シンハライトやリラヴァティの姪にあたる良血シンハリング

2019年05月22日(水) 12:00

●エレガントチャーム(牝 美浦・菊沢隆徳 父ルーラーシップ、母オリエントチャーム)

 ペルシアンナイト(17年マイルCS-GI/父ハービンジャー)の半妹、クィーンチャーム(OP/父キングカメハメハ)の4分の3妹。母オリエントチャームは追分ファームを代表する名繁殖牝馬の一頭で、現役時代に秋華賞(GI)4着、マーメイドS(GIII)3着などの成績を残した。その全兄ゴールドアリュールはダートGIを勝ちまくり、JRA賞最優秀ダートホースとNARグランプリ特別表彰馬に選ばれ、種牡馬としても大成功した。母方にNureyevを持つルーラーシップ産駒はリオンリオン(19年青葉賞-GII)、メールドグラース(19年新潟大賞典-GIII)などが出て成功している。芝向きの中距離タイプ。

●シンハリング(牝 美浦・国枝栄 父ダイワメジャー、母シンハディーパ)

 現2戦1勝のアトラクティヴ(父スクリーンヒーロー)の半妹。母シンハディーパは1勝馬ながら、シンハライト(16年オークス-GIなど重賞3勝)、リラヴァティ(16年マーメイドS-GIII)、アダムスピーク(11年ラジオNIKKEI杯2歳S-GIII)、ミリッサ(17年ローズS-GII・4着)を兄弟に持つ超良血馬。これらはすべてサンデーサイレンス系の種牡馬を父に持つが、シンハディーパは非サンデー系のウォーエンブレムが父なので、交配相手の種牡馬を幅広く選択できるメリットがある。シンハディーパと同じく非サンデー系の父から誕生した牝馬ポロンナルワは繁殖牝馬として成功しており、シンハディーパもこれから能力の高い仔を産むのではないかと思われる。本馬はミリッサの4分の3同血で、「ダイワメジャー×ウォーエンブレム」もアストラエンブレム(17年エプソムC-GIII・2着)が出るなど好成績を挙げている。芝向きのマイラー。

●ドゥーベ(牡 栗東・音無秀孝 父ダイワメジャー、母トゥーピー)

 サトノラーゼン(15年京都新聞杯-GII、15年日本ダービー-GI・2着/父ディープインパクト)、サトノクロニクル(17年チャレンジC-GIII/父ハーツクライ)、マイハートビート(18年ラジオNIKKEI賞-GIII・4着)の4分の3弟。母トゥーピーは仏1000ギニー(G1)2着馬で、このとき5馬身差で優勝したのが仏牝馬二冠など5つのG1を制した名牝Divine Proportions(通算10戦9勝)なので致し方ない。繁殖牝馬として非凡な才能を発揮している。母の父Intikhabはエリザベス女王杯(GI)を連覇したSnow Fairyの父として有名。ブルードメアサイアーとして優れた成績を挙げている。母方にCaerleonを持つダイワメジャー産駒はニックスで、コパノリチャード、レーヌミノル、ソルヴェイグなど多くの活躍馬が誕生している。母のポテンシャル、配合とも素晴らしいので高確率で走ってきそうだ。

●ポレンティア(牝 美浦 田中博康 父ハーツクライ、母ポーレン)

 母の父Orpenは2歳時に芝6ハロンの仏G1を勝ったDanzig系のスピードタイプで、菊花賞(GI)と有馬記念(GI)を勝ったサトノダイヤモンドの母の父でもある。Orpenの母Bonita Francitaは、名牝Coup de Folieと4分の3同血で、Bonita Francitaの父Devil's BagはGlorious Songの全弟。したがってBonita Francitaは、Coup de FolieとGlorious Songを併せ持つハルーワスウィート(シュヴァルグランの母)と配合構成がよく似ている。適性距離が長めのハーツクライは母方にスピードが欲しいタイプでもあり、これを満たしているOrpenとは好相性を示すだろう。母ポーレンはパークエクスプレスS(愛G3・芝8f)の勝ち馬。1600〜2400mの幅広いレンジで活躍しそうだ。

●ミモザゴール(牝 美浦・加藤士津八 父ルーラーシップ、母ハナズゴール)

 母ハナズゴールはチューリップ賞(GIII)と京都牝馬S(GIII)の勝ち馬で、オーストラリアへ遠征してオールエイジドS(豪G1・芝1400m)を勝った。引退後、初めての種付け相手にルーラーシップを選んだのは、ダイナカール3×4という牝馬クロスを作るのが目的だろう。昨年のセレクトセール当歳で1億8000万円の値がついたアイムユアーズの2018(父ドゥラメンテ)はダイナカール4×4。今後この牝系を重ねた配合馬はどんどん出てくるものと思われる。本馬はこのクロスだけでなく、母方にシャンハイが入る点も評価できる。シャンハイの母Korveyaは「Riverman×Damascus」で、父と相性のいい血同士を掛け合わせている。シャンハイの4分の3兄ヘクタープロテクターはルーラーシップと相性良好。「ルーラーシップ+シャンハイ」も上手く行く可能性は高いと思われる。芝向きの中距離タイプ。

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栗山求

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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