【古谷剛彦のクラブライフ】ファーストシーズンサイアー争いは、今年も必見

2019年05月27日(月) 19:00

地方では新種牡馬の活躍が顕著だが、果たして?

 今年も「日本ダービー」が終わりました。当日は、ビギナーズセミナーの講師の一人として、朝から東京競馬場で仕事をさせて頂きました。ダービー当日は、北海道での仕事がこれまで多かったので、レイデオロが勝った時のダービーは久しぶりに現地観戦できたんですが、今年はそれ以来の東京競馬場。やっぱり、雰囲気が朝から違います。

 ビギナーズセミナーも、最初の講義時間は午前9時から。この回の担当でもあったんですが、多くの方が参加し、その半数以上が「初めて競馬をしに来ました」という方でした。競馬場に来るきっかけとなった理由を聞くと、「CMを観て」「ダービーという大きなレースがあるとわかって、その日に合わせて上京してきた」という声もありました。それだけ、ダービーには人を惹きつける魅力があることを物語っています。

 個人的には、皐月賞のレース振りから、サートゥルナーリアとヴェロックスの一騎打ちを期待しましたが、結果はロジャーバローズが好時計で押し切り、浜中騎手初のダービー制覇となりました。予想はともかく、ダービーが終わった後は勝者を称え、大歓声に私も興奮しました。

日本ダービーは大波乱、ロジャーバローズが押し切った

 少し話は逸れますが、今年も「コリアンダービー」を観てきました。韓国の3歳路線は、一冠目に当たる「KRAカップマイル」を、グローバルチュクチェというロックハードテン産駒の牡馬が8馬身差をつけ、ダービーは1強ムードの様相でした。ダービーの単勝オッズも、1.3倍と断然でしたが、直線で伸びあぐね、5着に敗れました。勝ったのはワンダフルフライという、ティズワンダフル産駒の牡馬で、一冠目は7着からの巻き返しでした。韓国のトップジョッキー・ムンセヨン騎手の思い切った逃げが、13馬身差をつける圧逃劇となり、観客からどよめきが起こりました。

「競馬に絶対はない」

「コリアンダービー」を観た後、この言葉を改めて感じましたが、今年の「日本ダービー」もまさに当て嵌まります。皐月賞上位馬が強く、他のレースからの巻き返しは難しいのでは…と思ったことは、ただただ反省。ダノンキングリーの戸崎騎手の完璧なるレース運びを持ってしても、最後の最後まで交わさせなかったロジャーバローズの走りは、鳥肌が立ちました。ダービーの凄さと怖さを感じさせた、今年のレースでした。

コリアンダービーも、制したのは伏兵のワンダフルフライだった

 その前週である「オークス」は、DMMドリームクラブのラヴズオンリーユーが勝利し、クラブ初のGIがクラシック制覇となりました。新しいクラブから、初年度はキタノコマンドールが昨年のクラシックを賑わせ、世代は違えど初期の募集馬の1頭であるラヴズオンリーユーが、オークス制覇を飾りました。無敗で勝ち取った戴冠からも、今後の動向から目が離せません。将来は海外挑戦も視野に入っているようですが、夢の続きを僕らも追いかけていきたいですね。

 さて、ダービーが終われば、今週末から来年のクラシックを目指す馬たちの戦いが始まります。地方競馬ではすでに、2歳戦が4月から始まっています。これまで、新種牡馬の活躍が顕著で、ニホンピロアワーズが最初の勝ち上がりでしたが、その後トゥザワールド、マジェスティックウォリアー、カレンブラックヒル、マジンプロスパー、グランシュヴァリエ、リアルインパクト、ワールドエースが北海道、南関東で勝ち馬を送り出しています。マジェスティックウォリアーとトゥザワールド、カレンブラックヒルはすでに2頭の勝ち馬を輩出しています。中央競馬でも2歳戦が始まるとなると、産駒数が多いキズナやゴールドシップ、エピファネイアなども頭角を現してくるでしょう。ファーストシーズンサイアー争いは、今年も必見です。

 新種牡馬の産駒たちのレベルが高い年は、総じてその世代のレベルも高いことは、以前から持論としてあります。初物を好む傾向とともに、実績馬を素直に信頼して種付けする流れも当然あります。名牝と言われる繁殖牝馬には、当然ながらトップサイアーとのカップリングが目立つので、中央競馬が始まり、不動のトップサイアーであるディープインパクトやハーツクライ、ロードカナロアらは、さらに凄い成績を収める可能性があります。中央競馬の2歳開幕から、ディープインパクト産駒の中でも評判が高い、シルクホースクラブの母リアアントニアであるリアアメリアが、阪神でデビューを予定しています。相当早い段階で栗東に入厩したぐらい、ノーザンファーム空港の中でも順調に過ごした馬。POG取材でも話題を集めた1頭ですので、デビュー戦での人気も相当集めると思いますが、他の馬たちもハイクラスの馬が揃うようですし、どんな走りを見せるのか、楽しみです。

 今や、世代のトップクラスの馬たちが早くデビューする流れにもなりました。これも、新時代の傾向の1つですね。

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