2019年06月16日(日) 19:00
▲混乱の中で、15、16両日の競馬は終了 (写真はユニコーンS、撮影:小金井邦祥)
156頭の競走除外という混乱の中で、15、16両日の競馬は終了した。3場の売り上げは合計で470億8939万2500円で前年を3.4%下回った。出走が決まった13頭中6頭が除外された函館スプリントS(GIII)の前年比37.1%減が大きかった。
除外馬のうち、関係者が22、23両日の競馬への出走を希望している馬については、16日から血液検査が進められており、陰性の場合は出走が可能。該当馬の特別登録も通常通り、受け付けられている。
といっても、「翌週に出走できれば良し」という話ではない。上級条件であるほど、適鞍は少なく、待機期間が長引くのが通常。東京や阪神の場合、次の開催は秋になるため、特定のレースにピンポイントで目標を据えていた陣営には損害が大きい。秋まで待つ間に体調を崩す可能性もある。
多くの競走馬の現役期間はせいぜい3年で、適期に出走できなかった場合の機会費用は非常に大きい。2014年のピンクブーケの場合、厩舎関係者に過失がないのに勝ち星が消され、賞金相当の保証は受けたが、記録上の救済はなかった。
今回の場合、該当馬にいかなる補償がされるかは未定だが、競走取りやめ金に準じた対応が想定される。天災地変などでレースが中止となった場合、出走するはずだった馬の関係者に支払われるもので、平地は1頭あたり計41万1000円、障害は68万円と設定されている。
あくまでも机上の計算だが、今回の156頭中、障害戦は5頭で残りは平地だったため、競走取りやめ金相当を支払う場合、総額6541万1000円。十分かどうかは議論の余地があるが、既にこの程度の損害は可視化されていると言える。
売り上げ面の損害に関して言えば、JRAのシステム的な欠陥という面もあり、業者に全て帰責できないとは言え、一部でも前記の額とは比較にならない高額となる。・・・
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野元賢一
1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。
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