2019年03月26日(火) 18:00
競馬で春を感じさせるもののひとつが、ホッカイドウ競馬の2歳新馬の能力検査で、今年も3月14日から始まった。その初日には83頭が出走し全馬が合格(800m=57.0秒以内)。21日にはやはり出走した全34頭が合格した。このあと開幕前には3月28日、4月4、11日にも実施されるが、ここまでの注目馬をピックアップしてみよう。
まず注目となる今年の新種牡馬の産駒では、カレンブラックヒル、トゥザワールドが3頭、コパノリチャード、マジェスティックウォリアー(輸入)が2頭、そのほか1頭ずつ、リアルインパクト、ワールドエース、エスケンデレヤ(輸入)、オーシャンブルー、マジンプロスパー、ヴァンセンヌ、エピファネイアの産駒が合格している。
内国産馬では、ヴァンセンヌ、リアルインパクト、ワールドエースの父がディープインパクトで、カレンブラックヒル、コパノリチャードがダイワメジャー、オーシャンブルーがステイゴールドで、やはりサンデーサイレンス系が圧倒的に多い。
ホッカイドウ競馬らしく、活躍した牝馬の産駒にも目を惹かれる。
アクアリーブル(父パイロ、牝、角川秀樹厩舎)の母アスカリーブルは、兵庫でデビューし、南関東に移籍して東京プリンセス賞、関東オークス(JpnII)の牝馬二冠に、牡馬相手の黒潮盃、戸塚記念も制するなど南関東で重賞5勝。そのほか園田、水沢で重賞1勝ずつ。2012年にはNARグランプリ3歳最優秀牝馬、2013、14年にはグランダム・ジャパン古馬シーズンで2年連続優勝を果たしている。
オクターバー(父ヘニーヒューズ、牝、米川昇厩舎)の母ピッチシフターは、デビューした北海道ではエーデルワイス賞(JpnIII)2着があり、その後名古屋に移籍して重賞7勝。NARグランプリでは、2013年に3歳最優秀牝馬、2014年に4歳以上最優秀牝馬に選出されている。
バブルガムダンサー(父パイロ、牝、角川秀樹厩舎)の母オノユウは、北海道で2歳時にエーデルワイス賞(JpnIII)など重賞3勝を挙げた。
エンジェルパイロ(父パイロ、牝、角川秀樹厩舎)の母エンジェルツイートは、2歳時に平和賞、東京2歳優駿牝馬を勝利。その2011年、NARグランプリ2最優秀牝馬に選出されている。
リアリティワード(父サウスヴィグラス、牡、角川秀樹厩舎)の母アムールポエジーは、中央所属で2013年の関東オークス(JpnII)を制した。
コパノキャリー(父コパノリチャード、牝、角川秀樹厩舎)の母ラブミーブルーは、門別でブロッサムC、北斗盃を勝利。馬名からもわかるとおり、父・母ともドクター・コパさんの所有馬だった。
そのほかゴーザディスタンス(父パイロ、牡、角川秀樹厩舎)の母ロマンチックは佐賀で重賞3勝、プリモジョーカー(父スズカコーズウェイ、牝、角川秀樹厩舎)の母ベラトリックスは笠松で重賞1勝。と、ここまで1頭を除いて角川秀樹厩舎の所属ということに驚かされる。またパイロの産駒が目立っている。
そして昨年まで4年連続北海道リーディングだった田中淳司厩舎では、プレストレジェーロ(父パイロ、牝)の母ユズチャンが3歳時に佐賀で重賞を2勝している。
気になるタイム面だが、ここまでの一番時計は50秒1でアイズオンユー(父エピファネイア、牝、田中淳司厩舎)。50秒8が、プリモジョーカー(父スズカコーズウェイ、牝、角川秀樹厩舎)、アザワク(父カレンブラックヒル、牝、角川秀樹厩舎)で、この2頭は同じレースに出走していた。さらに51秒0でダリル(父カレンブラックヒル、牡、田中淳司厩舎)となっている。
能力検査は必ずしも全能力を発揮させているわけではないが、タイム上位馬も、血統的な注目馬も、角川秀樹厩舎、田中淳司厩舎のトップツーに集中している。また4頭のうち3頭が新種牡馬の産駒。新種牡馬は初年度産駒が走るかどうかで、その後の人気にも影響するため、能力検査から目立たせたいということなのかもしれない。
種牡馬別では、残念ながら昨年3月に死んでしまったサウスヴィグラスが8頭で最多。来年デビューする産駒が最後の世代となる。そしてパイロ、スズカコーズウェイが6頭。パイロ産駒はそのうちの5頭が上記で取り上げた、母が重賞勝ち馬で、パイロにはそうした良質の牝馬が選ばれたことがわかる。
4月17日に開幕するに開幕するホッカイドウ競馬での2歳戦では、近年と変わりなく、サウスヴィグラス、パイロの産駒、そして角川秀樹厩舎、田中淳司厩舎の活躍を見ることになりそうだ。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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