新種牡馬の活躍と新人騎手

2019年05月21日(火) 18:00

門別競馬場にこの時期特有の難敵も…

 まずは先週お伝えした北海道2歳新馬戦の続報から。5月9日までに2頭の新種牡馬(ニホンピロアワーズ、マジンプロスパー)の産駒が勝利を挙げたと書いたが、先週15、16日の門別開催で行われたJRA認定フレッシュチャレンジ3戦では、なんと!すべて新種牡馬の産駒が勝利した。

 15日のフレッシュチャレンジを勝ったのはトゥザワールド産駒のクロスワールド(牝、林和弘厩舎)で、ハナ、ハナ差という3頭の大接戦を制した。ちなみに1番人気で3着だったアクアリーブルは、母が兵庫デビューで船橋に移籍し関東オークスJpnIIや黒潮盃を制するなど重賞7勝を挙げたアスカリーブルという注目の血統馬(父はパイロ)だった。

 翌16日のフレッシュチャレンジでは、マジェスティックウォリアー産駒のヘイセイメジャー(牡、松本隆宏厩舎)が勝利。3月28日の能力検査(800m)で出した49秒1というタイムは、5月20日までの2歳馬の能力検査で最速のタイム。それゆえ単勝1.1倍という断然人気に支持された。スタートでタイミングが合わず後手を踏んだが、3コーナーで3番手まで位置取りを上げると、直線では残り200mから後続を突き放し、2着に6馬身差をつける圧勝だった。マジェスティックウォリアー産駒では、輸入馬としてベストウォーリアがマイルチャンピオンシップ南部杯JpnI連覇(2014、15年)などすでに活躍しているだけに、ダートでの活躍が期待となりそうだ。

 16日のもうひとつのフレッシュチャレンジでは、カレンブラックヒル産駒のダリル(牡、田中淳司厩舎)が勝利。1馬身差で2着に入ったヤマイチクラウン(牡、小国博行厩舎)も前出トゥザワールド産駒で、新種牡馬産駒のワンツーだった。

 余談にはなるが、前回の本コラム冒頭で「この時期の門別競馬場にとっては最大の難敵である濃霧に来襲されることもなく、無事にレースが行われている」と書いたが、その直後の16日、濃霧の洗礼を受けることになった。上記ダリルが勝った第6レースのフレッシュチャレンジのときにはすでにもやもやと霧が出てきていて、その後の第8レースが取止めとなった。中止はその1レースのみで、その後のレースが無事に行われたのはよかった。

 マジェスティックウォリアー産駒では、大井でも5月20日第4レースの2歳新馬戦で、カミノアカネ(牝、吉井竜一厩舎)が勝利。この勝利で吉井竜一調教師は4月22日の初出走以来10戦目での初勝利。鞍上は昨年デビューした息子の吉井章騎手で、二重の喜びとなった。

 さらに続く第5レースに組まれた新馬戦でも、新種牡馬ワールドエース産駒のバジガクサフィオ(牡、柏木一夫厩舎)が勝利。鞍上は昨年12月にデビューした仲原大生騎手で、これが通算3勝目。6頭立て6番人気での勝利は3kgの減量も有利だったと思われる。今年はホッカイドウ競馬のみならず、新種牡馬産駒の活躍が目立っている。

 もうひとつ、過去の当コラムの続報。4月30日付『新人騎手が続々勝利』で、「地方騎手も10名のうち、すでに8名が初勝利を挙げている」と書いたが、残る2名のうちのひとり、岩手の塚本涼人(つかもと・りょうと)騎手が5月19日・盛岡第3レースで勝利。5番人気ながら直線で抜け出し、2着に4馬身差をつけるまさに快勝。4月20日のデビューから40戦目での初勝利となった。また同日第5レースでも4番人気馬で勝利し、2勝目を挙げている。

 地方の新人騎手の残る1人は兵庫の木本直(きもと・なお)騎手。4月11日にデビューし、2鞍騎乗したものの、その日の負傷で橈骨遠位端骨折などとの診断。その後療養していたが、5月22日・園田第5レースで復帰予定。地方の新人10名全員の初勝利を期待したい。

 さて、今回は5月12日開幕した盛岡開催が今シーズンから日月火開催になったことについて書こうと思っていたのだが、続報だけでかなりの文字数になってしまった。盛岡開催については次回以降に。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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