、新女王の座をかけた戦い/TCK女王盃

2019年01月22日(火) 18:00

今年も新たな熱き牝馬たちの戦いがスタート

 1月23日(水)、大井競馬場で行われる牝馬の戦い『第22回TCK女王盃』は、今年最初の地方競馬場で実施されるダートグレード競走。過去5年の勝ち馬を見ると2014年メーデイア、2015年サンビスタ、2016年ホワイトフーガと3年連続で前年のJBCレディスクラシック1着馬が勝利。続く2017年ワンミリオンスはJRAの条件戦を2連勝、昨年2018年ミッシングリンクは前走JRAの条件戦を勝利しての制覇。今年は前年のJBCレディスクラシック1着馬が不在。前年の活躍馬が実績そのままに結果を出すのか? 新星が誕生するのか? 出走馬たちを見ていきましょう。

 JRA勢5頭のうち筆頭に取り上げるのはラビットラン。1番人気に推された前走・JBCレディスクラシックでは直線でアンジュデジールとの叩き合いのすえアタマ差2着と僅かな差でJpnIタイトルを逃しました。

 2017年ローズSを制した芝の重賞ウイナーが昨年再びダートに路線変更して3戦。7月のスパーキングレディーC3着、8月のブリーダーズゴールドC1着、JBCレディスクラシック2着と近走の充実ぶりから勝利に一番近い存在と言っていいでしょう。2019年の新女王に君臨するためにも今年初戦から負けられない戦いです。

新女王に君臨するためにも負けられないラビットラン(写真は17年ローズS優勝時、(c)netkeiba.com)

 ラビットランにとって最も脅威となるのが未知の魅力いっぱいの上がり馬である、4歳馬エイシンセラード。デビューからまだ4戦【3-0-0-1】で、未勝利・500万下・1000万下を3連勝中。しかもここまで4戦すべて今回と同じ1800mを使っているのは好材料。初の地方競馬参戦になりますが、昨年のミッシングリンク、一昨年のワンミリオンスも地方競馬初出走でTCK女王盃を制覇。その流れが今年も続くのか? 昨年大活躍した現4歳世代から新たなスターが誕生するかもしれません。

未知の魅力いっぱいのエイシンセラード(写真は18年3歳未勝利優勝時、(c)netkeiba.com)

 展開の鍵を握る逃げ馬アイアンテーラー。重賞初挑戦だったJBCレディスクラシックでは8着に敗れましたが、前走・クイーン賞で見事重賞初制覇。重賞連勝も夢ではありませんが、問題は大外枠。

 過去10年の結果を見ると逃げた馬で馬券圏内に残ったのは2012年3着プレシャスジェムズ(1枠1番)、2013年3着レッドクラウディア(4枠5番)、2014年2着ワイルドフラッパー(3枠3番)の3頭のみと大井の1800mは逃げ馬にとって厳しいコース。控える競馬でこれまで結果を出していないだけに、8枠13番から猪突猛進、前へ行って最後まで持たせることができるか注目です。

展開の鍵を握るアイアンテーラー(写真は18年クイーン賞優勝時、撮影:高橋正和)

 ビスカリアはコツコツと勝利を積み重ねてきた7歳馬。昨年JBCレディスクラシックで初めて重賞の舞台に立ち、最後方から最後追い込んで6着。2走前、花園S(京都・1600万下・ダート1900m)で2着でしたが、勝ったエイコーンは続く東京大賞典で強豪相手に5着と大健闘。力の比較から牝馬同士なら怖い存在。鞍上に3回目のコンビとなる森泰斗騎手を配してきたことからもこのレースにかける本気度が伺えます。

 ワンミリオンスは2017年の覇者。続くエンプレス杯も制し「このまま頂点に立つのか?」と思いきや以降のレースで低迷。前走アンドロメダS(京都・OP・芝2000m)14着は芝のレースで参考外。2年前、初重賞制覇を果たした舞台での復活はあるのでしょうか?

初重賞制覇を果たした舞台で復活勝利を狙うワンミリオンス(写真は18年レディスプレリュード優勝時、撮影:高橋正和)

地方勢にも上位争いのチャンスがある

 TCK女王盃は昨年3着大井のラインハート、2017年2着大井のリンダリンダが入るなど地方勢にも上位争いのチャンスがあるレース。

 昨年2着だった大井のブランシェクール。当時はJRA所属で直後に移籍。その後、牝馬のダートグレード競走に挑戦し続けていますが、10月のレディスプレリュード2着が最高位。勝ち切れないレースが続いていますが、無視はできない存在。

昨年2着のブランシェクールも無視はできない(写真は18年クイーン賞出走時、撮影:高橋正和)

 ホッカイドウ競馬のアルティマウェポンはレディスプレリュードでブランシェクールに次ぐ3着。今回はその時と同じ地元大井の真島大輔騎手とコンビを組み、上位を狙います。

レディスプレリュードで3着に入ったアルティマウェポン(写真は18年クイーン賞出走時、撮影:高橋正和)

 大井の4歳馬クレイジーアクセルは昨年、関東オークスでJRA勢相手に3着、前走・ロジータ記念で2着と南関東の4歳世代牝馬では上位を形成する1頭。枠順は6枠8番で、大外枠になったアイアンテーラーとの先行争いからも目が離せません。

南関東の4歳世代牝馬では上位のクレイジーアクセル(写真は18年ロジータ記念出走時、撮影:高橋正和)

 充実期を迎えるラビットランが1頭抜けた印象のメンバー構成ですが、その相手探しとなると大混戦。ラビットランは期待通りに女王への道を歩むことができるのか? 勢いある4歳馬エイシンセラードが行く手を阻むのか? アイアンテーラーは逃げ切ることができるのか? 地方馬たちも上位争いに加わってくるのか? 見どころたっぷりのTCK女王盃。今年もまた11月のJBCレディスクラシックを頂点にした新たな熱き牝馬たちの戦いがスタートします!

※次回の更新は1月29日(火)18時。翌日に川崎競馬場で行われる「川崎記念」のコラムをお届けします。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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