盛岡ジャンボ焼鳥食べ比べ

2019年08月13日(火) 18:00

皮はパリパリ、噛めば脂がじゅわっと

 夏の盛岡競馬場がおおいに盛り上がった。

 まずは7月15日の海の日。騎手交流のジャパンジョッキーズCに、JpnIIIのマーキュリーCが行われた。前年の海の日にも同じレースが組まれていたのだが、入場者は前年比で1.4倍近い7430人。2014年のJBC盛岡開催以来、約5年ぶりに武豊騎手が盛岡で騎乗した効果もあったようだ。開門前から入場を待つファンが長蛇の列となり、帰りは盛岡市街へ下る道路が大渋滞となったらしい。

 さらに8月12日、山の日の振替休日。お盆休みの連休といったほうがいいかもしれない。武豊騎手に加え、今度は藤田菜七子騎手も来場。日本の競馬界のスーパースター揃い踏みだ。

 なにしろ菜七子さんにはヤングジョッキーズシリーズの騎乗だけでなく、クラスターCで騎乗するコパノキッキングでは、日本の女性騎手による史上初のダートグレード制覇という歴史的瞬間が見られるかもしれないというプレミア感もあった。残念ながら3着に負けてしまったが、入場者はマーキュリーC当日に迫る6944人。キッチンカーのグルメなどは早々に売り切れ、屋台村なども長蛇の列だったらしい。

 「だったらしい」というのは、海の日も山の日振替休日も、ぼくはグリーンチャンネルのスタジオで中継の解説だったので、残念ながら現地には行けなかった。

 さて、本題。盛岡競馬場といえば、ジャンボ焼鳥だ。初めて盛岡競馬場に行くという人がいれば、“まずこれ食え!”は、ジャンボ焼鳥だろう。ただし。上記のような特異日はジャンボ焼鳥やさんも長蛇の列なので、食べるのには相当な覚悟と根性がいるのだが。

 そのジャンボ焼鳥やさん、盛岡競馬場には2軒あるのはご存知だろうか。正門を入って右方面にある屋台村の両端にそれぞれの店舗がある。

 で、いつかやってみたいと思っていたのが、ジャンボ焼鳥の食べ比べ。といっても、盛岡競馬場に行くのはせいぜい年に2、3回、多い年でも4、5回程度なので、おいそれとはできない。前述の通り、グレードレースの日などに行っても、こっちの店に並んで、あっちの店に並んでとやっていたらとんでもなく時間がかかるし、目の前で焼きたてを売っているのに最初に買ったほうは冷めてしまう。さらに。このジャンボな焼鳥を2串いっぺんに食うとなれば、おそらく普通の1食分以上のカロリーを摂取することになる。

 しかしてそれをようやく実現できたのが、ちょっと前のことになるが、今年の盛岡初訪問となった6月2日。地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ・ファーストステージでは全国のトップジョッキーが集結し、早池峰スーパースプリントも行われるという、レースとしてはわりと豪華版だが、中央からは馬も騎手も来ないので、混雑はそれほどでもない。当然のことながら、朝からほとんど何も食べずに盛岡競馬場に向かった。

 まずはお店の紹介から。屋台村内、向かって左端に店を構えるのが、写真左の『おおにし』さん。写真右が、右端奥にある『元祖ジャンボ焼鳥』さん。

左:おおにし、右:元祖ジャンボ焼鳥

 ジャンボ焼鳥のメニューだが、『おおにし』さんのほうが、「しお」「たれ」「岩手産若鳥たれ」があって、どれも400円だが、岩手産若鳥たれはやや小ぶり。焼き上がっているジャンボ焼鳥が山と積まれているショーケースには、「やけど注意!ショーケースにさわらないでね」という注意書きがある。

 一方の『元祖…』さんのほうは、「しお」「甘ダレ」「タバスコ」で、こちらもいずれも400円。目を引くのはタバスコだろう。おそらく甘ダレにタバスコを加えたもで、この刺激はビールとともにいただきたい。

 しかしここは心を落ち着け、鶏肉そのものの味がわかるように、「しお」で食べ比べることにした。それが、こちら!

左:おおにし・しお、右:元祖ジャンボ焼鳥・しお

 お店の写真同様、左が『おおにし』さんで、右が『元祖…』さん。どちらも唐辛子(盛岡あたりでは「なんばん」と言う)をわりとたっぷりめに振ってある。あとで気づいたのだが、大きさがわかるような何か、たとえば馬券などを置いておけばよかったかと思ったのだが、どちらも肉の間に挟まれている長ネギから、その大きさを想像していただきたい。

 まずは左、『おおにし』さんのジャンボ焼鳥(しお)は、皮がややしっとりしていてフワフワの食感。それはもしかするとショーケースの中に入れてあったからなのかもしれない。ただショーケースに「やけど注意!」と書いてあるとおり肉自体はちゃんと熱い。

 そして右、『元祖…』さんのジャンボ焼鳥(しお)。「熱いから気をつけて」と言って渡された。皮は焦げ目がついてパリパリ、しっかりと火が通っていてたしかに熱い。鳥皮はほとんど油だから場合によっては唇や口の中をやけどするかもしれない。肉を噛むとじゅわっと脂が滲み出てくる。そしてこちらのほうが塩をストレートに感じる。

 そんなわけで、あくまでも個人的な好みを言わせてもらえば、皮パリパリの『元祖…』のほうが好きかも。ただあくまでも食べ比べてみれば、というレベル。

 そして、『元祖…』のおにいさんからは「netkeibaのコラムいつも見てます」と声をかけられました。だからと言って贔屓したわけではありません、念のため。

 8月17日からは一開催(2週)水沢に移るが、8月31日からは11月18日まで盛岡のロングラン開催。ジャンボ焼鳥が待っている(水沢競馬場の水沢食堂にもジャンボ焼鳥はありますが…)。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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