【スプリンターズS】松若騎手の完璧な騎乗も…勝負を分けた“読む力”

2019年10月03日(木) 18:00

哲三の眼

▲秋GI開幕戦、スプリンターズSを振り返ります(撮影:下野雄規)

いよいよ秋のGIシーズンが開幕! 今回はスプリンターズSで惜しくも2着に敗れたモズスーパーフレアに着目。松若風馬騎手の堂々たるレースぶりにキレイな競馬だったと感服するも「100点では勝てないのがGI」と哲三氏。期待の若手へのエールに隠された勝利へのカギとは。(構成:赤見千尋)

惜敗2着でみえた伸びしろ 一段階上の「読ませない逃げ」

 スプリンターズSは1番人気タワーオブロンドンが、逃げるモズスーパーフレアを半馬身差し切って勝利。3着は直線伸びて来たダノンスマッシュで、上位馬たちはそれぞれいい競馬を見せてくれました。馬たちの走りはもちろん、ジョッキーたちの駆け引きも大変面白く、秋のGI開幕戦に相応しいレースでしたね。

■9月29日 中山11R(8番:タワーオブロンドン)

 勝ったタワーオブロンドンのクリストフ(ルメール騎手)はいつもながらに巧い競馬でさすがだなと感じましたし、今回最終追い切りに騎乗した北村宏司騎手の技術の高さにも唸りました。タワーオブロンドンの走らせ方が、競馬に行った時にしっかりと馴染ませられたのではないかと感じたんです。北村宏司君は普段から馬の走り方をよく考えて騎乗するジョッキーで、大きな怪我で休んでいた時期もありましたが、またレースでも存在感を発揮してくれることでしょう。

 2着だったモズスーパーフレアの松若(風馬)君は、スタートをしっかりと決めて、思い描いた競馬が出来たのではないでしょうか。まだ若い松若君にとって、スタートが速い馬に乗っていたとしても、この場面で『絶対にスタートを決める』というのはプレッシャーが大きかったと思います。その中でスタートを決めて、自分の競馬が出来たことは大きな収穫だったと思うし、100点満点に近いレースが出来たのではないでしょうか。

 ただ、100点では勝てないのがGIなんですよね。今回のレースは1、2番人気に常にGIで上位争いをしているクリストフと川田(将雅)君が乗っていた。その馬たちを負かすためには、自分の競馬をするだけではなく、『相手を翻弄する』というもう一段階上の読みが必要ではないかと。

哲三の眼

▲リーディングを争う川田騎手(121勝)とC.ルメール騎手(115勝) ※9/29時点(撮影:高橋正和、下野雄規)

 今回のレースを僕の視点でざっくり解説すると、・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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