今年新たに創設された「セプテンバーセール」が北海道市場にて開催

2019年09月19日(木) 18:00

販売者、購買者双方にメリットのある市場を目標に

 サマーセールの過密頭数と長期日程(昨年まで5日間)の緩和を目的に今年新たに創設された「セプテンバーセール」が、9月17日(火)18日(水)の両日、北海道市場にて開催された。

 従来、8月のサマーセールが終了した後は10月のオータムセールまで期間があく。セプテンバーセールはちょうどサマーとオータムの中間の日程となり、季節的には暑くもなく寒くもないひじょうに良い気候である。幸い、今回は両日とも晴天に恵まれた。

 2日間の上場頭数は492頭(牡209頭、牝283頭)に上った。いずれも新規申し込み馬だが、サマーセールに続いて、大半が日高で生産された普通の水準の1歳馬たちなので、種牡馬の偏りが出てくる。上場頭数の多い種牡馬を拾って行くとアジアエクスプレス16頭、シニスターミニスター11頭、ディスクリートキャット15頭、フェノーメノ11頭、フリオーソ11頭、ベルシャザール15頭、ホッコータルマエ11頭、ラブリーデイ13頭といったところが二桁の頭数である。

 果たしてどの程度の売れ行きになるか、が注目された。サマーセールではかなり多くの頭数が落札されたが、約1ヶ月経ち、この時期でも需要がどれくらいあるのか、価格がどれくらいになるか、と生産者や会場入りした購買者たちが見守る中、17日正午よりセリがスタートした。

 なかなか1000万円超えの落札馬が出ない中、初日は247頭(牡103頭、牝144頭)が上場され、178頭(牡78頭、牝100頭)が落札、売却率は72.06%、売却総額は7億9617万6000円(税込)、平均価格は447万2899円とまずまずの結果であった。1000万円(税込)超の落札馬は13頭出たが、サマーセールより価格はやや抑えられた印象だ。

 初日の最高価格馬は160番「アヴェクトワの2018」(牡鹿毛、父モーリス、母の父チチカステナンゴ)の1620万円(税抜き1500万円)、販売申込者は(有)宮内牧場、飼養者は(有)ディスティニーファーム、落札者は山本哲二氏。

生産地便り

初日の最高価格馬「アヴェクトワの2018」

 また牝馬では、254番「スズカグレイスの2018」(鹿毛、父マクフィ、母の父サンデーサイレンス)の1134万円(税抜き1050万円)が最高価格であった。販売申込者は(有)稲原牧場、飼養者は(有)二風谷共同育成センター、落札者はJRA日本中央競馬会。

生産地便り

初日の最高価格牝馬「スズカグレイスの2018」

 さて、2日目。初日の印象では、サマーセールよりも3割程度は落札価格が安めという感じだったが、2日目は数字が落ちるどころか、むしろ初日を上回る売れ行きを示し、245頭(牡106頭、牝139頭)の上場で、185頭(牡90頭、牝95頭)が落札され、売却率は75.51%まで伸びた。総額は8億168万4000円。平均価格は433万3427円。なお、2日目の1000万円超の落札馬は11頭であった。

 最高価格馬は牡牝ともに2日目に「更新」された。2日目の最高落札価格馬は344番「ベネラの2018」(牡鹿毛、父キズナ、母の父フォーティナイナー)の2062万8000円(税抜き1910万円)、販売申込者は(有)武田牧場、飼養者は(株)白井牧場、落札者は(株)ノースヒルズ。

生産地便り

セプテンバーセール最高落札価格馬「ベネラの2018」

 また牝馬の最高価格馬は、484番「クロスウォーターIIの2018」(父オルフェーヴル、母の父Storm Cat)の1404万円(税抜き1300万円)。販売申込者、飼養者ともに(有)須崎牧場、落札者は(株)前川企画。

生産地便り

セプテンバーセール最高価格牝馬「クロスウォーターIIの2018」
生産地便り

「クロスウォーターIIの2018」の落札場面

 最終的に2日間で492頭(牡209頭、牝283頭)中、363頭(牡168頭、牝195頭)が落札された。売却率は73.78%、15億9786万円を売り上げて、平均価格は440万1808円(牡528万6500円、牝355万3477円)という結果となった。

 この結果について日高軽種馬農協の木村貢組合長は「これまでの一連の市場の流れから考えて、2日間で1日8億円、売却率70%を確保できたらラッキーと考えていましたので、大体目標は達成できたように思います。ただ日高の1歳馬市場はセレクションがピークで、良い馬から順に売れて行く傾向がありますから、サマー、セプテンバーと進むにつれ価格が下がって行くことになります。

 ただ、サマーセールの過密日程はできるだけ避けたいと思い、何とかセプテンバーに馬をもっと集めたいとは考えております。それにはこのセールに馬を出す販売者にとってもまた落札する購買者の方々にとっても双方にメリットのある市場にして行く必要があります。サマーセールの方に上場申し込みが集中してしまうのを何とかもう少し平準化できないかと、みなさんからもアイデアを出して頂ければと思います」とコメントした。

 一応の合格点はつけられる、としながらも、課題も見えてきたセプテンバーセール。来年も続行とのことだが、生産者(販売申込者)と購買者双方の希望が必ずしも現時点では合致していない部分があり、今後どのような改革案が浮上してくるか、注視していきたい。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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