2019年06月22日(土) 12:00
今週で春の東京競馬、阪神競馬が終了。来週からは本格的な夏競馬のシーズンに入ります。
それにしても、今春の東京競馬ではいろんなことが起こりました。まず、4月28日(日)の競馬が平成最後の開催となり、翌週5月4日(土)から令和の競馬がスタート。と思ったら、いきなりその日、突然の雹に見舞われ、ダービートライアルのプリンシパルSを含む3レースが中止になってしまいました。
翌5日(日)に行われた“令和初のG1”NHKマイルCではアドマイヤマーズが優勝。単勝1.5倍の圧倒的一番人気に推されたグランアレグリアは、馬券に絡まなかったどころか、他馬の進路を妨害したとして4位入線から5着に降着となりました。
これで、同馬の手綱を取ったルメール騎手は6日間の騎乗停止に。そのため、ダービーで1番人気確実と言われていたサートゥルナーリアへの騎乗ができなくなってしまいます。
で、そのダービー。サートゥルナーリアにはレーン騎手が騎乗しましたが、まさかの出遅れもあって4着に敗退。勝ったのは12番人気のロジャーバローズで、単勝の払戻金は9310円と、ダービー史上2番目の高配当になりました。
まぁここまでを振り返っただけでもけっこう“しっちゃかめっちゃか”だったわけですが、極めつけは先週でしょう。トレセン内で販売されていた馬用サプリメントに禁止薬物が混入。公正確保を期して、それを使用した厩舎の所属馬をすべて競走除外にする緊急措置が執られました。
雹による中止を超えた前代未聞の出来事。東京に限らず、阪神も函館も、さらには一部の地方競馬も影響を受け、金沢競馬では馬券発売のミスも起きてしまいました。
もう一つ、今春の東京競馬を総括する上で欠かせないのが、レコードタイムの続出でしょう。ヴィクトリアマイルでコースレコード、オークス、ダービー、安田記念でレースレコードが更新されました。これには「速すぎるんじゃないの」という声があちこちから出るほど。確かに、激走した馬に反動が出ないかどうか、ちょっと心配です。
そんな東京競馬が行われている間に、ケンタッキーダービーとプリンスオブウェールズSが行われました。今年の両レースの共通点と言えば、日本馬が挑戦し、日本で馬券が発売されたこと。さらに、いずれも雨に見舞われたことです。
ケンタッキーダービーのマスターフェンサーもプリンスオブウェールズSのディアドラもともに6着でしたが、前者は健闘、後者は完敗。同じ着順でも印象が違うと思いませんか?
ともあれ、どちらのレースもレコード続出の東京とはまるで違う馬場状態で行われました(一方はダートでしたが)。日本の競馬場にも、あえて英国風、あるいはアメリカ風にしたコースを設けてもいいんじゃないか? 波瀾万丈の東京最終週にあたり、そんなことを考えているところです。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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