ケンタッキーダービーの前売り馬券「フューチャー・ウェイジャー」第2回

2019年02月13日(水) 12:00

北米3歳牡馬世代の2トップと次走が試金石となる新興勢力

 G1ケンタッキーダービー(d10F)のフューチャー・ウェイジャーのプール2が、2月8日から10日の間に催され、想定通り「その他の馬」がオッズ3.5倍の1番人気となり、個別の馬では昨年の2歳牡馬チャンピオン・ゲイムウィナー(牡3、父キャンディライド)がオッズ6倍で1番人気となった。

 フューチャー・ウェイジャーとは、主催者がその段階でケンタッキーダービーの有力候補と目される23頭を抽出し、1番から23番までの馬番を割り当てた上で、これ以外の全ての馬を24番枠にフィールド。24頭立ての競馬を施行する形で、3日間限定でパリミューチュアル式の単勝馬券を発売するのである。

 2019年のケンタッキーダービーに向けて、昨年11月22日から25日にプール1が催されてており、今回のプール2をはさんで、3月8日から10日にプール3、4月5日から7日にプール4が予定されている。

 冒頭で「想定通り」と記したが、2月上旬の段階で、24番枠にフィールドされた「その他の馬たち」が1番人気に推されるのは、毎年の通例となっている。振り返れば1年前、ケンタッキーダービーを勝つことになるジャスティファイはまだデビュー前で、当然のことながら24番枠に属する馬だった。

 個別の1番人気は、プール1の段階と変わらずゲイムウィナーで、オッズにも変動がなく6倍のままとなった。

 ボブ・バファートが管理するゲイムウィナーは、祖母が06年にG1パーソナルエンサインS(d10F),G1ベルデイムS(d9F)という2つのG1を含む5つの重賞を制し、最優秀古牝馬のタイトルを獲得したフリートインディアンという血統背景を持つ。

 昨年8月にデルマーのメイドン(d6F)でデビューし、ここを5.3/4馬身差で制して緒戦勝ち。続くG1デルマーフューチュリティ(d7F)、G1アメリカンフェイローS(d8.5F)も連勝した後、オッズ2倍の圧倒的1番人気に推されたG1BCジュヴェナイルフィリーズ(d8.5F)も快勝し、4戦4勝の成績で2歳シーズンを終え、エクリプス賞最優秀2歳牡馬に選出されている。

 プール1以降、プール2まで間にゲイムウィナー自身の出走はなく、また、急激な台頭を見せた同世代の牡馬もいなかったことから、1番人気の座もオッズも揺るがなかったのは、道理であった。

 注目の3歳始動戦は、3月9日にサンタアニタで行われるG2サンラファエルS(d8F)が最有力とされている。個別の馬の2番人気は、オッズ8倍で、インプロバブル(牡3、父シティジップ)とヒドゥンスクロール(牡3、父ハードスパン)の2頭が分け合った。

 ゲイムウィナーと同じボブ・バファートが管理するインプロバブルは、祖母の兄弟にG1キングスビショップS(d7F)勝ち馬ハードスパンがいる牝系の出身。昨年9月にサンタアニタのメイドン(d6F)でデビューし緒戦勝ちを果たすと、次走はケンタッキーに遠征してチャーチルダウンズの特別ストリートセンンスS(d8F)に出走し、ここも7.1/4馬身差で快勝。続くG1ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)も5馬身差で制し、3戦3勝の成績で2歳シーズンを終えている。同馬の次走は、ゲイムウィナーと使い分けをする意味もあって、3月16日にオークローンパークで行われるG2レベルS(d8.5F)になると見られている。

 実績で言えば、ゲイムウィナーとインプロバブルが、今年の北米3歳牡馬世代の2トップと言えそうだ。そのインプロバブルと横並びで2番人気に推されているヒドゥンスクロールは、悲願のケンタッキーダービー初制覇を狙うビル・モットの管理馬である。

 カリッド・アブドゥーラ殿下のジャドモントによる自家生産馬で、祖母がG1ラフォレ賞(芝1400m)を含めて3つのG1を制した他、G1メイトリアークS(芝8F)2着、G1マルセルブーサック賞(芝1600m)2着、G1モーリスドゲスト賞(芝1300m)2着などの実績を残したエトワールモンタンテという血統背景を持つ。

 ペガサスワールドCをメイン競走とした1月26日のガルフストリームパーク開催でデビューし、メイドン(d8F)を14馬身差で圧勝。勝ち時計の1分34秒82(馬場状態・不良)は、当日に同じ競馬場で行われた古馬のG3フレッドフーパーS(d8F)の勝ち時計1分36秒22より、1秒4も速いという異例の好時計であった。

 まだキャリア1戦という新興勢力ヒドゥンスクロール次走は、3月2日にガルフストリームパークで行われるG2フォンテンオヴユースS(d8.5F)の予定。果たしてヒドゥンスクロールは真の大物なのか、次走が試金石となりそうである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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